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賃金水準の推移


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2011年11月25日掲載

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解説

  •  前項では「平均賃金」の推移をみてきたが、この項では「個別賃金水準」の推移をみることにする。手法としては、「個別賃金水準の加重平均値」ともいうべき「パーシェ式賃金比較(性、学歴、年齢、勤続同一条件)」を用いている。なおその計算方法については、ネット掲載の<参考1 パーシェ式による賃金比較方法>を参照されたい。
  •  3-1表は所定内賃金、3-2表は一時金、3-3表は年間賃金についての計算結果をまとめたものである。いずれも1997年対各年の比較を行い、算出された比較指数をもって、「個別賃金上昇率」の加重平均値としている。
3-1図 賃金水準の推移
産業計企業規模計(1997年水準=100)
  •  3-1図は産業計規模計について、所定内、一時金、年間賃金の推移をみたものである。1985年から2010年までの25年間は、三つの時期に分けることができそうである。第1に1994年頃までの上昇期、第2は1998年までの持ち合い期、第3は1999年以降の下降期である。なお第3期については、2004年までの下降期、第4は2008年までの持ち合いないし若干の上昇期、そして2009年以降の再下降期に細分化することもできる。
  •  所定内賃金に着目すると、1994年までは着実に上昇を続ける。94年の指数は99.1であり、85年の指数77.8と対比すると、9年間で21.3ポイントの上昇である。1年あたりほぼ2.4ポイント上昇したことになる。それ以降1998年まで、ほぼ横ばい、ないしごく緩やかな上昇の状態が続く。ピークは1997年である。1999年以降低下傾向に転じ、2004年までの6年間で4.1ポイント低下する。そして2005年以降は持ち合い期となるが、2009年以降再び低下する。対前年比は2009年がマイナス1.7ポイント、2010年がマイナス0.6ポイントである。
  •  一時金の動きはよりドラスティックである。1989年(実際の支払い年は前年の1988年。以下、同じ)から92年までは、「バブル」を背景に所定内賃金をうわまわるペースで上昇する。以後1998年までは「ゆるやかな下降期」、1999年以降は「急激な下降期」となる。2004年の指数は75.0で、ピークの1992年107.2と比較すると32.2ポイントもの下落である。
  •  2005年から2008年までは、所定内賃金は持ち合いであるが、一時金は反転上昇している。2008年の指数は78.5であり、ボトムである2004年の指数75.0と比較すると、3.5ポイントの上昇となっている。しかし2009年には再び下落し、リーマン・ショックを織り込んだ2010年(支払年は2009年)の指数は65.9で、前年度比はマイナス10.2ポイントである。
  •  年間賃金では1998年以降2004年までが下降局面となっている。7年間の低下幅は8.8ポイントである。2005年から2008年まではゆるやかな上昇傾向であったが、2009年以降再下降している。2010年の指数は86.4であり、21年前の1989年とほぼ同水準だということになる。
  •  ここでいう「同水準」とは、現在45歳の人に例をとると、21年前の24歳の時と同じ水準だということではもちろんない。21年前45歳だった人の水準と比較して同水準だということである。
  •  3-1表で、所定内賃金水準の低下がもっともきわだっている産業は、道路旅客運送業である。この産業は、1992年に103.8の指数を示した後、賃金水準を下げ続け、2009年には79.2と、17年間で24.6ポイントもの低下である。ただし2010年は指数79.8と、前年度比プラス0.6ポイントである。

付論 道路旅客運送業の賃金推移

  •  賃金水準の低下が著しい道路旅客運送業について、その推移をより詳しくみていこう。3-2図がそれである。
  •  3-2図では、1997年を基準とするパーシェ式で計算した水準推移を、道路旅客運送業と道路貨物運送業、産業計(いずれも企業規模計)について示している。また賃金センサスの職種別賃金データから、タクシー運転手(男性)とバス運転手(男性)についても計算し、結果を示している。ただし職種別のデータは、学歴と勤続年数別の集計がないので、「年齢構成を同一条件としたパーシェ式」で計算を行っている。
  •  まず85年から92年までの7年間に着目すると、すべてが上昇傾向をたどっている。もっとも高い上昇率を示したのはタクシー運転手で、91年と92年の指数は105をこえている。
  •  タクシー運転手の賃金は、93年以降、急低下を始める。まさにバブル経済の終焉とともに、低下が始まるわけである。96年こそ持ち直しはしたものの、98年、99年と急降下し、2000年には指数81.3と、ほぼ85年水準にまでもどってしまっている。さらに2003年には76.1の水準にまで落ち込んでいる。 タクシー運転手の賃金がこれだけ急上昇や急降下するのは、所定内賃金のなかにしめる出来高給の割合が大きいからと考えられる。
  •  今日のタクシー運転手の苦境の原因としてしばしば指摘されるのは、2002年のタクシー業規制緩和である。表の2002年の数字をみると、前年比4.2ポイント減の77.7である。たしかに規制緩和によって賃金は低下しているが、規制緩和によって低下が始まったのではなく、不況による影響が大きかったと考えられる。2006年、2007年と急回復しているが、景気の持ち直しがその背景にあるものと考えられる。ただし2008年と2009年は再び急降下し、2009年の指数は75.5で、2003年をも下まわる水準となっている。
  •  つぎにバス運転手についてみていこう。92年まで上昇、それ以降98年まで持ち合い傾向が続くが、99年低下傾向が始まる。産業計や道路貨物運送業もこの時期、低下傾向にあるが、そのピッチは相当に早い。産業計で1年あたり平均して0.6ポイント程度の低下であるのに対し、バス運転手の場合、1年あたり1.4ポイントの低下である。
  •  バス業界では、2000年に貸し切りバスについて、さらに2002年に路線バスについて規制緩和が行われている。バス運転手の賃金低下は、規制緩和がもたらす過当競争のなかで進行してきたといえそうである。一貫した低下傾向であったが、2010年は若干の反転を示している。
3-2図 道路旅客運送業の賃金水準の推移
1985年=100

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