- (1)福祉制度の谷間に置かれていたり、周囲からの理解が得られにくかったり、社会的支援制度の情報が不足していたりすることで、障がい者と家族は生活のしづらさに直面し、貧困に陥ることも少なくない。必要な福祉が受け入れられないまま、排除されることがないような社会を構築していかなければならない。
- (2)日本が障害者権利条約に批准・発効し、障がい者の人権の確立や当事者参画の保障などにおいて画期的な進歩がみられた。しかし、障がい者に対する差別意識は、いまだ払拭されているとは言い難い。引き続き、この間に制定・改正された各法の実効性を高めるとともに、条約の理念の共有と実践、行政や企業等の活動におけるさらなる具体化が求められる。
- (3)障害者虐待防止法が施行されて以降も、依然として障がい者に対する虐待は増加しており、その根絶に向け、一層の取り組みの強化が求められる。また、女性障がい者は、障がいに加えて女性であることによる複合的な困難を抱えている。虐待や暴力の被害に遭いやすく、経済的な自立を妨げられるなどの課題が多く存在するため、特段の支援が求められる。
- (4)障がい児は、教育・保育の機会が十分に得られない場合がある。また、18歳以降に就労の機会を得られず、生活的・経済的な自立を果たせない状況も多くあり、教育と雇用・福祉をつなぐ、総合的かつ継続的な支援が求められる。
- (5)障がい児・者の家族においては、介護などによる日常生活の負担が重く、就労継続など多くの課題が存在している。障がい児・者を支えながら働き続けることのできる社会的支援体制の整備が必要であり、障害福祉サービスなどの担い手のさらなる処遇改善を継続的に行うことで、人材確保につなげることが不可欠である。