5.くらしの安心・安全の構築|環境政策

2-17-2.脱炭素社会や循環型社会の実現に向けて、イノベーションの社会実装を進める。

  1. (1)国・地方自治体は、温室効果ガス排出削減に向けた各種施策の実施にあたり、国のエネルギーミックスを踏まえつつ、環境・エネルギー技術を深化・発展させる。
  2. (2)地方自治体は、2050年の長期目標策定・見直しには、地域の雇用・経済、人口動態などを含め、広範かつ丁寧な議論を通じ合意形成をはかる。
  3. (3)国は、再生可能エネルギーの普及に向けて、地熱など計画から設置までのリードタイムが長く事業予見性の低い電源も含め、導入のための支援を行う。 (「資源エネルギー政策」2.(2)① a)参照)
  4. (4)国・地方自治体は、改正ISO14001シリーズやエコアクション21などの環境関連規格の取得を促進するとともに、事業場への規格導入・更新に対するインセンティブを強化する。また、システムの運営と監査を進めつつ、環境パフォーマンスの向上を推進する。
  5. (5)国・地方自治体は、「GX実現に向けた基本方針」に沿った対応を進めるにあたり、イノベーションへの対応など企業の取り組みを促進するため、以下の環境対策に関連した技術・事業・産業・人材の育成・支援を強化する。

    ①GX経済移行債等により調達した資金の投資先について、「GX実現に向けた基本方針」中の「国による投資促進策の基本原則」に掲げる「基本条件」の「国内の人的・物的拡大につながるもの」に加え、「付加価値の高い、グリーンでディーセントな雇用創出につながるもの」も対象とする。

    ②イノベーションの基礎となる技術開発を進めるための基盤整備・人材育成を強化するとともに、実用化に向けた開発の加速化、社会における実証・導入および需要の創出に対する助成・優遇を推進する。その際には、政府窓口のワンストップ化とともに、利用しやすい制度設計と情報の一元化をはかる。

    ③低燃費・低排出ガス車および次世代自動車などの環境対応車への総合的な普及促進対策を講じるとともに、次世代自動車に関するインフラ整備を戦略的に推進する。

    ④諸外国の化学物質規制や内燃機関自動車の禁止措置など、中長期的を見据えた規制・課税やマーケットの動向、自然資本投資や環境効率性指標の動向を把握し、今後の技術開発計画に適切に反映させる。

    ⑤中長期を見据えた革新的環境技術の実証・導入段階までの開発プロジェクトは、新たに発生する知的財産権の帰属あり方やプロジェクトに参加する企業・大学の既存の技術の持ち込み規定などを検討したうえで、産官学共同で進める。

    ⑥CO2回収・輸送・貯蔵・利用(CCS/CCU)(注1)の技術開発については、国内外の制度的、環境的要因を勘案しつつ、早期の低コスト・低エネルギー化の実現とともに、大規模かつ効率的な処理を可能とする技術を確立する。

    ⑦持続可能なバイオ燃料の開発にあたっては、SDGsの目標を踏まえ、生物多様性への影響を最小限にとどめるとともに、非食用植物または非可食素材(家畜の飼料含む)であることを前提とし、安価で安定的な供給体制を構築する。

    ⑧水素エネルギーの広範な活用と導入拡大に向け、実用レベルの技術開発をさらに加速するとともに、水素の製造・貯蔵、輸送・活用の研究を進め、国際規格化を目指す。

    ⑨次世代電池の開発や、既存の電池技術の深化にあたっては、耐久性、安全性、経済性を確保しつつ、国を挙げた異分野融合の研究体制を構築する。

    ⑩効率的・体系的な道路整備と交通管制の高度化をはじめとする交通流対策を推進する。

    ⑪スマート・グリッド(賢い電力網)を早期に実現するため、スマートメーターなどのイニシャルコストへの補助・助成をさらに強化しつつ、HEMS・BEMSのメリットを広報し、その導入をさらに支援する。また、技術的課題の解決に向けた研究開発を推進する。(「資源・エネルギー政策」参照)

    ⑫送電ロスをこれまで以上に低減させる観点から、電線や変圧器を従来に比べロスの少ないものに交換することや高電圧化を実施する際に支援を行う。

    ⑬アスベスト被害の教訓をふまえつつ、安価で加工性、耐久性、安全性、リサイクル性に優れた軽量の耐火・断熱素材を開発する。

    ⑭小水力発電技術のイニシャルコスト低減と山間地における導入を促進する。

    ⑮代替フロンの段階的削減に対応する観点から、安全かつ安価なノンフロン冷媒および対応機材の開発・普及を推進するとともに、その導入支援策を強化する。

    ⑯廃棄物の安価な自動分別システムの開発・実用化や、資源の再利用を促進するリサイクル技術を開発する。

    ⑰複数のストレス・ホルモンの役割やその細胞間の伝達に関して包括的な研究を推進し、量産が可能で副作用が軽く、乾燥地や高塩濃度などの悪条件下に適応できるストレス耐性能を備えた植物を開発する。

  6. (6)国は、資金の投資先において、ESGに関係する取り組みが進むよう、以下のような環境整備を行うとともに、国際的スタンダードの確立に向けたイニシアティブをとる。

    ①企業において、人権を含むデューデリジェンスが確立され、ESGの「S」や「G」の側面においても法令遵守や情報公開が行われるよう、とくに中小・零細企業に対する技術的支援などの環境整備をあわせて行う。

    ②企業の統合報告書を充実させ、その信頼性の向上をはかる観点から、ESGなどの非財務情報を会計監査の対象としつつ、開示すべき最低限の内容を規定する「統合報告書作成基準」を作成する。

    ③有価証券報告書および有価証券届出書における「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」を、企業行動のESGに関する取り組みの実態をより反映させたものにするとともに、海外の金融機関などによるダイベストメント活動やエンゲージメント活動に関する情報などを収集・発信する。

    ④機関投資家に対しては、「責任投資原則」「日本版スチュワードシップ・コード」や「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」の受入れを促すなど、責任投資の概念が広く浸透するよう取り組みを進め、責任投資に対する正しい理解のもと、個々の機関投資家が自らの投資判断においてESGを適切に考慮し非財務的要素を重視することを促す。(「経済政策」から再掲)

  7. (7)国・地方自治体は、林業事業体の安定的な経営の確保、条件不利地などへの公的な森林管理の推進、国産材の活用促進などを通じ、二酸化炭素に関する森林吸収源対策を強化する。(「食料・農林水産政策」参照)
  8. (8)国・地方自治体は、太陽光発電事業に関して、生態系への配慮や不適切な森林開発等に起因する土砂流出や濁水の防止等に向けて、環境影響評価法の対象とし、副次的影響を精査する。 (「資源エネルギー政策」 2.(2)② f)より再掲 )
  9. (9)国・地方自治体は、需用者側のニーズやライフスタイルに対応したエネルギー供給を実施することを前提に、木質バイオマスの利用を促進し、CO2削減や山村の経済活性化をはかる。また、木質ボイラーなどの熱利用機器の導入にさらなる助成措置を行う。
  10. (10)国・地方自治体は、ヒートアイランド対策として、緑化地域の確保・保存など、地域の温暖化防止と環境保全の対策を推進する。
  11. (11)国・地方自治体は、環境に配慮した製品・サービスの付加価値を積極的に広報し、環境保護を意識した消費行動(日常での省エネや機器の買い替えといった低炭素行動)を促すとともに、消費者のニーズを勘案した「環境に配慮した製品・サービスの市場」の形成・拡大を支援する。
  1. (注1)CCS/CCU ~炭素回収貯留/炭素回収利用

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