ホームの中の労働・賃金の中の春季生活闘争の中の2014年春季生活闘争の中の方針

2014春季生活闘争方針


2014春季生活闘争方針
第66回中央委員会/2013年12月3日

はじめに

 日本社会は雇用労働者とその家族が国民の大勢を占める「雇用社会」*1と呼ばれ、働く者が安定的な雇用のもとで、安心して働くことが、日本経済・社会の健全な成長の基盤となってきた。しかしながら現状を見れば、雇用労働者の38.2%、2,043万人が非正規労働者であり、給与所得者の実に23.9%、1,100万人近くが年収200万円以下*2のいわゆるワーキング・プアと呼ばれる状態に置かれている。また、生活保護受給者は約216万人*3と依然として高止まりしている。これら傷んだ雇用と賃金、労働条件を是正せず、格差の拡大や貧困の問題を放置すれば、社会の不安定化と劣化は一層進むこととなる。すべての働くものの労働条件の改善に向けて、総力を挙げ取り組みを進めていく。

 2014春季生活闘争は、こうした状況のなかで解決すべき問題は多岐に及ぶが、すべての働く者の所得の向上を実現し、消費マインドを改善し、デフレからの着実な脱却をはかり、経済の好循環を実現させることが必要である。したがって、経済成長と整合ある所得の向上をはかっていくことが最優先であり、また、わが国経済の現状や動向を鑑みると、所得向上を勝ち取ることは今後に向けた重要なステップとなる。

 GDPのおよそ6割を占める個人消費の回復と、わが国産業の強みである「人財」を原動力とした競争力の回復こそが、持続可能な経済成長をなし遂げる王道である。デフレからの脱却や経済成長に関わる政策や企業の行動は、働く者に犠牲を強いるものであってはならず、また、それでは成り立たない。

 所得再分配機能の向上、大手企業と中小企業、正規と非正規、あるいは男女間などに存在する賃金・労働条件の格差の是正と所得の底上げ、企業間における公正取引の遵守やサプライチェーン全体での成長戦略などを通じた、商品・サービスにふさわしい価格での取引ができる社会の実現をはかるなど、社会における様々な格差やゆがみを是正し、公正性を確保することも急務である。加えて、いわゆる「ブラック企業」問題に象徴される長時間労働や不払い残業の問題など、社会的にワーク・ルールを徹底させる取り組みも重要である。

 「2014春季生活闘争」と「2014政策・制度実現の取り組み」を運動の両輪として取り組みを進めていく。さらに、闘争の展開にあたっては、日本社会の不安定化の克服の観点からも労働運動の社会化を推進し、従来の枠組みにとらわれることなく、未組織労働者の処遇改善に波及する運動も積極的に進めていくことが必要である。「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」キャンペーンと連動してあらゆる不条理と闘う取り組みを推進していく。

*1 総務省「就業構造基本調査」(2013.7.12)雇用労働者(役員を除く)5,354万人

*2 国税庁「平成24年分民間給与実態統計調査」(2013.9.27)

*3 厚生労働省「被保護者調査(月別概要:2013年8月分概数)」(2013.11.13)

I.取り巻く情勢

  1. (1)世界経済は、IMFが2013年の経済見通しを3.1%から2.9%へ下方修正する等、弱めの推移が続いている。米国の債務上限問題は、ぎりぎりのところでデフォルトは回避されたものの、年明けには同様の問題が起こりかねないリスクを抱えている。欧州経済については、債務問題に伴う調整圧力は残り、引き続き注視が必要であるが、持ち直しの様相も呈している。また、新興国の経済成長についても、上記経済見通しが5.0%から4.5%へ下方修正される等、成長減速の懸念が示されている。
  2. (2)日本の2013年7〜9月の実質経済成長率は0.5%(年率換算1.9%)*4と4四半期連続でプラス成長となり、政府も「内需の動きに底堅さが見られ、景気が引き続き上向いている」との見方を示しているが、個人消費の減速が影響したことにより、4〜6月期の実質経済成長率に比べ成長ペースは弱まっている。公共事業頼みの経済成長も長続きは期待できず、持続的な成長を果たすには、個人消費の下支えや企業の設備投資を促す必要がある。一方、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は対前年同月比では0.7%*5の上昇となっており、特にエネルギー関係(電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油及びガソリン)費用が増加しており、家計への影響も出始めている。
  3. (3)2013年度の企業業績見通しは、多くの業種で経常増益、あるいは経常赤字額の縮小が予想されており、2012年度第4四半期に明らかとなった回復基調が一層強まっている。中でも、円安の恩恵を受ける輸出産業の増益が大きいものと想定される。
  4. (4)雇用情勢については、2013年9月の完全失業率が4.0%、有効求人倍率が0.95倍と改善しつつあるが、若年層の雇用の状況は依然として厳しく、24歳以下の完全失業率は7.3%と他の世代に比べても高水準にとどまっている。社会のニーズと若者の就業希望とを調整する機能も求められており、新規学卒者の採用拡大と就職促進は引き続きの課題である。
  5. (5)労働者の雇用・労働条件は傷んだまま放置されており、復元への道筋が見えてこない。生活保護世帯・受給者は増加を続けており、2013年8月時点で、159万世帯、216万人にのぼり、受給者数については2010年に200万人を上回ったまま下がる兆候がない。2011年の世帯所得は1世帯あたりの平均所得が548万円となっており、過去最高を記録した1994年と比べて100万円以上下回っていて、家計は危機に瀕している。一般労働者の労働時間は、年換算で2,030.4時間[*6]と前年を上回る値で推移しており、高止まりの状況は改善されていない。
    賃金水準については、企業規模5名以上の一般労働者の現金給与総額で見るとピークであった1997年と2012年の差は▲4.2ポイント*7(2011年▲4.1ポイント)と改善の兆しが見えない。

*4 内閣府「2013年四半期別GDP速報(第3四半期1次速報)」(2013.11.14)

*5 総務省統計局「全国消費者物価指数(2013年9月分)」(2013.10.25)

*6 厚生労働省「毎月勤労統計」平成24年度月間労働時間の12倍した数値

*7 厚生労働省「毎月勤労統計」から連合試算

II.2014春季生活闘争の取り組み内容

1.2014春季生活闘争の基本的な考え方

 「2014春季生活闘争」を、従来からの主張である「デフレから脱却し、経済の好循環をつくり出す」ことを実現するための「底上げ・底支え」「格差是正」に向けた取り組みとして位置付け、正規・非正規、組織・未組織にかかわりなく、すべての働くものの処遇改善の実現をめざし、公正で安心・安定的な社会の実現に向け邁進していく。

 経済成長と整合ある所得の向上をはかっていくことが最優先かつ今後に向けた重要なステップとなる。10年前の「いざなみ景気」を振り返れば、戦後最長の景気拡大局面であったにもかかわらず、雇用者報酬は低下の一途をたどった。それは、企業がグローバル競争において、新興国と価格競争を推し進め、人件費を中心としたコスト削減を行った結果である。GDPのおよそ6割を占める個人消費の回復と、わが国産業の強みである「人財」を原動力とした競争力の回復こそが、持続可能な経済成長を成し遂げる王道である。デフレからの脱却や経済成長に関わる政策や企業の行動は、働く者に犠牲を強いるものであってはならず、また、それでは成り立たない。

 景気回復と物価上昇の局面にあることを踏まえ、経済成長と所得向上を同時に推し進めていかなければ、いわゆる「悪いインフレ」となり、社会が混乱する。したがって、すべての構成組織は、月例賃金にこだわる闘いを進め、底上げ・底支えをはかるために、定昇・賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保し、過年度物価上昇分はもとより、生産性向上分などを、賃上げ(1%以上)として求める。また、格差是正・配分のゆがみの是正(1%を目安)の要求を掲げ、「底上げ・底支え」「格差是正」に全力をあげる。

そのためにも、企業間における公正取引の遵守やサプライチェーン全体での成長戦略などを通じた、商品・サービスにふさわしい価格での取引ができる社会の実現など、社会における様々な格差やゆがみを是正し、公正性を確保する取り組みを進める。また、日本経済・社会の不安定化の克服に向けて、労働運動の社会化の推進や、集団的労使関係の拡大も進めていく必要がある。

 「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を追求し、最低賃金の引き上げ、非正規労働者の均等・均衡処遇の実現、就業率向上につながる職業訓練や就労支援、ワーク・ライフ・バランスの実現などの取り組みを進めていく。

2.2014春季生活闘争の具体的な要求内容

(1)賃上げ要求

  1. 1)月例賃金
    1. [1] 賃金カーブ維持分を確保し、所得と生活水準の低下に歯止めをかける。加えて、景気回復と物価上昇局面にあることを踏まえて、経済成長と所得向上を同時に推し進め、デフレからの早期脱却をめざすとともに、低下した賃金水準*8の中期的な復元・格差是正、体系のゆがみ等の是正に向けた取り組みを推進する。
    2. [2] 規模間格差や男女間格差の実態把握とその是正をはかることや、正社員と非正規社員との均等・均衡処遇の実現をはかるために、個別銘柄の賃金水準を重視した取り組みを進める。具体的には、組合員の個別賃金実態を把握し、賃金水準や賃金カーブのゆがみ、格差是正の必要性の有無等の把握に努め、これらを改善する取り組みを強化する。構成組織は個別銘柄でのふさわしい賃金水準を設定し、実現をめざした運動を展開する。
    3. [3] 賃金制度が未整備である組合は、構成組織の指導のもとで制度の確立・整備に向けた取り組みを強化する。連合が示す1年・1歳間差の社会的水準である5,000円*9を目安に賃金水準の維持をはかる。具体的な設定にあたっては、連合方針を踏まえ、構成組織が決定する。
  2. 2)企業内最低賃金
    1. [1] すべての労働者の処遇改善のため、企業内最低賃金の協定の締結拡大、水準の引き上げ、および適用労働者の拡大をはかる。このため、すべての組合は最低賃金の要求を行い、協定化をはかる。
    2. [2] 企業内最低賃金は、その産業の公正基準を担保するにふさわしい水準で協定する。
    3. [3] すべての賃金の基礎である初任給について社会水準を確保する。
      18歳高卒初任給の参考目標値……165,400円
  3. 3)一時金
    月例賃金の引き上げにこだわりつつ、年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかることとする。

*8 厚生労働省の毎月勤労統計調査で平均賃金の推移を見れば、1997年と2012年で比較すると、一般労働者で4.3%減となっている。また同省・賃金構造基本統計調査を用い、労務構成を揃えパーシェ式により連合にて計算した賃金水準は、1997年を100とした場合、2012年は産業計で6.8%減となっている。

*9 賃金構造基本統計調査から全産業・規模計(組合員の基本賃金ベース)の1年・1歳間差は5,000円(時間給では30円:月間所定労働時間165時間(※))程度と推計する。
(※)厚生労働省「平成24年賃金構造基本統計調査」の所定内実労働時間(一般労働者産業計男女計学歴計)

(2)規模間格差の是正(中小の賃上げ要求)

 企業数の99.7%、従業員数の約7割を担う中小企業*10の経営基盤の安定とそこで働く労働者の労働条件の向上、人材の確保・育成は日本経済の健全な発展にとって不可欠である。これまで以上に「中小共闘」と構成組織の力を合わせ、格差是正・底上げの取り組みの強化をはかるとともに、大手組合は、グループ・関連企業の闘争を積極的に支援する。
 中小の取り組みにおいては、賃金の底上げおよび生活の基礎である月例賃金の引き上げにこだわり、賃金カーブ維持分の確保のみならず、賃金引き上げを積極的に求めていく。同時に、適正な取引関係の確立、公契約基本法・公契約条例の制定に関する取り組みを強化する。本年は、新たに「消費税転嫁対策特別措置法」の施行を契機に消費税の転嫁拒否等の行為について連合が関係機関へ通報する仕組み(消費税価格転嫁拒否通報ホットライン(略称:「価格転嫁ホットライン」))を設置し、悪質な取引の抑制をはかり、中小企業労働者の生活や労働条件等を確保する。

■中小・地場の取り組み(2014春季生活闘争「中小共闘」方針抜粋)■

◎到達水準値の設定

組合員の賃金水準の低下を防ぎ、改善をめざすには、引き上げ幅だけの取り組みでは不十分であり、これまで地域ミニマム運動で集約された300人未満規模の個別賃金データを基にした到達水準を参考指標として設定する。

(1)2014中小共闘の到達水準値は次のとおりとする。
 なお、この水準値を目標とすることが適当でない場合は、これとは別に中小の到達水準値を設定する。

(2)最低到達水準値
 賃金カーブの低下と賃金水準の低下を防止し、底上げをはかるには下支えが必要である。年齢別最低賃金協定がない場合、中途採用者の初任賃金が企業内の賃金秩序から逸脱した賃金となっていることが危惧される。これは場合によっては必要な生計費を満たさない水準となっていることも想定され、賃金カーブを引き下げる要因となっている可能性がある。

 こうした取り組みがされていない組織は、地域ミニマム運動で得られた個別賃金データを基に、年齢ごとに最低限到達すべき賃金水準を次のとおりとして取り組みを進める。
30歳  190,000円  *2013方針:190,000円
35歳  210,000円  *2013方針:210,000円

(地域ミニマム第1四分位)

(3)地方における水準値
 中小の賃金水準は、地方における水準(地場相場)に少なからず影響される。よって、各地方連合会は、地域ミニマム運動で集約された組合員の賃金実態を基に、地域ミニマム賃金とともに到達賃金水準値を設定する。

◎賃金引き上げ要求目安

 賃金の引き上げは、過年度物価上昇相当分の確保とともに、「格差是正」「底上げ・底支え」を確実に進めていくために、賃金カーブ維持分を確保したうえで、賃金引き上げをめざすこととし、その目安を次のとおりとする。

(1)賃金カーブ維持
 賃金カーブ維持分を算定可能な組合(定昇制度が確立している組合を含む)は、その維持原資を労使で確認する。

(2)賃金の引き上げ
 景気回復局面、物価上昇局面にあることや、賃金水準の低下や賃金格差、賃金のひずみの是正をはかることをめざし、5,000円の賃金引き上げを目安とする。
したがって、賃金カーブ維持分が算定困難な組合は、賃金カーブの維持相当分の4,500円を含め9,500円を目安に賃金引き上げを求める。

*10 中小企業庁「中小企業白書」(2013年版 2013.4.26)

(3)非正規労働者の労働条件改善

  すべての働く者、とりわけ、雇用労働者の38.2%を占め、2,043万人を数える非正規労働者の労働条件の改善に重点的に取り組むことが重要である。非正規労働者の雇用や労働条件の問題は、民間の職場だけでなく、公務の職場においても、労働組合が取り組むべき課題である。
 そのため、2014春季生活闘争は、すべての非正規労働者の均等・均衡処遇の実現に向けて取り組むことを基本とし、非正規労働者の置かれた状況等が様々であることを十分に踏まえた運動を展開していく。
 すべての構成組織は「非正規共闘」に結集し、その体制の強化をはかり、非正規労働者の処遇改善に向けて取り組んでいく。また、地方連合会においても、地域の非正規・未組織労働者への働きかけなどに取り組み、組合のない職場で働く非正規労働者に波及させていく。
 具体的な取り組みにあたっては、構成組織・単組の実情に応じて中期的重点項目を設定し、均等・均衡処遇実現を含めた総合的な労働条件向上へ向けた取り組みを推進する。

■非正規共闘方針(抜粋)■

  1. 賃金(時給)の引き上げの取り組み
     時給の引き上げの取り組みは、連合が掲げる「誰もが時給1,000円」をはじめ、地域特性や職種を考慮しながら均等・均衡処遇の実現と社会的な波及を強めるため、次のいずれかの取り組みを展開する。
    (1)時給が800円に達していない組織は800円をめざし、時給が800円に達している組織は「誰もが時給1,000円」をめざす。
    (2)単組が取り組む地域ごとの水準については、構成組織は現状を踏まえ中期的に「県別リビングウェイジ」を上回る水準となるよう指導を強化する。
    (3)正社員との均等・均衡処遇をめざす観点から、昇給ルールの導入・明確化の取り組みを強化する。昇給ルールが確立されている場合は、その昇給分を確保する。
    (4)物価上昇局面であることや、景気回復局面にあること、「底上げ、底支え」「格差是正」を進めていくことが必要であることから、30円を目安に時給の引き上げを求めていく。
      なお、月給制の非正規労働者の賃金については、正規社員との均等・均衡処遇の観点から改善を求める。
  2. 均等・均衡処遇実現を含めた総合的な労働条件向上への取り組み
     すべての構成組織・単組は、組織化の状況に区別なく、労働者派遣法、労働契約法の趣旨や、パートタイム労働法の改正建議に則った取り組みを展開するとともに、組合員・従業員に対して、労働基準法等、基本的なワークルールの周知・徹底をはかる。また、パート・契約社員・派遣労働者等、非正規労働者の受け入れに関する労使協議などを実施するとともに、職場における働き方の実態やニーズに応じて、重点項目を基本に、均等・均衡処遇実現をめざした総合的な労働条件向上へ向けた取り組みを推進する。

【2014重点項目】

〈雇用安定に関する項目〉
[1] 正社員への転換ルールの導入促進・明確化
[2] 無期労働契約への転換促進

〈改正労働契約法などを踏まえた均等・均衡処遇に関する項目〉
[1] 昇給ルールの導入・明確化
[2] 一時金の支給
[3] 正社員と同様の時間外割増率適用
[4] 無期契約転換後における均等・均衡処遇の確保
[5] 福利厚生全般および安全管理に関する取り組み
[6] 社会保険の適用拡大

(4)職場における男女間格差の是正

 少子高齢化による労働力人口の減少が進む中で、女性の就業率を向上させ、女性が多様な能力を発揮できる社会を作っていくことは、日本の社会・経済の活性化と持続可能性にとって不可欠であり、喫緊の課題となっている。性別役割分業意識の払拭等を背景に制定された「男女雇用機会均等法」の定着・点検の強化をはかっていくこととする。

  1. 1)男女雇用機会均等法の定着・点検に向け、以下の課題に取り組む。
     交渉・協議にあたっては、できる限り実証的なデータに基づき点検・検証を行い、その際には、下記の点に留意する。
    [1] 配置や仕事の配分などの男女の偏在
    [2] 昇進・昇格など基準の運用による男女間格差の有無
    [3] 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの有無
    [4] セクシュアル・ハラスメント防止措置の実効性の確保
  2. 2)男女間賃金格差の是正については、個別賃金実態調査に基づいて男女別・年齢毎の賃金分布を賃金プロット手法などにより「見える化」を図り、格差の実態と要因を把握・点検し、改善へ向けた取り組みを進める。
  3. 3)処遇における男女間格差が明らかな場合は、女性に対する研修の実施や女性の少ない部署への優先配置を行うなど、積極的な差別是正措置(ポジティブ・アクション)により是正・改善を求める。
  4. 4)実質的な間接差別である生活関連手当(福利厚生、家族手当など)における「世帯主」要件の廃止を求める。

(5)ワーク・ライフ・バランスの実現

  1. 1)総実労働時間縮減に向けて
    [1] 連合中期時短方針(2007年7月中執確認)を踏まえた展開を継続して行う。
    a)年間所定労働時間2,000時間を上回る組合は、2,000時間以下とする。
    b)年次有給休暇の初年度付与日数を15日以上とし、有給休暇の取得日数の低い組合員の取得促進をはかる。なお、年次有給休暇の取得促進の取り組みを強化する必要があるが、取り組みにあたっては労働時間等見直しガイドラインも活用する。
    c)時間外労働等の割増率が法定割増率と同水準にとどまっている組合は、上積みをはかる。
    [2] 労働時間規制の取り組み(三六協定(特別条項付協定)の点検、適正化等の取り組み、インターバル規制等)や、過重労働対策を進める。
    a)労働時間の上限規制(特別条項付き三六協定)を行い、その範囲内に収めることを徹底する。また、インターバル規制(終業と始業の間の睡眠、食事などの生活時間を確保)等を設けるなど、健康を確保する観点から過重労働を是正する。
    b)休日増をはじめとする所定労働時間の短縮、労働時間管理の徹底など、産業の実態に合わせた取り組みを推進する。
    [3] 時間外割増率の引き上げ
    労基法改正に伴う労働協約整備への対応方針にもとづき、割増率については、以下の水準をめざして引き上げをはかり、代替休暇制度については導入しないことを基本とする。また、時間単位の年次有給休暇の取得については、日単位の取得が阻害されないことを前提に、労使協定の締結を進める。
    a)時間外労働が月45時間以下30%以上
    b)時間外労働が月45時間超50%以上(対象期間が3ヵ月を超える1年単位の変形労働時間制は、月42時間超を50%以上)
    c)休日50%以上
    d)労働基準法第138条に規定する中小事業主については、当分の間、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率(50%以上)の適用除外となっているが、一般事業主と同様の水準での労使協定の締結を求める。
  2. 2)両立支援の促進(育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法)
    [1] 仕事と生活の両立支援の促進に向けた労働組合の方針を明確にし、労使協議を通じてその必要性と重要性を確認する。
    [2] 改正育児・介護休業法の定着に向け、以下の課題に取り組む。
    a)法令遵守を点検し、組合員に対し周知を行うとともに、両立支援策の拡充の観点から、これを上回る内容への拡充について労働協約の改定に取り組む。
    b)育児休業、介護休業、子の看護休暇、短時間勤務、所定外労働の免除や介護休暇制度の申し出・利用などにより不利益な取り扱いが行われていないか労使で点検・検証を行う。
    c)不利益取り扱いの禁止については、労働協約の改定などルール化に取り組み、その内容を組合員に対し周知・徹底する。
    d)女性の就業継続率の向上や男女のワーク・ライフ・バランスの観点から、男性の育児休業取得促進に取り組む。
    e)非正規労働者へ制度の適用を拡充する。
    [3] マタニティハラスメントを防止するためにも、妊産婦保護制度や母性健康管理の周知について点検する。また、妊娠・出産およびこれに関わる制度を利用したことによる不利益取り扱いの禁止を徹底する。
    [4] 次世代育成支援対策推進法における一般および特定事業主行動計画の策定を労使で取り組む。その際は、計画期間、目標、実施方法・体制などを確認し、行動計画の実現による次世代認定マーク「くるみん」の取得をめざす。

(6)ワークルールの取り組み

ワークルールの取り組みについては、以下の取り組みを進める。

  1. 1)労働関係法令遵守の徹底
     正規労働者はもとより、パート・有期契約・派遣・請負労働者などについて、労働者派遣法への的確な対応をはじめ、労働契約法、パートタイム労働法をはじめとする労働関係法令の趣旨を踏まえた遵守を徹底する。
     また、障害者雇用促進法に定める法定雇用率(1.8%⇒2.0%)引き上げへの的確な対応とともに、2013年の通常国会で成立した改正障害者雇用促進法(差別禁止と合理的配慮の提供義務については2016年4月施行、精神障がい者を雇用義務制度の対象とすることについては2018年4月施行)も踏まえ、障がい者が働きやすい職場づくりへの取り組みを進める。
  2. 2)労働者派遣法に関する取り組みについて
     労働者派遣法に関する取り組みについては、「今後の取り組み」を踏まえ、法令順守の点検・周知、労働協約の整備に向けた取り組みを進める。
     また、労働者派遣法の見直し議論の動向も踏まえ、派遣先労働組合は、派遣労働者の受け入れや労働条件への関与を強化する。特に、「一般業務で1年超の派遣を受け入れようとする場合の派遣先の過半数労働組合等への通知・意見聴取義務」については、その趣旨を理解したうえで、いっそう適切な対応を行うよう取り組みを進める。
  3. 3)高年齢者雇用安定法に関する取り組みについて
     高年齢者雇用安定法に関する取り組みについて、継続雇用制度を導入し、改正法の経過措置にもとづき、その対象者の基準を労使協定で設定している場合は、「今後の取り組み」を踏まえ、希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用とする労働協約の締結に向けて取り組む。
  4. 4)労働契約法に関する取り組みについて
     労働契約法に関する取り組みについては、「今後の取り組み」を踏まえ、無期転換促進の取り組み、無期転換後の労働条件の対応、クーリング期間の悪用防止、労働条件の是正に向けた取り組みを進める。
  5. 5)労働時間法制に関する取り組みについて
     労働時間法制に関する取り組みについては、「労働時間法制の見直しにあたっての連合の考え方」(2013.10.24第1回中央執行委員会確認)にもとづき取り組みを進める。
  6. 6)快適な職場づくり
     労働災害のリスクを低減し、快適な職場づくりを推進するとともに、長時間・過重労働対策、メンタルヘルス対策、パワーハラスメント対策なども含め、労働安全衛生法などの法令遵守と安全配慮義務の履行に向けた取り組みを進める。
     職場におけるメンタルヘルス対策・受動喫煙防止対策を事業者の義務とする労働安全衛生法改正法案の内容を踏まえ、法案成立に先行して企業内の対応状況を確認し改善に向けた取り組みを進める。

3.運動の両輪としての政策・制度実現の取り組み

 「2014年度 政策・制度 実現の取り組み」と「賃金・労働条件改善の取り組み」を2014春季生活闘争における「運動の両輪」として、すべての労働者を対象にした生活改善・格差是正の運動を強力に進める。具体的には、以下の政策課題に取り組む(詳細は2013.10.24第1回中央執行委員会確認、「2014年度 政策・制度 実現の取り組み方針(その1)」参照。)

(1)暮らしの底上げを起点とした経済の好循環実現のための施策の推進
(2)「働くことを軸とする安心社会」を支える社会保障と税の一体改革の着実な前進
(3)生活できる水準への最低賃金の早期引き上げ
(4)非正規労働者の均等・均衡処遇の確立
(5)公契約基本法・公契約条例制定による公契約の適正化を含む中小企業支援のための施策の実施
(6)民主的で透明・公正な公務員制度改革の実現と労働基本権の確立

 連合本部は、政府・政党への働きかけや、関係審議会への参画などを通じて積極的に意見反映に努めるとともに、シンポジウムや学習会の開催等により、構成組織、地方連合会と一体となった取り組みを進める。さらに、政治状況や情勢変化を見極めながら、「2014年度 政策・制度 実現の取り組み方針(その2)」などで補強し、取り組みを前進させる。

III.闘いの進め方

1.基本的考え方

  1. (1)すべての労働者を対象とした闘争を展開するために、連合、構成組織、地方連合会は、その機能と力量を最大限発揮すべく、重層的かつ総がかりでの共闘体制を構築する。
     闘争による成果を広く波及させ、すべての働くものの底上げをはかるために、職場や地域で組織化を推進する。
     加えて、社会的キャンペーンを通じて、均等・均衡処遇の重要性や集団的労使関係の必要性について訴えるなど、波及力のある運動を展開する。
  2. (2)政策・制度の取り組みを運動の両輪と位置づけ、勤労者全体の雇用・生活条件の課題解決に向け、政策・制度実現の取り組みと連動させた取り組みを展開する。
  3. (3)労働基本権にこだわる闘争の展開をはかる。

2.効果的な相場波及に向けた取り組み、体制の強化

  1. (1)共闘連絡会議の運営
    1)各共闘連絡会議は相互に連携し、回答引き出し組合の集中度を一段と高めつつ、共闘内の情報交換の緊密化、中核組合を中心とする情報開示、第1先行組合・第2先行組合による相場形成と波及力の強化に向けた情報開示を進めるとともに、「共闘推進集会」等の開催を通じて、中小組合の闘争につなげていく取り組み展開と地場共闘との連動強化をはかる。
    2)個別賃金水準の維持・向上をはかるため、運動指標として代表・中堅銘柄(現在80銘柄)の拡充と開示を行うとともに、中核組合(現在約400組合)の「賃金水準」「賃金カーブ維持分」の開示を行い、賃金水準の相場形成を重視した情報開示を進めていく。
  2. (2)中小、地場共闘の体制と連携の強化
    1)中小共闘を中心に、闘争情報の交流強化、交渉ヤマ場の統一ゾーンの設定などに取り組むとともに、取り組み強化の観点から、中堅組合も含めた共闘展開を行う。
    2)地方における「地場共闘」の強化をはかり、中央・地方の連動性を高める取り組みを推進する。
  3. (3)非正規労働者の労働条件改善に関する取り組み
    1)非正規労働者の労働条件改善の取り組みは、すべての構成組織が参画する「非正規共闘」の体制と運動を強化し、展開する。
    2)組合員であるか否かを問わず、同じ職場で働く仲間の労働条件改善を進めるために、それぞれの職場の実態を踏まえて、「職場から始めよう運動」の展開をはかる。
    3)非正規労働者の処遇改善につながる先行取り組み事例を開示し、取り組みの波及をはかる。
    4)非正規労働者との対話集会の実施など、運動の社会化をはかる。
  4. (4)闘争体制と日程
    1)中央闘争委員会、戦術委員会の設置
     中央闘争委員会、戦術委員会を設置し、闘争の進め方を中心に協議を行う。
    2)要求提出
     原則として2月末までに要求を行う。
    3)ヤマ場への対応
     新年度の労働条件は年度内に確立させることを基本とする。そのために、3月の最大のヤマ場に回答を引き出す「第1先行組合」と、その翌週の決着をめざす「第2先行組合」を設定し、相場形成と波及をはかる。具体的には、共闘連絡会議代表者会議、戦術委員会等で協議する。
  5. (5)闘争行動
    1)非正規労働者に関わる「職場から始めよう運動」の展開をはかるとともに、闘争開始宣言中央総決起集会(2・6)、春季生活闘争・政策制度要求実現中央集会(3・7)、共闘推進集会(4・1)の開催など、切れ目のない取り組みを展開する。
    2)非正規労働者の底上げ・底支えのために、対話集会等の大衆行動を実施し、社会全体を巻き込む運動を行っていく。
    3)経団連や経済同友会とのトップ懇談会の他、日本商工会議所、中小企業団体中央会などとの協議を進め、労働側の主張を明確にしていく。
  6. (6)春季生活闘争を通じた組織拡大・強化の取り組み
    1)労働条件の改善を、地方や中小企業、非正規労働者など未組織の労働者に拡げていくためには、組織化は不可欠であり、組織内外へ集団的労使関係の必要性を訴えていく必要がある。
     具体的には、企業内で働く有期契約労働者、60歳以降の再雇用者、パート・アルバイトなど未組織労働者の組合員化や、組合のない子会社・関連会社での組合結成、未加盟組合に対する加盟の呼びかけを行うなど、組織拡大を積極的に進める。また、グループ内派遣会社などの組織化も着実に推進する。
     こうした運動への理解・推進をはかるために、闘争開始宣言中央集会や、地方ブロック・地方連合会におけるキックオフ集会の場で、集団的労使関係の拡大、1000万連合実現に向けた意思結集をはかる。
    2)相談体制の一層の充実により、「なんでも労働相談ダイヤル」の取り組みを強化する。

日程

12月3日(火) 第66回中央委員会(2014春季生活闘争方針 決定)
3日(火) 2014春季生活闘争・第1回共闘連絡会議全体代表者会議
2月6日(木) 2014春季生活闘争・闘争開始宣言2・6中央総決起集会
2月中旬〜下旬 各共闘連絡会議 書記長・事務局長会議
3月6日(木) 国際女性デー中央集会
3月7日(金) 2014春季生活闘争・政策制度要求実現3・7中央集会
4月1日(火) 2014春季生活闘争・共闘推進集会

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お問い合せ

連合労働条件・中小労働対策局
Fax:03-5295-0545
Email:jtuc-roudou@sv.rengo-net.or.jp

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