国際活動

 

ビジネスと人権に関する参考資料

ビジネスと人権の基本文書

<ビジネスと人権に関する指導原則>

 2011年に国連人権理事会において全会一致で支持された、ビジネスと人権に関する国際的な規範です。
 指導原則では、ビジネスと人権を「人権を保護する国家の義務」「人権を尊重する企業の責任」「救済へのアクセス」の3つの柱に分類し、国家に対しては人権侵害を予防、調査、処罰、救済するための適切な手段をとることなど、企業に対しては他者への人権侵害を回避し、関与した人権への悪影響に対処すべきことなどを求めています。また、様々な苦情処理の仕組みによって、人権侵害を受けた者を救済することも盛り込まれています。

日本政府による取り組み

 <「ビジネスと人権」に関する行動計画>

 2020年10月に策定された、ビジネスと人権に関する日本政府の行動計画です。
 行動計画では、①関係府省庁間における連携強化、②企業のビジネスと人権に関する理解促進と意識向上、③社会全体としての人権に関する理解促進・意識向上、④企業による人権尊重の取組を促す具体的な仕組みの整備、⑤人権侵害の救済へのアクセス確保及び必要に応じた改善の5点を優先分野としたうえで、今後行っていく具体的な措置について記載されています。

<責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン>

 2022年9月に策定された、企業による人権尊重の取り組みに関するガイドラインです。

 ガイドラインでは、企業に対し人権デュー・ディリジェンスの実施を求めています。人権デュー・ディリジェンスとは、①企業が関与する人権への負の影響を特定・評価し、②負の影響を防止・軽減し、③特定・評価や防止・軽減に向けた取り組みの実効性を評価し、④それを説明・情報開示する一連の行為を指します。

国際機関によるガイドライン

<OECD多国籍企業行動指針>

 1976年に策定された、多国籍企業に期待される責任ある行動に関するガイドラインです(1979年、1984年、1991年、2000年、2011年、2023年に改訂)。
 2023年版では、一般方針、情報開示、人権、雇用及び労使関係、環境、贈賄及びその他の形態の腐敗の防止、消費者利益、科学、技術及びイノベーション、競争、納税等の幅広い分野における責任ある企業行動について記載されています。

<責任ある企業行動のためOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス>

 2018年に策定された、OECD多国籍企業行動指針を実施するためのガイダンスです。
 ガイダンスでは、人権デュー・ディリジェンスのプロセスについて解説するとともに、実施する際のポイントについてQ&A形式で説明されています。

<ILO多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言>

 1977年に採択された、各国の政労使および多国籍企業に対しILO条約・勧告を踏まえた企業行動や社会政策を求めるガイドラインです(2000年、2006年、2017年、2022年に改訂)。

 2017年版では、雇用、訓練、労働条件・生活条件、労使関係等の分野において、政労使および多国籍企業に求められることについて記載されています。