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中核的労働基準とILO


このコーナーの目次


中核的労働基準とは

 仕事の世界で守られるべき最低限の労働基準を中核的労働基準といいます。これは4つの分野で8つのILO条約を指定するという形で定められています。

中核的労働基準
分野 ILO条約
結社の自由及び団体交渉権 87号(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)
98号(団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約)
強制労働の禁止 29号(強制労働に関する条約)
105号(強制労働の廃止に関する条約)
児童労働の実効的な廃止 138号(就業の最低年齢に関する条約)
182号(最悪の形態の児童労働の禁止及び廃絶のための即時行動に関する条約)
雇用及び職業における差別の排除 100号(同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約)
111号(雇用及び職業についての差別待遇に関する条約)

 これを決めているのはILOの『労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言(新宣言)』です。グローバル化の進展に伴い特に労働と貿易の関係に関する議論が95年の世界社会開発サミット(コペンハーゲン)、96年の第1回WTO閣僚会議と行われ、各国が国際的に認められた中核的労働基準を遵守すること、そしてこれら中核的労働基準を採択し取り扱う権限のある機関は国際労働機関(ILO)であること、の2点が確認されました。ILOはこれら会議の開催前から議論をスタートさせていましたが、5年にわたる激論の後、1998年の第86回総会にて『新宣言』を採択し、国際社会の期待に応えました。

 8条約は特別な条約です。通常ILO加盟国は批准しない限り特定の条約について義務を負いませんが、8条約については未批准の場合でも「誠意をもって、憲章に従って、これらの条約の対象となっている基本的権利に関する原則を尊重する義務を有する」ことが確認されています。具体的には、未批准の条約の各分野における進展状況について毎年ILO本部に報告しなければなりません。
 この中核的労働基準は労働に関する最も重要な基準であると広く認められています。最近よく取り上げられる企業の社会的責任(CSR)についても、OECDの多国籍企業ガイドラインや国連グローバル・コンパクト等政府間機関が定める文書はもちろん、GRIやISO等民間機関が基準等を作成する場合でも多くの場合労働についてはILOの4分野8条約をそのまま基準に採用しています。

連合の取り組み

日本の未批准条約

 日本は、ILO加盟国180ヵ国の中で分担金比率が16.6%(2007年)であり、米国に次いで2番目の拠出国です。また、政労使とも長年理事に選出されている(政府は常任理事国)ため、とても重要視されている国です。それにもかかわらず、中核的労働基準の8条約のうち、2つが未批准のままであり、これは日本を除くOECD加盟29ヵ国(平均批准数7.31)と比べると著しく低い数字です。

日本の未批准条約
日本が未批准の条約名 未批准の理由
105号(強制労働の廃止に関する条約) 国家公務員法・地方公務員法でストを「企て、共謀し、そそのかし、若しくはあおった」者に対する懲役刑を定めているのが条約に抵触。
111号(雇用及び職業についての差別待遇に関する条約) 条約の禁止する7つの根拠に基づく差別を明確に禁止する国内法の不在と、使用者側の心理的抵抗。

批准に向けた取り組み

 連合は、政府に対してこの未批准2条約の批准を直接要求しています。また、公務員制度改革の中では、制度をILO原則に則ったものにするように働きかけています。
 そのため、ILO本部から専門家を招いて条約の内容に関する理解を深める機会を作るなど、この2条約の早期批准に向けた運動を進めています。

国外での運動

 日本国内だけでなく、全世界において中核的労働基準が遵守されるようにすることも連合の大きな目標です。最も重視しているのは日本の企業が海外に子会社・合弁会社を持っている場合、そこでも中核的基準が守られるよう働きかけることです。これにはOECD多国籍企業ガイドラインが大きな役割を果たしています。

ILO(国際労働機関)とは

 ILO(国際労働機関)は国連の専門機関のひとつで、労働問題を取り扱う。1919年に設立され、50周年に当たる69年にはノーベル平和賞を受賞した。本部:スイス・ジュネーブ。2007年5月現在、180カ国が加盟。187条約、197勧告が国際労働基準として設定されている。

ILOの目的

 ILOの目的は、公正な労働基準の確保によって世界に永続する平和をもたらすこと。そのために、(1)国際労働基準の設定とその実施状況の監視、(2)技術協力、(3)調査・広報、という3つの手段が定められている。

三者構成主義

 ILOが他の国際機関と比べて際だって特徴的なのは、政府に加え、労働者と使用者の代表が正式の構成員として参加していることである。これは三者構成主義と呼ばれる。ILOは、いかなる問題に取り組む時もこの三者(政労使)による協議を根幹としており、労使団体は政府と並んでILOの決定・運営に参加している。

日本の三者構成

  • 日本政府(政府代表)
  • 連合(労働者代表)
  • 日本経団連(使用者側代表)

ILOの会議、各種委員会

 最高議決機関は総会。毎年6月に3週間程度ジュネーブで開催。政労使の代表と他国際機関やNGOのオブザーバー等、3000余人が参集。総会の役割は、加盟国の承認、理事の選出、予算の承認、新たな基準の設定と基準の実施状況の審査等。
 理事会は、総会によって選出された政府28カ国、労使各14名、計56名で構成される。日本も理事国。理事会の役割は、事務局長の選出、予算の審査、ILOの活動の監視等。

連合とのかかわり

 連合は、ILOにおいて日本の労働者を代表する団体と位置づけられており、連合結成以来常にILO総会の労働代表を務めている。現在の理事は、連合の桜田高明国際顧問。
 我が国における中核的労働基準の早期批准、適用やILO条約批准促進をはじめ、世界の公正で適切な労働のため積極的に活動を展開している。

ILO諸会議への参加

 政府はILOに対して何らかの報告をする場合、労使団体との協議を義務づけられている、この対象となる「最も代表的な労使団体」は、日本の場合、連合と日本経団連である。連合は総会・理事会・各種会議等に積極的に参画している。ILO総会には毎年本部と構成組織からなる連合代表団が労働側の関与する全ての会議に参加。日本の労働者の見解をILOの決定に反映させるとともに、ILOの決定を国内の運動に役立てるべく努めている。

支援活動

 連合はILOが実施する各種の活動に財政的・人的支援を行っている。これまでに、アフリカにおける生産性に関するワークショップ(1997〜2003年、計6回)と児童労働撲滅国際計画(IPEC)がフィリピンで実施した観光産業における児童労働についての調査プロジェクト(1998〜2000年)を支援した。また、2004年8月からは新たに「教育・芸術・メディアを通じた児童の権利支援プロジェクト(SCREAM)」のネパール・カンボジア・インドネシア展開を財政支援している。

結社の自由委員会への提訴

 連合は連合官公部門連絡会(当時)と連名で2002年2月に結社の自由委員会に対し、政府が進めている公務員制度改革がILOの87・98号条約違反であるとして提訴した。この案件は現在も継続審議中。ICFTU(当時)をはじめとする国際組織6団体の支援を受ける大規模な提訴として国際社会の注目を集めている。


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