2006年12月8日掲載
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- 12-1表 組合員の年齢ポイント別賃金推計値 ほか
解説
- 労働働組合にとって「賃金センサス」のデータは、そのままの形ではなかなか使いにくいものである。使いにくい理由はただひとつ、集計されている賃金が組合員の現実の賃金やモデル賃金と比較して「高すぎる」ということである。「高すぎる」原因は、大きくわけてふたつあると考えられる。ひとつは、集計対象労働者の問題。労働組合にとっての関心事は、当然のことながら組合員(非管理職)の賃金である。ところが「賃金センサス」の集計対象は被雇用者であり、そのなかには部長級や課長級など役員以外の管理職層が含まれている。したがって、「賃金センサス」をベースとした賃金統計は、管理職賃金が含まれている分だけ高くなっていまい、「使いにくい」ということになる。
- 「高すぎる」もうひとつの理由は、賃金の範囲に関わる問題である。労働組合が通常考える「所定内賃金」には通勤手当は含まれていないが、賃金センサスの「所定内賃金」には、通勤手当が含まれている。
- この問題点を解消する手だてとして作成したのが、12-1表の「組合員の年齢ポイント別賃金推計値」である。作成方法は、<参考3>で説明しているが、人員の範囲としては「部長級」と「課長級」を除外し(「係長級」「その他の役職」「非役職」の合計)、賃金の範囲としては「通勤手当を除く所定内賃金」に限定して計算をおこなった結果である。12-1図では、産業計規模計の男性高卒と大卒について、全従業員賃金と組合員賃金を対比させている。ただし学歴別、職階別の賃金データが利用できるのは産業計のみであり、産業別に同一の方法で組合員の賃金推計値を算出するのは不可能である。
- 回帰分析の方法を利用して、平均的な1歳1年の賃金ピッチの平均値を計算することも可能である。計算方法は、つぎの手順である。
- 回帰分析をまず行い、1歳1年ごとの推計値を求める。
- 各ポイントについて、1歳1年上のポイントとの差額を求める。
- 1歳1年差額について、実際の人員ウエイトで加重平均を行い、「平均差額」を求める。
- 計算を行った賃金の種類は、前項で説明した「全従業員・通勤手当を含む所定内」と「組合員・通勤手当を除く所定内」の二つに加え、「組合員・基本賃金」を付け加えている。三つ目の「組合員・基本賃金」を計算するに当たっては、各種のモデル賃金調査から性学歴年齢階層別に基本給比率を求め、賃金センサスの所定内賃金に基本給比率を掛け合わせる方法で推計を行っている。

- 計算結果は12-2表の通りである。平均の1歳1年ピッチは、規模計で「全従業員・通勤手当を含む所定内」は7905円2.57%、「組合員・通勤手当を除く所定内」は6571円2.41%、「組合員・基本賃金」で5498円2.26%となる。
- 我が国の賃金決定は「定昇込みで」表示されている。個別賃金水準が上がるか、下がるか、あるいは維持されるかは、実は定昇込みの賃上げ率が1歳1年ピッチをうわまわるかどうかにかかっている。例えば1歳1年ピッチが2.5%と仮定すると、定昇込み賃上げ率が3%である場合、「2.5%」で1歳1年先輩の賃金に追いつき、3%と2.5%との差0.5%だけその企業の個別賃金水準が上昇することになる。逆に2%の賃上げ率にとどまれば、0.5%だけ個別賃金は下がるし、2.5%の賃上げなら、個別水準は維持されることになる。97年以降の賃金水準の低下は、賃下げ実施企業が多かったために生じたものではなく、「定昇込み賃上げ率」が1歳1年ピッチに及ばなかったために生じたものなのである。
- 12-3表は、1歳1年ピッチの推移を示したものであり、上段で間差額、下段で間差率を示している。12-2図は、全従業員の間差率の推移を、企業規模別に示したものである。この20年間の傾向は、「賃金カーブがねてきた」ことによって、一貫した低下傾向であった。ただし2005年については、前年比で上昇傾向となっている。
- 2005年に反転して上昇傾向になった理由としては、つぎの二つが考えられる。一つは、9章でみたとおり、標準労働者の賃金カーブが、前年比で「たつ」現象が生じたことである。もう一つは、契約社員等が表面化したことによって、中途採用者の低勤続層の賃金が押し下げられ、その結果として中途採用者の賃金カーブが「たつ」現象が生じたと考えられる。
