本当に自由に働けてる? 裁量労働制

裁量労働制とは…

働いた時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間数(=みなし労働時間)を労働したものと扱う仕組み。業務のやり方を労働者の裁量に大幅に委ねる必要がある業務に限られています。
労働者が業務のやり方や時間配分を労働者自身で決められることが前提です。

労働時間の考え方

あらかじめ事業場ごとに会社と労働者代表でみなし労働時間を定め、実際に働いた時間数にかかわらず、労使で決めた時間分働いたこととみなします。

労使で決めたみなし労働時間8時間

例えば、10時間働いた日も4時間働いた日も、
8時間働いたとみなして賃金が支払われる

ユニオニオン
実際働いた時間にかかわらずみなし労働時間分働いたと扱われるから、労働時間規制が事実上かからないともいえるんだね

対象業務

裁量労働制は、以下の2種類があります。

①専門業務型裁量労働制
定められた専門的な業務(新商品や新技術の研究開発、デザイナー、新聞記者、大学の教授研究、証券アナリストなど)
②企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務
ユニオニオン
導入やルールを決める上では、労使でしっかり話し合う必要があるね

導入方法

裁量労働制を導入するためには、
(1)労使で話し合って導入を決定
(2)運用ルールを整備し、労働基準監督署に届け出る
(3)対象労働者本人の同意を得る

といった手続きを経る必要があります。

運用ルールの整備にあたっては

  • 業務のやり方や時間配分等について、会社側から具体的な指示を行わないこと
  • 相応の処遇を確保すること
  • 労働者の健康・福祉確保措置を実施すること

などを決める必要があります。

裁量労働制の何が問題?

裁量労働制は正しく運用すれば労働者の裁量で効率良く働くことができる一方、以下のような課題もあります。

① 裁量をもって働くことができていない状況がある

厚生労働省の調査から、裁量労働制で働く労働者とそうでない労働者を比較したとき、業務のやり方や時間配分に対する自己の裁量にほぼ差が無いことがわかっています。

裁量労働制
ユニオニオン
労働者の裁量を前提とした制度なのに、制度趣旨に沿った運用がされていない実態もあるのかも…

②長時間労働になりやすい

働いた時間にかかわらずみなし労働時間分働いたものと扱う

→ 実際の労働時間への規制がかからないため、長時間労働になりやすい!

同じ職場でも、裁量労働制で働く労働者はそうでない労働者より実労働時間が長い傾向にあります。

ユニオニオン
裁量労働制で働く労働者の方が、長時間労働の傾向があるね
長時間労働グラフ

裁量労働制適用労働者のみなし労働時間と実労働時間を比較すると、1時間以上の差があることが分かります。

長時間労働表

③使用者が残業代逃れとして悪用できてしまう

あらかじめ決めた時間分のみ賃金が支払われる

→ 残業代の支払いを逃れるために
裁量労働制を悪用されてしまう可能性も!

ユニオニオン

〈連合の考え方〉

● 裁量労働制の拡大は必要ない
  • 現行制度でも柔軟な働き方は十分可能
● 長時間労働を防ぐために
  • 本人が望む場合、通常の労働時間管理に復帰することを保障する
  • 複数の健康・福祉確保措置の実施を義務付ける
    勤務間インターバルの設定、深夜業の制限、医師による面接指導、特別な休暇の付与など
● 裁量を確保し悪用を防ぐために
  • 裁量労働制の導入手続きを厳格化
  • 2024年4月に適正化された制度の徹底を
    企画型に加え専門型についても、労働者本人の同意が制度適用の要件となり、健康・福祉確保措置の実施が望ましいことが定められました。