3.安心できる社会保障制度の確立|障がい児・者政策

2-10-2.障がい者が地域で生活する権利を保障したインクルーシブな社会(共生社会)を実現する。

  1. (1)障がい児・者に特定の生活様式を強いることなく、どこでどのように生活するかを自由意思のもと選択でき、地域社会で自立した生活を可能とするため、以下のとおりの対応を行う。

    ①障がい児・者の生活の場を施設から地域へ移行し、社会全体で障がい児・者の地域生活を支えるため、地域住民の理解の促進や当事者参加のモニタリング機関を設置する。

    ②制度の利用しやすさを踏まえつつ、パーソナルアシスタンス制度の導入や複数の関係者によるチーム体制の構築などにより、意思決定支援を強化し、障がい児・者の権利を擁護する。

    ③日常や災害時などの非日常を問わず、誰もが、情報アクセスやコミュニケーション、移動方法などに不自由を感じず、ユニバーサルデザインやバリアフリーなどが常に考慮され、あらゆる公共的な場における意思の疎通や情報の取得に際して不利益を被らないよう対策を講じる。

    ④地方自治体は、障がい児・者の様々なニーズに包括的に対応できる総合的な支援センターの設置を推進し、障害福祉サービス利用の援助や就業にかかる相談支援や、住居、通いの場の確保など、地域での生活支援体制を強化する。

  2. (2)障害者総合支援法にもとづく福祉サービス等に関し、以下のとおり対応する。

    ①国は、障害支援区分の認定を含めた支給決定のあり方について、地域にくらす障がい者に必要な支給量が確保されているかなどの観点で検証し、見直しを行う。その際、障がい当事者を含めた関係者の意見が反映される措置を講じる。

    ②市区町村は、サービスの申請から利用開始までにかかる期間を短縮し、サービスが速やかに提供される体制を整備する。

    ③市区町村は、支給決定にかかるサービス等利用計画案の作成にあたっては、本人の意向が十分に反映されるよう配慮する。

  3. (3)障害福祉サービスに関わる労働者の処遇の改善をはかるとともに、人材の育成・確保・定着に向けた財政支援を講じ、質の向上と安定的な提供体制を確保する。

    ①国は、福祉・介護職員等処遇改善加算を確実に現場の職員の処遇改善へと結びつける仕組みづくりを行うとともに、全産業平均との賃金格差の是正に向け、加算の維持ならびにさらなる上積みをはかる。その際、特に人材確保が厳しい訪問系サービスに留意する。また、加算をめぐる事務作業を簡素化するとともに、事業所に対する加算取得支援を行う。

    ②地方自治体は、処遇改善加算の算定にかかる職員への周知が徹底されるよう指導する。

    ③障がい者施設の職員配置基準や設置基準を、介護保険と同様の基準とする。

  4. (4)国は、精神障がい者の地域移行に向け、自宅や賃貸住宅における生活や24時間介助など医療、介護、生活面にかかる一人ひとりのニーズに基づき、地域社会における多様な生活を可能とするために必要な医療・介護・福祉サービスを整備する。また、地方自治体は、住まいの確保や相談・早期支援の充実並びに自立に向けた就業支援を行う。
  5. (5)障がい者の生活を支える支援は、障害者等手帳の有無にかかわらず、支援を必要とするあらゆる障がい者に提供する。
  6. (6)地方自治体は、積極的に地域生活支援事業の実施水準の向上に取り組む。国は、地域生活支援事業の実施水準の向上にむけて、適切な財源を確保する。
  7. (7)国および地方自治体は、障がい者の自立した日常生活や社会参加を促進するため、ユニバーサルデザインの理念をあらゆる施策に反映させ、建造物や福祉用具等の研究開発や普及のために必要な支援を行う。
  8. (8)国は、医療費負担を軽減するため、障がい児・者に対する公費負担医療制度を拡充する。
  9. (9)国および地方自治体は、災害が発生した場合には発生場所、規模、内容、今後の動向や対策など必要な情報を障がい者に提供する体制を整備する。災害情報の提供に当たっては、障がい者の特性に配慮した伝達手段やコミュニティネットワークを整備する。
  10. (10)国は、「身体障害者補助犬」(盲導犬・介助犬・聴導犬)の施策において、補助犬の育成を積極的に推進する。また、補助犬利用者に対する配慮を社会に浸透・定着させるために、積極的な啓発・広報を行い、周知を徹底する。
  11. (11)国および地方自治体は、障がい者の意思決定支援を充実するため、以下のとおり対応する。

    ①成年後見制度を利用した際に法的能力等において過度の制限を受けることがない仕組みに見直す。

    ②社会福祉協議会による日常生活自立支援事業にかかる生活支援員や成年後見制度を担う後見人を育成するため、研修を充実する。

  12. (12)国は、障がい児・者を支援する家族が仕事と家庭を両立できるための障害福祉サービスや支援体制の整備を行う。

    ①通学、通勤にかかる移動支援を地域生活支援事業から自立支援給付化し、居住地にかかわらず利用できる体制を整備する。その際、通年かつ長期にわたる外出にかかる制限を設けない。

    ②家族介護者の一時的な休息を理由とした障害福祉サービスの利用を認める。

    ③障がい当事者とその家族に対する障害福祉サービスに関する情報提供の強化や、情報交換できる場の確保を行う。

    ④支援を行う家族のための相談窓口やカウンセリング体制を強化する。

    ⑤緊急時の受け入れ体制など、利用できるサービスの確保と充実をはかる。

    ⑥障がい児・者とその家族が、希望すればそれぞれが就労など自立生活や社会参加ができるよう支援を強化する。

    ⑦家族、保育所、行政などの連携などにより、子どもに対する障がいの早期発見、早期療育を支援するとともに、社会的分離につながらないように取り組む。

  13. (13)障がいのある児童もない児童もともに教育を受けることができるインクルーシブ教育を実現するため、以下のとおり対応する。

    ①障がい児および保護者が別の方法での教育を希望しない限り、普通学級に在籍して教育を受けられる。(「教育政策」参照

    ②インクルーシブ教育を通じて、障がいのある人もない人もともに同じ地域でくらすこと(インクルーシブな社会)や、誰しもが人間の固有の尊厳と価値を有するという理念を共有する。

  14. (14)医療的ケアが日常的に必要な障がい児(医療的ケア児)への医療提供を確保するため、以下のとおりの対応を行う。(「子ども・子育て支援政策5.(4)③」より再掲)

    ①医療的ケア児とそれを支える家族への支援として、障害児通所支援事業所や保育所、幼稚園、学校、放課後児童クラブなどの職員が医療的ケアに関する研修を受講し、医療的ケアを行える人材を育成することで、医療的ケア児の受け入れ体制を充実させる。

    ②医療的ケア児等コーディネーター養成研修などの保育士の受講を支援し、看護師や担当保育士などを確保した体制を整備する。

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