1 .持続可能で健全な経済の発展(資源・エネルギー政策)

資源・エネルギー政策<背景と考え方>

  1. (1)連合は、2011年3月の東日本大震災により引き起こされた福島第一原子力発電所事故を踏まえ、2011年9月の三役会において、「エネルギー政策総点検・見直しの基本的方向性について」を確認した。その要旨は以下の通りである。
    <基本的考え方>

    ①エネルギー政策の総点検・見直しにあたっては、「脱原発」「原発推進」の2項対立の議論を行うべきではなく、総合的・合理的・客観的なデータにもとづく冷静な議論のもとで、「安全・安心」「エネルギー安全保障を含む安定供給」「コスト・経済性」「環境」の視点から、短期・中長期に分けた検討を行う必要がある。また、国民の理解・納得という観点や「国民合意」のあり方にも十分に留意しつつ検討を行う。

    ②今回の福島第一原子力発電所事故により、大型の自然災害が不可避なわが国においては、原子力発電所事故が起こり得ること、そしてひとたび事故が起これば、人々の生活や健康、国土・海洋など広範な環境に甚大な被害をもたらす可能性があることを現実のものとして知ることになった。

    ③このことを踏まえれば、わが国においては、原子力エネルギーに代わるエネルギー源の確保、再生可能エネルギーの積極推進および省エネの推進を前提として、中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減していき、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会をめざしていく必要がある。

    <具体的検討にあたっての留意事項>

    ④原子力エネルギー政策については、今回の事故とこれまでの原子力行政の総合的・徹底的な検証を踏まえ、規制のあり方とリスク管理の見直し、国と事業者の責任区分の明確化が必要である。

    ⑤短期的な課題としては、産業や雇用への影響に十分配慮しながら、エネルギー安全保障の観点を含め、安定的なエネルギー供給をはかる必要がある。そのためには、無理のない省エネによってエネルギー需要を抑制する一方、既存発電設備の有効活用などによってエネルギー供給の増強をはかる必要がある。その際には、定期点検等による停止中原子力発電所について、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解、安全性の強化・確認を国の責任において行うことを前提に、その活用も含めて検討する必要がある。

    ⑥中長期的な原子力エネルギーに替わるエネルギー源の確保にあたっては、エネルギーコストの低減や人類全体の課題である温室効果ガスの排出削減などに取り組みつつ、新しいエネルギーのベストミックスを構築する必要がある。

    ⑦短期・中長期の取り組みにあたっては、再生可能エネルギーの積極推進、化石エネルギーの高度利用、分散型エネルギーシステムの開発、省エネ技術・製品の普及、エネルギー節約型のライフスタイル・ワークスタイルの普及などに対する政策的な支援が必要になる。こうした施策を進める際には、産業の空洞化や雇用の喪失を回避し、グリーン・ジョブの創出と「公正な移行」を通じてグリーン・イノベーションに繋げていく必要がある。

    ⑧エネルギー政策を見直すことは、国民生活や産業・雇用、働き方にも多大な影響を及ぼすことになり、連合が提唱する「緑の社会対話(仮称)」など、幅広い国民の合意形成をはかりながら、これを進めていく必要がある。

  2. (2)その後、これにもとづくエネルギー政策総点検・見直しPTにおける検討・報告を経て、2012年9月の第12回中央執行委員会において「連合の新たなエネルギー政策について」を確認し、「2014~2015年度 政策・制度 要求と提言」における資源・エネルギー政策については、「連合の新たなエネルギー政策について」の考え方を厳格に踏まえ策定した。
  3. (3)以降、「2018~2019年度 政策・制度 要求と提言」における資源・エネルギー政策の策定までにあたっては、その後の状況変化に応じて都度修正・補強を行った。
  4. (4)2018年7月、中長期的・総合的なエネルギー政策の基本的な方針である「第5次エネルギー基本計画」が閣議決定され、4年ぶりに改定された。本計画には、パリ協定や変化するエネルギー情勢を踏まえ、2030年のエネルギーミックスの実現に向けた対応方針と、2050年に向けたエネルギー転換・脱炭素化へのシナリオなどが盛り込まれている。また、2017年4月から見直しが適用された固定価格買取制度(FIT制度)については、2020年度末までの間にさらに抜本的な見直しを行うこととされている。今後、新たなエネルギーミックスをはじめ、更なる検討が進められる中で、連合は、働く者・生活者の立場から政策の実現を求めていく。

1.短期的に安定的なエネルギー供給をはかるための政策を推進する。

  1. (1)既存発電設備の有効活用によるエネルギー供給の確保をはかる。

    【自家発電設備等の最大限の活用】

    ①公的な政策的支援によって事業者が自家発電設備等の活用にメリットを感じ、主体的に活用をはかるように環境整備を行う。具体的には、補助金によるコージェネレーションシステムの普及促進、燃料費用の補填、ピーク時間帯において自家発余剰電力が適正価格で買い取られる仕組みの導入、需要家が節電する電力を入札で買い取る「ネガワット取引」の普及拡大などの政策的支援を行う。

    ②系統制約の問題については、電力品質を確保するための系統連系技術要件の緩和や送配電事業者と新電力間の連系協議の簡素化などをはかる。

    【定期点検等による停止中原子力発電所の活用】

    ③定期点検等で停止中の原子力発電所を再稼働する際には、安全性の強化・確認を国の責任において行うことと、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解を得ることを前提とする。

    ④安全性の強化・確認と周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解については、以下の内容を基本とする。その上で、停止中原子力発電所の再稼働については、国民生活や産業・雇用に与える影響などを勘案し、国が責任を持って判断する。

    <安全性の強化・確認について>
    原子力規制組織、原子力安全規制(事故を踏まえた新たな規制基準を含む)、原子力防災体制という視点から、安全性の強化を行う。

    a)原子力規制委員会は、規制機関として信頼されるために、その目的が「確立された国際的な基準を踏まえた原子力利用における安全の確保(設置法第一条)」であることを踏まえ、強い権限と原子力に関する高度な知見を持ち、政治および行政からの独立性の高い組織とする。

    b)原子力安全規制については、以下の点について見直し・強化をはかる。

    ア)原子力安全規制は、国内外の幅広い専門家等の意見やIAEA(国際原子力機関)による指摘、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、科学的・技術的知見を基本に、国際的な基準や先行する海外事例との整合を図りつつ、原子力安全規制の実効性を高めるよう、更なる原子力安全の向上に不断の見直しをはかる。

    イ)原子力規制委員会は、新規制基準の適合検査について、審査体制の強化をはかるとともに、規制機関として行った評価や判断について、原子力規制に関する理解と信頼をより一層高めるため、周辺自治体を含めた地元住民や国民に分かりやすく、十分かつ丁寧に説明責任を果たす。

    ウ)長期間の運転に伴って生じる原子炉等の劣化状況を踏まえた稼働上限を導入する。(注1)

    エ)事業者自らも安全性向上に取り組む責任を明確化する。

    c)原子力防災体制については、少なくとも以下の点について見直し・強化をはかる。

    ア)原子力規制委員会により策定された原子力災害対策指針については、新たに得られた知見、地方自治体の取組状況や意見、防災訓練の結果等を踏まえ、実効性向上のため継続的に見直し・強化をはかる。

    イ)災害発生時等に国民の生命・健康が確保される措置を導入する。

    ウ)国は、地方自治体の実施する避難計画や地域防災計画の策定と運用など地域の実情に応じた原子力防災対策の強化等に対し、各自治体に任せるだけでなく、主体性を持ち積極的に関与するとともに、その責任を果たす。(注2)

    <周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解について>

    a)国は、自らの責任において安全性の強化・確認を行ったことを丁寧に説明し、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解を得る。

    b)国は、説明にあたっては、国民が正確・透明・公正であると判断できる情報および、その根拠となるデータを含めて公開する。

    c)周辺自治体を含めた地元住民や国民に対する説明は、専門用語だけではなく、一般に理解しやすい平易な用語を使って行う。

    d)周辺自治体の範囲としては、政府が法定化を検討している防災指針において、避難や屋内退避等の準備が求められることになる「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)」とすることも考えられる。

  2. (2)無理のない省エネによるエネルギー需要の抑制をはかる。

    ①東日本大震災によるエネルギー供給制約の教訓を踏まえ、需要を効率的に管理・制御することで省エネをはかるとともに、その経験を中長期な省エネの取り組みにつなげる。

    ②省エネ製品買替支援の補助金、購入・改築した住宅が省エネ型(高断熱性能など)である場合の補助金や税制優遇措置、HEMS(家庭内エネルギー管理システム)・BEMS(ビルエネルギー管理システム)導入のための補助金などの政策的支援を行い、省エネ製品、ZEH・ZEB(年間に消費するエネルギー量が概ねゼロになる建物)などの導入を促進すべき。

    ③貯蔵が困難である特性を持つ電力については、ピーク時の需給調整に応じる代わりに割引を行うなど価格メカニズムを活用してピーク需要が抑制される料金体系の導入・普及を促進することや、コージェネレーションシステム、家庭用燃料電池や電気自動車などを含む蓄電池、ガス・灯油空調導入のための補助金などの政策的支援を行い、ピークに着目して需要を抑制する。

    ④家庭部門やオフィス等においては、照明の抑制、冷蔵庫や空調設備の温度設定を無理のない範囲で控えめにするなど、一人ひとりの省エネ意識の醸成や取り組みの周知拡大と意識付けを粘り強く行う。その際には、エネルギー需給の見える化をはかる。

    ⑤電気事業者には、電力需要の状況や揚水発電所を含む既存発電設備の稼働状況について情報公開・情報提供を求め、節電行動につなげる。

    ⑥産業用部門における、操業調整などによるピークカット、ピークシフトは、育児・介護環境などの周辺分野での対応が必要となるなど、労働者への影響が極めて大きいことから、可能な限り回避する。やむを得ず行う場合には、労働者の負担にならない形で行うように、育児・介護環境などの周辺分野も含めて対応する。

  3. (3)政府は、原子力施設のみならず、火力発電所、送変電設備、ガス施設、製油所、再生可能エネルギー発電設備等の主要なエネルギーインフラ施設の安全対策および大規模災害時におけるライフライン確保・国民生活の安定化策を強化する。
  1. (注1)改正原子炉等規制法(2012年6月20日可決成立)では、発電用原子炉を運転できる期間は原則として40年とされた。ただし、法の施行状況を勘案して速やかに検討を行い、必要に応じて見直すとしている。
  2. (注2)政府の防災指針の見直しについて、原子力規制委員会は、2012年10月に原子力災害対策指針を策定し、「予防的防護措置を準備する区域(PAZ:原子力施設から概ね5kmが当面の目安)」、「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ:原子力施設から概ね30kmが当面の目安)」を設定した。これに伴い全国にある原発の半径30km圏の自治体に地域防災計画の策定が義務づけられた。

2.中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減し、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会をめざすための政策を推進する。

  1. (1)国は、以下の基本的方向性および各種エネルギーの位置づけを踏まえ、原子力エネルギーに代わるエネルギー源を確保する。

    <基本的方向性>

    ①わが国においては、原子力エネルギーに代わるエネルギー源の確保、再生可能エネルギーの積極推進および省エネの推進を前提として、中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減していき、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会をめざしていく。

    ②新しいエネルギーミックスを構築する際には、「安全・安心」「エネルギー安全保障を含む安定供給」「コスト・経済性」「環境」の視点から検討する。併せて、国民生活や雇用、経済への影響を明らかにする。

    <再生可能エネルギーの位置づけ>

    ③再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマス(食用農作物を除く)等)はエネルギー自給率の向上や温室効果ガス排出量の削減の有効な手段であり、原子力エネルギーに代わるエネルギー源の柱とするべく導入拡大を進めていく。

    ④太陽光・風力などは出力変動が大きいことから、これらの導入が進むことで、需給調整・系統安定化について今後、更なる取り組みを行う。この点、水力・地熱・バイオマス(食用農作物を除く)など供給安定性に優れる再生可能エネルギーの導入拡大が重要である。

    ⑤電気利用だけでなく、再生可能エネルギーの熱利用についても開発・普及を進めていく。

    <化石エネルギーの位置づけ>

    ⑥原子力エネルギーへの依存度を低減していく中で、再生可能エネルギーの導入拡大には一定の時間を要することを踏まえると、安定供給やコスト・経済性、ベース電源からピーク電源まで幅広く活用できること、再生可能エネルギーの大量導入に伴う調整力としての役割などの観点から、今後とも化石エネルギーが重要な役割を果たしていく。。

    ⑦一方、CO2削減をはじめとする地球温暖化対策は今後とも必要であり、より環境負荷の小さい資源にシフトするとともに、化石エネルギーの徹底した高度利用を進める。

    <原子力エネルギーの位置づけ>

    ⑧ひとたび原子力発電所事故が起これば、人々の生活や広範な環境に甚大な被害をもたらす可能性があることを踏まえ、安全・安心の観点から、原子力エネルギーに対する依存度は、再生可能エネルギーや化石エネルギーなどによる代替エネルギー源の確保を前提として、中長期的に低減させていく。

    ⑨既存の原子力発電所については、原子力に関する新たな規制組織・安全規制・防災体制の確立など、安全性の強化・確認を国の責任で行うことと、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解を得ることを前提に、代替エネルギー源が確保されるまでの間、活用していく。なお、建設中の原子力発電所については、停止中原子力発電所の再稼働に関わる考え方(1.(1)③~④参照)に準じて対応する。

    ⑩原子力発電所の新増設や既設炉リプレースは、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解の観点から、現時点では困難である。代替エネルギー源の確保、原子力技術の革新、使用済燃料の貯蔵・処分状況などを勘案して国が新増設等について責任を持って判断し、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会を目指していく。

  2. (2)再生可能エネルギーは、エネルギー自給率の向上や温室効果ガスの排出削減の有効な手段であり、また、分散型エネルギーシステムの重要な構成要素でもあることから、原子力エネルギーに代わるエネルギー源の柱とするべく積極推進する。その際には、電力の安定供給への影響等も勘案し、再生可能エネルギーの特性や実態を踏まえた導入拡大を進めていく。

    ①再生可能エネルギーの積極推進に向けた支援策を講じる。

    a)再生可能エネルギーの導入に対しては、安全の確保や環境との調和、公正な競争の確保など各種規制の趣旨とのバランスを考慮しつつ、諸外国の状況等も参考に、導入拡大と国民負担の抑制を、最適な形で両立させるような施策が構築されるよう、2020年6月の「再生可能エネルギー特措法」成立以降も引き続き不断の検証を行いながら、必要な措置を講じる。

    b)「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」および2022年4月に導入予定の「FIP制度」は、再生可能エネルギーに対する投資を促進することで量産効果を通じた価格低減が実現し、市場が確立されるまでの経過的な措置とする。

    c)「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」の運用にあたっては、以下の点(ア)~ク)に留意する

    ア)買取価格の決定は、所得や地域間での格差の拡大や大口需要者等における雇用問題を考慮した上で、調達価格等算定委員会において、コスト効率的な再生可能エネルギーの導入を促す観点から慎重に検討する。

    イ)制度実施に伴う企業や国民の負担について明らかにする。

    ウ)買取価格は、再生可能エネルギーの発電設備の区分、設置の形態および規模ごとに決定する。

    エ)買取に要する費用の負担は、電力消費者に対して全額を賦課するが、その際には全国一律に調整するなど公平性を担保する。

    オ)送配電事業者および小売電気事業者は、正当な理由がない限り、買取や系統への接続を拒むことはできない。

    カ)再生可能エネルギー事業の適正な実施を担保するため、安全規制や立地規制等の他法令の遵守や認定情報の公開に取り組むとともに、不適切な事業者に対しては認定の取消等、厳正に対処する。また、相次ぐ自然災害等で安全管理上の事故が多発している太陽光発電設備の保安規制について、公衆安全並びに作業安全を確保する観点から強化を図る。

    キ)固定価格買取制度の詳細設計や運用にあたっては、公平な競争環境の確保を図るとともに、再生可能エネルギーの増加と電力安定供給の確保を両立するための調整電源の維持・確保策を講じる。

    ク)今後大量に発生する、買取期間が終了する再生可能エネルギー固定価格買取制度対象電源については、当該買取期間においてすでに投資回収がなされていることを踏まえ、エネルギー供給の一翼を担う自立した電源として安定的な発電継続を可能とするような方策について検討する。なお、2009年に開始された余剰電力買取制度の適用対象である住宅用太陽光発電設備は、2019年以降順次、10年間の買取期間を終えることから、買取期間の終了とその後の対応について、官民一体となって広報・周知を徹底する。

    d)「FIP制度」の導入にあたっては、再生可能エネルギーの最大限導入と国民負担抑制との両立、主力電源化に向けた電力市場への統合という制度改正の趣旨が堅持されるよう、対象となる電源、規模、プレミアムに係る参照価格の見直し期間等について定めるとともに、制度導入後も不断の検証を行い必要な措置を講じる。

    e)「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」および導入予定の「FIP制度」について、国の明確な責任のもと国民に対し重点的な周知・広報を行う。

    f)家庭用の再生可能エネルギー導入の初期コストの低減をはかるため、固定価格買取制度(FIT制度)に補助金を組み合わせるなどの政策的支援を引き続き行う。

    g)再生可能エネルギーの導入拡大やレジリエンスの強化、デジタル化への対応など電力ネットワークを巡る環境変化等に的確に対応するため、送配電設備の整備とこれに必要な投資を確保することとし、そのための託送料金制度の設計にあたっては、中長期的な電力安定供給の確保とこれを支える人材の確保・育成等に支障が生じないよう、現場実態や地域特性など関係者の意見等を踏まえながら検討する。

    ②再生可能エネルギーの積極推進において、以下の点a)~f)に留意する。

    a)再生可能エネルギーの導入にあたって地域の人の意見が反映され、出資などによって地域の人が参画し、地域に利益が還元される仕組みづくりを支援する。

    b)再生可能エネルギーの導入拡大の進展により、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」による電力消費者に対する賦課金の増大や、電力多消費産業においては雇用への影響が深刻な問題となっており、引き続き制度の運用状況を注視するとともに、特に、企業や国民負担の妥当性や納得性、再生可能エネルギーの導入量とCO2削減効果、費用負担方法のあり方、国内産業の成長や雇用の創出効果、海外制度の動向などを精査し、最大限の政策効果と全体最適が確保されるよう柔軟かつ機動的な見直しを行う。

    c)再生可能エネルギーの導入拡大と国民負担の抑制を両立するため、まずは既存系統を最大限に活用する。その上で、再生可能エネルギーの導入拡大をはじめとした環境変化を踏まえた送配電ネットワークの強化・広域化をはかるとともに、蓄電池や電気自動車などの新たな設備と火力、水力(揚水を含む)、コージェネレーションシステムといった既存設備を有効に組み合わせて活用することで需給調整・系統安定化をはかる、いわゆるスマートグリッドをはじめとするエネルギーマネジメントシステムなどを中長期の視点から構築していく。また、その際の必須機器であるスマートメーターについて、関連労働者の雇用安定等に配慮しながら、その導入を加速する。

    d)これら需給調整・系統安定化に伴うコストは、最終的には電力消費者が負担することになることから、その導入のスピードや範囲は慎重にこれを検討する。系統安定化対策について公衆・作業安全の確保との整合をはかる。

    e)国は、太陽光パネル等の再生可能エネルギー発電設備について、耐用期限経過後の大量廃棄に備え、設備のリユース・リサイクルや適正処理とともに、発電事業者等のユーザーによる回収・処理費用負担のための措置を講ずる。(「環境政策」6.(19)より再掲

    f)国・地方自治体は、太陽光発電事業に関して、生態系への配慮や、不適切な森林開発等に起因する土砂流出や濁水の防止等に向けて環境影響評価法の対象とし、副次的影響を精査する。(「環境政策」2.(11)より再掲

  3. (3)化石エネルギー(石油、天然ガス、石炭)については、原子力エネルギーへの依存度を低減していく中で再生可能エネルギーの導入拡大には一定の時間を要することを踏まえると今後とも重要な役割を果たしていくことになる。その際、地球温暖化対策の側面からは、より環境負荷の小さい資源にシフトするとともに、化石エネルギーの徹底した高度利用を進める。

    ①化石エネルギーの高度利用に向けた支援策を講じる。

    a)化石エネルギーの高度利用に関しては、IGCCやIGFC、高効率ガスタービンなど、先進的な技術開発とその普及を支援する。

    b)燃焼効率の良いバーナーへの取替え促進など、需要先での効率化・高度化をはかる。

    c)石油火力発電設備については、燃料貯蔵が容易で供給弾力性に富むという特性や、ピーク対応、あるいは再生可能エネルギーに対するバックアップ用として当面は一定数量が必要であることを踏まえ、老朽化した石油火力発電設備はリプレースによってその高効率化をはかる。

    ②化石エネルギーの安定的・低廉な価格での供給策を講じる。

    a)中東における地政学的リスクの増大や資源ナショナリズムの動き、新興国のエネルギー需要増大を踏まえ、官民一体となった資源外交の強化などにより、シェールガスなどの非在来型資源も含めた多様な権益や海上輸送路の確保をこれまで以上に支援し、海外にその大半を依存する化石エネルギーの安定的・低廉な価格での調達手段の確保をはかる。

    b)日本の排他的経済水域内に豊富に存在していると推定されるメタンハイドレートについては、メタンガスを安定的に取り出す技術や、空気中への大量のメタンガス放出を防ぐ技術の確立を進めるとともに、将来の商業資源化に向けて積極的に調査研究を進める。

    c)産油国との関係強化、中東依存度低下、油田の効率的資産買収、石油の安定供給に努めるとともに、石油価格や輸入量の変動に対応できる体制づくりをめざす。また、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」の透明・公正な支援・連携によって、自主開発体制の強化をはかるとともに、国内資本により透明かつ効率的な運営を行う。

    d)LNG・LPガスの安定供給確保に向けて、輸入先の分散化と産出国との関係強化に向けた積極的な資源外交などに努める。また、LPガスについては国家備蓄目標の早期達成と制度の確立をはかる。

    e)環境負荷の軽減、ガスの効率的供給を進める観点で、国内パイプライン網を整備し、天然ガスの利用促進をはかる。また、ガス冷房の普及拡大や多様な料金メニューの設定等による季節間・昼夜間の需要の平準化、保安の強化等を促進しながら、安定供給に努める。

    f)海外産炭国への生産・保安技術協力を通じて海外炭の安定確保をはかり、石炭の安定供給を確保する。

    g)東日本大震災によって脆弱さが露見した国内における石油・ガスのサプライチェーンを強化する。とりわけ、製油所の耐震政策やガス導管の耐震化などの供給インフラの耐性強化を行う。

    ③世界規模での地球温暖化対策と産業発展・雇用増大に向けた支援策を講じる。

    a)わが国は、優れた石炭利用技術をはじめ、世界最高水準のエネルギー利活用技術を有していることから、知的財産保護などに留意しつつ海外においてこれらを活用し、世界規模での地球温暖化防止に貢献するとともに、産業発展と雇用増大につなげる。

    b)CCS(CO2回収・貯留)、CCUS(CO2回収・貯留・活用技術)について、経済性や環境課題の解決に加えて、貯留場所確保のための国際的な連携や社会的合意の形成についても支援し、開発・普及により、発電所等の大規模CO2発生源での実装を進める。

    ④低効率石炭火力発電所の段階的休廃止の実行は、供給安定性や経済性に優れる石炭火力の重要性や、関連労働者の雇用への影響等を踏まえながら、適切な政策支援を講じた上で、慎重に行う。

    a)自家発電設備を有する企業は、すでに省エネ法の規制を製造プロセス全体で受けていることから、新たな規制を設けない。

    b)とりわけ、廃業や雇用の喪失に直結しかねない小規模な独立系発電事業者や共同火力等に対しては、地域性や個々の事情などを踏まえ、慎重に対応する。

    c)既存の低効率石炭火力発電所については、わが国における優れた石炭利用技術を活用し、高効率な石炭火力発電への移行を促進する。

  4. (4)原子力エネルギーに関する諸課題への取り組みを進める。

    ①原子力エネルギー規制の強化・見直しをはかる。(1.-(1)-④〈安全性の強化・確認について〉-a)~b)参照

    ②原子力エネルギーのリスク管理を強化する。

    a)原子力防災体制について、防災指針などの見直しを行う。(1.-(1)-④〈安全性の強化・確認について〉-c)参照

    b)労働者の放射線防護基準について、国際放射線防護委員会の勧告基準に沿って基準を整備し、関係者に分かりやすく周知する。

    c)現在、電源立地制度にもとづく交付金の交付を受けている自治体においては、中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減していく中でも安定的に住民の雇用が確保され、電源立地地域が健全に発展していけるような支援を行っていく。

    d)使用済燃料は、既に相当量が存在しているなど、放射性廃棄物の処分は今後の原子力エネルギーの位置づけ如何に拘わらず解決しなければならない課題であり、その処理についてはこれ以上、子や孫の世代に先送りしない。高レベル放射性廃棄物および廃止措置等に伴って生じる低レベル放射性廃棄物の処分事業は、その事業の性格上、地元住民や国民の理解を得ながら、従来以上に国が前面に出た取り組みを行うとともに、最終処分場の選定においては、公正な手続きにもとづく社会的合意が尊重されるよう取り組む。

    e)使用済燃料の貯蔵容量に余裕がなくなっている状況を踏まえ、乾式貯蔵を含めて、国が積極的に関与し、幅広く貯蔵容量増加対策を進めていく。

    f)使用済燃料の処分を進めるため、放射性廃棄物の処分・貯蔵にかかる負荷軽減がはかられる再処理について、わが国の独自技術などにこだわることなく可能な限り早期の実用化に取り組むとともに、青森県など関係自治体との関係、技術・人的基盤への影響に留意しつつ、将来の政策選択肢の確保という観点から、並行して直接処分や暫定保管を可能とするための技術開発など、多様なオプションの検討を進める。

    g)原子力発電所事故の影響は国境を越える可能性があることから、今後、多数の原子力発電所の新設が見込まれるアジア地域も含めて国際的な事故被害を解決するための仕組みづくりにも取り組む。

    ③原子力エネルギーに関する国と原子力事業者の責任区分を明確にする。

    a)万一、原子力発電所に関わる事故が生じた場合には、被害を受けた住民や事業者が将来の健康管理なども含めて長期的に賠償・支援を受けられる体制が必要であることから、一義的には原子力事業者が引き続き無過失責任を負って賠償や支援に取り組む。

    b)一方、原子力発電は国がその政策として推進してきた経緯があるため、国は、原子力損害賠償法の趣旨を踏まえ、国民負担にも留意しながら、被害を受けた住民や事業者が適切な賠償・支援を受けられるよう必要な措置を講じる。

    c)被害者に対する仮払いなどの措置を含め、賠償指針が迅速に策定されるよう、国や原子力事業者の体制を事前に整備する。

    ④原子力技術と人材を確保する。

    a)原子力エネルギーへの依存度を低減していく中にあっても、安全を確保するための原子力技術と人材、あるいは高経年廃炉、放射性廃棄物の処分に関する技術と人材などを確保する。

    b)福島第一原子力発電所事故を受けて、今後は事故時の労働者の安全確保、事故を起こした原子力発電所の廃炉、除染、使用済燃料の貯蔵といった分野における技術と人材を育成・確保していく。

    c)福島第一原子力発電所事故の教訓も含めてわが国が持つ高度な技術・人材により、原子力利用に関する安全確保やリスク管理の向上などの分野で世界に対して貢献していく。

    d)国は、原子力事業者、大学、メーカー、研究機関などと密接に連携しながら、原子力技術と人材の安定的確保について、引き続き責任を持って取り組んでいく。その際には、原子力エネルギーに携わる人材が誇りと自信を持って働けるための環境を整備する。

  5. (5)省エネの推進、省エネ技術・製品の普及、エネルギー節約型のライフスタイル・ワークスタイルの普及をはかる。

    ①省エネ技術・製品の開発・普及に向けた支援策を講じる。

    a) 省エネ製品買替支援の補助金、購入・改築した住宅が省エネ型(高断熱性能など)である場合の補助金や税制優遇措置、HEMS(家庭内エネルギー管理システム)・BEMS(ビルエネルギー管理システム)導入のための補助金などの政策的支援を行い、省エネ製品、ZEH・ZEB(年間に消費するエネルギー量が概ねゼロになる建物)などの導入を促進すべき。(1.(2)②より再掲

    b)中長期的に省エネ効果を維持・向上していくためには、省エネにかかる技術・製品の研究開発が重要であることから、研究開発投資に対する補助金や税制優遇措置などの政策的支援を行う。

    c)省エネは、電力についてだけ行うのではなく、熱や動力なども含めて検討し、ガスや石油製品も含めた最適活用を通じてエネルギー効率を高め、エネルギー全体の消費を抑制していく取り組みを進める。

    d)省エネに資する国土インフラとして、コンパクトシティ化やモーダルシフトを推進する。

    e) 諸外国では使用禁止であるが、わが国の省エネ基準では適合品となっている製品については、その基準を見直し、一層の省エネ推進をはかる。

    ②ピークに着目した需要抑制・節電を促進する。

    a)貯蔵が困難である特性を持つ電力については、ピーク時の需給調整に応じる代わりに割引を行うなど価格メカニズムを活用してピーク需要が抑制される料金体系の導入・普及を促進することや、コージェネレーションシステム、家庭用燃料電池や電気自動車などを含む蓄電池、ガス・灯油空調導入のための補助金などの政策的支援を行い、ピークに着目して需要を抑制する。(1.(2)③より再掲

    b)ピーク時の節電を進めるため、市場黎明期にある蓄電池の普及を政策的に支援することで、量産効果を通じて、安全・高品質な製品の価格低減と市場確立を促進する。

    ③エネルギー節約型のライフスタイル・ワークスタイルの普及を促進する。

    a)家庭部門やオフィス等においては、照明の抑制、冷蔵庫や空調設備の温度設定を無理のない範囲で控えめにするなど、一人ひとりの省エネ意識の醸成や取り組みの周知拡大と意識付けを粘り強く行う。その際には、エネルギー需給の見える化をはかる。(1.(2)④より再掲

    b)照明に要するエネルギーの削減を進めるため、自然の光を取り込む技術の開発・普及を進める。

    c)空調設備の温度設定を控えめにするために季節ごとの気候に合わせた服装で勤務すること(スーパークールビズなど)の定着や、環境配慮型の消費行動の促進など、エネルギー節約型のライフスタイル・ワークスタイルの醸成・定着に取り組む。

  6. (6)分散型エネルギーシステムの開発・普及を促進する。

    ①東日本大震災により、大規模電源に電力供給の大部分を依存する体制から、再生可能エネルギー、自家発電設備といった分散型エネルギーと大規模電源が相互に補完的な役割を果たす新しい電力供給体制への変革を進める。

    ②分散型電源には、発電場所と需要場所が近接することで送電ロスを抑制することができ、また、コージェネレーションシステムや蓄熱設備では熱エネルギーを有効活用することも可能であり、分散型エネルギーの開発・普及を促進し、地域の特性に合わせたエネルギー使用効率を高める。

    ③分散型エネルギーは、平時だけでなく非常時も想定に入れて活用できる仕組みづくりを進める。また、小型石炭火力発電などの自家発電設備については、コージェネレーションとしての高効率化とC02源対策を推進するための政策的支援を行う。

    ④再生可能エネルギーの導入にあたって地域の人の意見が反映され、出資などによって地域の人が参画し、地域に利益が還元される仕組みづくりを支援する。(2.(2)②aより再掲

    ⑤未利用エネルギー(生活排水・下水の熱、工場等の排熱、河川・海水の熱、雪氷熱など)について、高温域から低温域にわたる各段階において、発電用途も含めて無駄なく組み合わせるエネルギーシステムの整備を通じて、熱需要に対応する研究開発・普及を進める。

  7. (7)エネルギー供給は国民生活・経済活動に必要不可欠であり、エネルギーに関する基本政策などの策定にあたっては、国民の理解・納得、国民合意を得る。

    ①政府は、国民への「情報公開・情報提供」を適切に行った上で、「公正な手続き」を経て、エネルギーに関する基本政策について国民の理解・納得、国民合意を得る。

    ②国民に正確・透明・公正に「情報公開・情報提供」を行う。

    a)国民に説明する際には、正確・透明・公正であると判断できる情報が根拠となるデータを含めて公開し、周辺自治体を含めた地元住民や国民に対する説明は、専門的な言葉ではなく、理解しやすい平易な言葉を使用する。

    b)国民が、提供される情報を正確・透明・公正であると判断できるようにするため、国民の国に対する信頼を回復する。政府は、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故以降の対応によって、とりわけ原子力エネルギー政策に関する国民からの信頼が著しく低下していることを真摯に受け止め、その信頼回復に向けた懸命な努力を行う。

    ③国民の理解・納得、国民合意のための「公正な手続き」を行う。

    a)「公正な手続き」は、府省庁の枠を越え政府全体で認識を共有しつつ国民の理解と協力のもとで、労働代表、産業代表、消費者代表など広く国民各界各層が参加する公正で透明な国民的議論を経て確立する。

    b)「公正な手続き」が安定的に運用されるためには、原則として法律の定めによることが望ましいことから、事前に様々な事態を想定した「公正な手続き」を法制化する。

  8. (8)電力システム改革は、「品質や供給信頼性を含めた安定供給」、「安全確保」、「安定的で低廉な価格」、「事業者の創意工夫によるサービスの向上」を目的として進める。

    ①電力システム改革を進める際には、安定供給、保安の確保、ユニバーサルサービスを前提とする効率的な供給体制が構築・維持されるよう、必要に応じて改善策を講じる。

    ②送配電部門の法的分離に関する諸課題への対応については、再生可能エネルギーの普及・拡大への対応、保安・災害対応力の向上、送配電網等の効率的なインフラ整備、低廉かつ安定的な電力供給確保等の観点を十分考慮した検討を行うとともに、必要な人材の確保・育成、関連技術・技能の継承、職業選択の自由など労働者の権利、労使自治の保障を前提とする。

    ③改革の実施にあたっては、市場に参加するすべての事業者が、公益的責任を果たすことを前提とした上で、公正で中立的な競争環境を整備することとし、特定事業者に対する非対称規制や過度な行為規制は避ける。

  9. (9)ガスシステム改革は、「品質や供給信頼性を含めた安定供給」、「安全確保」、「安定的で低廉な価格」、「事業者の創意工夫によるサービスの向上」「天然ガスの普及・拡大」を目的として進める。

    ①ガスシステム改革を進める際には、消費者・社会の総合的な利益や公正・公平な競争環境の整備といった視点を重視するとともに、とりわけ、安定供給、保安の確保、大規模災害時の対応力が維持されるよう、必要に応じて改善策を講じる。

    ②導管部門の法的分離に関する諸課題への対応については、天然ガスシフトや分散型エネルギーシステムの普及・拡大、保安・災害対応力の向上、ガス導管網等の効率的なインフラ整備、導管網整備に不可欠な小売部門と導管部門の連携、低廉かつ安定的な原料調達等の観点を十分考慮した検討を行うとともに、必要な人材の確保・育成、関連技術・技能の継承、職業選択の自由など労働者の権利、労使自治の保障を前提とする。

    ③改革の実施にあたっては、市場に参加するすべての事業者が、公益的責任を果たすことを前提とした上で、公正で中立的な競争環境を整備することとし、特定事業者に対する非対称規制や過度な行為規制は避ける。

  10. (10)政府は、改めてわが国における資源・エネルギー外交の基軸を固め、資源・エネルギーの長期安定確保・供給の実現に向けて主体的役割を果たすとともに、将来にわたって資源を確保していくため、近海を含めて、開発可能な国内資源の調査・開発を進める。また、海外資源の国際共同調査・開発への支援を強化する。

    ①資源供給国との関係強化および海外資源の自主開発・共同開発の拡大に積極的に関与する。

    ②資源・エネルギー供給変動や価格乱高下に備え、国家備蓄の充実および放出態勢・基準を整備する。また、災害発生時等に備え、アクセスルート等の整備・充実をはかる。

    ③希少金属(レアメタル)、希土類(レアアース)を含めた希少資源の安定調達・供給に向けて、供給国との関係強化、供給源の多様化など、官民が一体となった総合的かつ戦略的な取り組みを行う。また、長期のリスクに備えられるよう、国家備蓄の充実および放出態勢・基準を整備する。

    ④供給国による不当な行為については、WTOへの提訴など厳正な対応を行う。

    ⑤希少資源については、いわゆる「都市鉱山」のリサイクルの事業環境整備・技術開発の促進および代替原材料の開発を進めるとともに、希少金属の海外流出抑制のための制度を創設する。

    ⑥資源・エネルギー輸送の安定・安全性確保のため、日本籍船舶と日本人船員の確保や海上輸送ルートの治安改善に向けた国際的な連携・協力など、必要な措置を講じる。

    ⑦国内炭鉱閉山後の地域活性化、雇用機会増を実現する。

    ⑧国内休廃止鉱山の管理については、地域住民の健康保護と環境保全の観点から、助成制度等による国の支援を強化する。

3.政府は、国内のグリーン・ジョブの創出と低炭素社会への移行に伴う経済・社会情勢の変化が雇用に悪影響を与えないための対策(「公正な移行」)を講じる。

  1. (1)エネルギー政策の見直しによって、国内産業の競争力低下や空洞化、国内雇用への悪影響を引き起こすことを回避する。
  2. (2)エネルギー政策の見直しは、様々な形での産業構造転換をもたらす可能性が高いことから、政府は、低炭素社会への移行に伴う経済・社会情勢の変化が雇用に悪影響を与えないための対策(「公正な移行」)をこれまで以上に講じる。
  3. (3)原子力関係産業では、中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減していく中では一定の産業構造変化が不可避であることから、「公正な移行」のための教育訓練などの支援を行う。
  4. (4)再生可能エネルギー、自家発電設備といった分散型エネルギーと大規模電源が相互に補完的な役割を果たす新しい電力供給体制を社会システムとして海外展開し、関連産業の振興と新規雇用の創出を支援する。また、再生可能エネルギー事業を展開するにあたっては、大型蓄電システムの商用化に向けた取り組みを推進する。
  5. (5)わが国は、優れた石炭利用技術をはじめ、世界最高水準のエネルギー利活用技術を有していることから、知的財産保護などに留意しつつ海外においてこれらを活用し、世界規模での地球温暖化防止に貢献するとともに、産業発展と雇用増大につなげる。(2.(3)③aより再掲)
  6. (6)燃料電池は、クリーンエネルギーであると同時に、分散型電源の普及や産業活性化にも寄与することから、さらなる技術開発を進めるとともに、安全性・耐久性等の技術基準を整備して可能な限り前倒しで広く本格導入を行う。また、家庭用定置型燃料電池の普及促進のために、補助金を拡充する。
  7. (7)燃料電池自動車、電気自動車、ハイブリッド車、天然ガス自動車等のクリーンエネルギー自動車や燃費効率の高いディーゼルエンジン等の開発・普及促進のための支援を行う。また、スマートグリッド等の次世代エネルギー社会システムの構築に重要な役割を果たす次世代自動車(ハイブリッド車、電気自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車等)を活用した充放電システムや定置型蓄電池等に対する開発および導入への支援を推進する。
  8. (8)水素社会に向けた水素供給源・供給設備に関する技術開発や水素スタンド等のインフラ整備に対する支援を継続・拡充するとともに、必要な規制の見直しを進める。要な規制の見直しを進める。

 

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