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連合がめざすパート労働とは


このコーナーの目次


概要

現状

働き方・暮らし方の二極化

パートタイム労働
労働条件の大きな格差
「雇い止め」の不安
正 社 員
恒常的な長時間労働
仕事と家庭の両立困難

仕事と暮らしのバランスの実現



「典型・非典型」「正規・非正規」
の区分けがない働き方


男女がともに
仕事と家庭を担う暮らし方

仕事 仕事
家庭 家庭
公正なワークルールの確立
パート・有期契約労働法の制定
最低賃金の保障・引き上げ
働く人全体をカバーする
社会保険制度に
社会保険の適用拡大
税制・手当制度の見直し
家族・企業依存から
安心を給付する社会保障へ
社会的な仕事と
家庭の両立支援策の拡充
 
労働組合の変革
「すべての働く人」のための
労働組合へ
あらゆる分野での
パートタイム労働者の組織化
労働組合活動スタイルの見直し

本文

1. 私たちがめざす社会

〜 公正なワークルール・均等待遇原則、安定・安心の社会保障を基盤とした多様な働き方・暮らし方の実現〜
 私たちは、これからの社会のありようとして、「労働を中心とした福祉型社会」「男女平等参画社会」を目指している。これは、個々人が安心感をもって、雇用や生活の不安なく、それぞれがもつ能力を高め、ジェンダーの壁に阻まれることなく最大限に発揮できる社会である。
 こうした社会をつくりあげるには、雇用・就労形態が異なっていても、公正なワークルールと均等待遇が保障された、働く側の権利を確立しなければならない。また、すべての人に安心を保障する社会保障制度を再構築し、その基盤の上で、男女が共に責任を担っていけるようにしなければならない。

(1) ライフスタイルに応じて働き方を自由に選択できる社会に
 1,000万人を超え雇用労働者の20%以上を占めるに至ったパートタイム労働者は、いまや重要な位置を占めている。パートタイム労働者は、雇用期間の定めのないフルタイム労働者に比べ、賃金や労働条件、雇用などの処遇において大きな格差がある。企業が人件費コスト削減をはかる目的で、フルタイム労働者からパートタイム労働者に置き換えていることが増加の背景にある。
 「フルタイムではなく、短時間働きたい」というニーズは存在するが、現状は、使う側にとって都合のよい選択肢ではあっても、働くものにとっての選択肢とはなっていない。働くものが、パートタイム労働を安心して自由に選択できる社会とするためには、低い処遇であっても「パート」という働き方を選ばざるを得ない現在の経済社会環境をかえていかなければならない。育児や介護など家族的な責任について、固定的な性別役割分担意識をなくし男女がともに担い、育児や介護を社会全体で支えていく基盤をつくることが必要である。同時に、パートタイム労働者に対する不当な格差をなくし、仕事に即した均等待遇原則と雇用の安定を確立することが不可欠である。これを前提として、働く側が、希望に応じてフルタイムとパートタイムとをライフステージにより、自由に行き来できる仕組みを社会的に構築しなければならない。
 パートタイム労働が社会的に確立することは、社会全体にとって、新しい可能性を開く。技術革新に追いつくためのスキルアップや自発的な能力開発の時間が生み出されること、育児や介護等の時期に男女が家族的責任を担いつつ、仕事を続けていく負担はずっと軽くなること、中高年齢層にとっても、健康状態・体力・意欲・能力に応じた働き方や緩やかなリタイアが可能となるメリットがある。

(2) ワークシェアリングを通じて、働き方と暮らし方を変革する
 経済のグローバル化とともに、市場万能主義が強まり、企業は短期業績主義に傾斜している。人減らし合理化と雇用機会を奪われたことにより、統計上だけをみても350万人を有に超える労働者が、長期間におよぶ失業状態におかれている。雇用保障と雇用創出をはかることは、私たちの焦眉の課題であり、政労使によるワークシェアリングの議論は、その重要な取り組みのひとつである。
 現在、フルタイムで働いている人の労働時間を短縮して、失業している人や新たに就労したい人に雇用機会をつくるワークシェアリングは、フルタイム労働を中心としたこれまでの雇用の仕組みを変えていくことでもある。これは政労使で共通に認識しているように、多様な働き方と暮らし方を社会全体で認め合い、そのルールを社会としてつくるということである。また、仕事の分かち合いによって失業者を減らし、雇用労働者を創出することは、失業保険等の社会的負担を減らし、税金や社会保険の支え手を増やすことになり、国民経済的にも積極的意義がある。

(3) パートタイム労働の均等待遇原則は国際的な流れ
 ILO175号パートタイム労働条約・同勧告は1994年に採択され、国際労働基準が確立した。パートタイム労働は先進諸国でも増加し、均等待遇原則の確立は、労働組合の大きな課題となっている。
 EUはパートタイム労働に関する均等待遇指令(1997年)を定め、賃金・労働条件などの処遇は、類似の仕事のフルタイム労働者に対し労働時間比例となっている。また、オランダは、均等待遇原則を基盤にワークシェアリングを政労使合意の下に導入し、失業を減らすとともに、男性も短時間労働を選択することによって、育児などの家族的責任を担う環境がつくられている。
 このように、パートタイム労働を積極的に位置づけ、均等待遇のルールを社会的に確立することは、国際的な流れとなっている。

2.パートタイム労働に関する連合の取り組み経緯と課題
(1) 基本方針の策定とパート法の制定
 連合は1989年に「パートタイム労働対策対策基本方針」(1988年の民間連合の方針を継承)を確立して取り組みを行ってきた。この基本方針では、フルタイム型パートタイム労働者の正規従業員化を進めることと、パートタイム労働者に対する政策として 1)労働基準の徹底、2)パートタイム労働法(仮称)の制定、労働基準法の改正、社会保険関係法の改正要求などの法規対策、3)労働条件の向上、4)組織化の推進を主な内容としている。1992年には公務関係のパートタイム労働対策をこれに統合し、民間、公務と一体的に取り組んできた。
 この中でパート労働法の取り組みは、連合と当時の野党である社会党、公明党、民社党、連合参議院などと一体的に展開され、政府・自民党をパート法制定に動かし、その結果、1993年に現在の「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律」(パート法)が成立した。
 しかし、行政指導を中心にしてパート労働者の処遇改善を図るこの法律は、連合と野党が求めた「短時間労働者であることを理由として賃金、休暇その他の労働条件の差別的取り扱いを禁止する」ものとは大きな隔たりがあり、今日まで改正は行われていない。また、基本方針のなかで、組織化の推進や労働条件の向上に関するものは、一部を除きほとんど進展が見られず、今なお大きな課題である。

(2) ILO175号パート労働条約・同勧告の採択
 1994年のILO総会では、175号パート労働条約・同勧告が採択された。連合は、国際自由労連の一員として積極的に採択にむけて活動し、採択に賛成したが、日本の使用者は反対、政府は棄権であった。条約は、すべての短時間労働者を対象とし、1)パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきものである、2)労働者の権利と労働条件は比較しうるフルタイム労働者と均等とすべきである、などの原則を確認している。
 この条約採択によって、その後のパート労働法の見直しに大きな影響を及ぼすことが期待されたが、政府は年功賃金制度などの日本特有の雇用慣行を理由にあげて、積極的な対応を行っていない。

(3) 98年労働基準法改正と均衡処遇の考え方
 1993年に制定された「パート労働法」は施行後3年を経過した後に見直すことになっていたが改正は見送られ、1)1998年の労働基準法の改正にあわせてパート労働者の労働条件のトラブルを防止する観点から、労働条件の文書明示を事業主に書面で交付することを義務づけることが行われた。また、2)2000年には、均衡処遇の考え方(物差し)が労使と識者によってまとめられ、労使協議の参考として行政から示された。3)連合は、パートタイム労働者の雇用の安定確保の観点から有期労働契約の更新を問題視し、基準策定を求めてきた。行政は、2000年12月に「有期労働契約の締結及び更新・雇い止めに関する指針」を定めたものの、有期労働契約のあり方についての結論を先延ばしにしてきた。

(4) 「パート・有期契約労働法の立法化」を大会決定
 2001年の連合第7回定期大会は、パートタイム労働者の均等待遇原則の確立と有期契約労働者の雇用安定確保を内容とする法律を、国民的運動によって制定することを決定した。同時に、自らの取り組みを強化する観点から「協約モデル」も確認した。なお、連合が求める新たな立法の均等待遇原則の考え方については指針に委ねており、この指針の内容を、労働組合の取り組み基準とあわせて早急にまとめなければならない。

(5) パートタイム労働者の組合加入へ──「アクションプラン21」の策定
 連合のパートタイム労働者の組合加入促進は、いくつかの構成組織では取り組みが行われているものの、全体としては組織化プラン(「アクションプラン21」)の中でようやく始まったばかりである。
 パートタイム労働者の組合員数は28万人で、短時間労働者全体の2.7%(01年)である。そのうち、264,760人が連合の組合員であり、連合組合員全体に占める割合は、3.7%となっている。パートの組合員数は、年々若干増えているものの、その数は1万人から2万人程度にすぎない。労働組合の交渉力強化のためにも、組合づくりは全力をあげて取り組む課題であるが、パートタイム労働者の組合加入と組合づくりの目標をもっている構成組織はまだ少数である。
 同じ働く仲間として、パートタイム労働者などの事業所内労働相談、対話、労働組合員の範囲など労働組合規約の見直しなどの取り組みも、これからである。

(6) パート労働プロジェクトの設置
 この「取り組み方針」で掲げた課題は、労働、政策、組織、男女平等の各分野にまたがっており、各委員会や部局による運営だけでは一体的かつ機動的な取り組みを行うことが難しい。そこで、相互の調整と取り組みの具体化を行うため、2002年4月、常任役員会の下に「パート労働プロジェクト」を設置した。随時とりまとめた対策案を中央執行委員会に諮った上で具体化していく。
 「パート労働プロジェクト」では、1)期間の定めのないフルタイム労働者に比べ、所定労働時間が短い労働者=パートタイム労働者の賃金、労働条件などの処遇改善と均等待遇原則を確立することを目的とするが、2)フルタイム・パート労働者、3)公務労働にある臨時・非常勤労働者の処遇改善・均等待遇および雇用安定についても対象としていく。

3.パートタイム労働の現状と問題点
(1) パートタイム労働者は、量的にも質的にも基幹労働力となる傾向
 2001年の年間の完全失業率が5%台となるなど、深刻な雇用失業情勢が続く中、パートタイム労働者、契約労働者、派遣労働者、請負など、非典型雇用が拡大している。とりわけ、パートタイム労働者は、1,000万人を超えている。週の労働時間は35時間以上だが勤め先の呼び名は「パート」であるいわゆる「疑似パート」も、345万人に上る。
 これらのパートタイム労働者が雇用労働者に占める割合は、20年前は1割であったが、今や2割に達している。その7割が女性であり、女性の雇用労働者の約4割がパートタイム労働者である。
 こうした数の上での増加だけでなく、処遇の改善は進まないままに、パートタイム労働者の業務内容は補助的・定型的労働だけではなく、基幹的業務にも及んでいる。パートタイム労働者が正社員に仕事を教える職場、職場の大部分がパートタイム労働者という職場も出てきている。

(2) しかし、依然として処遇に大きな格差、「雇い止め」の不安
 しかし、上記(1)のように、パートタイマーが量的・質的に基幹労働力となる傾向にあるにもかかわらず、賃金、有給休暇、福利厚生など労働条件全般について、パートタイム労働者と典型労働者との間の格差は依然として大きい。使用者がパートタイム労働者を雇う理由も、「人件費コストの削減」にシフトしてきている。
 雇用の安定という側面から見ても、期間の定めのある有期労働契約が多く、反復更新を繰り返し、実質的に常用雇用であっても、「雇い止め」の不安にさらされている。健康保険・厚生年金などの社会保険も、使用者側のコスト削減要因と働く側の就労調整誘因とが相俟って、未加入が多く、社会保険の空洞化が危惧されている。労働組合に関しても、一部の産業分野では積極的な組織化を進めているが、大半は労働組合に組織化されていない。非典型雇用であるがために、クレジットカードをつくれない、ローンを組めない例も見られるなど、社会的な身分差別とも言われるような現象も起きている。
 また、自治体の公共サービスなどにおいても、臨時・非常勤・パート労働者が増加を続けているが、パート労働法は適用されず、地方公務員法での法的位置づけも曖昧で、法の谷間に置かれているのが現状である。

(3) 長時間労働前提の典型労働者は、仕事と暮らしがアンバランス
 一方で、典型労働者(正社員)の多くは、不払い残業もふくめた長時間労働が常態化する、「オーバータイム労働者」となっている。昨今の雇用調整により、一人あたりの職務範囲が拡大していることも、この動きに拍車をかけている。そのため、仕事と家庭の両立支援の制度整備を進めても、孤立した核家族のみならず、家族的責任と仕事との両立は、ますます困難になっている。個人・家族が支え合う場であるはずの地域社会も、その担い手となるべき住民は仕事に追われて、共同体としての機能を果たせなくなっている。
 こうした、パートタイム労働者など非典型雇用と典型雇用との二極化、仕事と暮らしのアンバランスの背景には、正社員などの典型雇用は「一人前の労働者」、パートタイム労働などは「補助的、臨時的な労働力」と位置づけられてきた労働市場の二重構造がある。さらに、保育、看護・介護などを「日本型福祉社会」政策(大平内閣「家庭基盤の充実」政策)として、専ら、個人・家族・企業に委ね、社会的なサービス基盤を整備してこなかった社会政策の遅れや社会全体に存在していた性別役割分業意識が、その構造を支えてきた。

(4) 雇用労働者全体の仕事と暮らしの両立が問われている
 しかし、パートタイム労働者は、補助的・臨時的な労働者ばかりではなくなりつつあり、派遣労働者、請負労働者等もふくめた非典型労働者全般にわたって処遇の格差、雇用の不安定性、労働者保護面での問題を放置すれば、雇用労働者全体の労働条件の低下や雇用機会の減少につながりかねない。また、典型労働者に課せられた労働負荷を放置すれば、暮らしとの両立はますます難しく、子どもの健やかな育ちが損なわれたり、家族的責任のために退職を余儀なくされる労働者の増加や、住民参加の欠如で地域社会の崩壊が加速するなど、くらしの安心・安定の基盤が失われていくおそれがある。
 
 このように、パートタイム労働の問題は、雇用労働者全体の問題となっている。しかし、現状においては、仕事と暮らしのアンバランスは拡大し、また、パート労働者の不安定な雇用、大きな処遇格差という点は改善を見ておらず、これまでの取り組みだけでは不十分となっている。公正なワークルールの確立、働き方の見直し、労働組合のあり方、社会政策の充実などを視野に入れた、新たな対応が求められている。

4. 均等待遇を実現するために

〜現行の連合方針と新たに対応すべき事項〜
 連合では、これまで大会ごとの運動方針や毎年の「政策・制度 要求と提言」等においても、パート労働にかかわる方針を策定し、取り組みを行ってきた。しかし、上記の現状と課題を踏まえて、均等待遇を実現し、パート労働を主体的に選べる働き方にするためには、これらの方針をさらに具体化していくことが必要である。以下に、現行の方針とその考え方、および今後新たに対応すべき事項を整理する。

(1) 均等待遇と雇用の安定を確保する、「パート・有期契約労働法」の制定
考え方
 パートタイム労働および有期契約労働に関して、雇用・就労形態が異なること理由として労働条件の差別的取り扱いを行うことを禁止し、均等待遇を確保する。
現行の方針
2001年10月の定期大会で提起した「パート・有期契約労働法」制定する。
「パート有期契約労働法」で定める内容

雇用の基本は「期間の定めのない雇用」とし、有期労働契約は臨時的・一時的なものに限定する。
有期労働契約の締結は、なぜ期間の定めのある労働契約とするのかという理由を使用者に明示させる。雇用契約の更新は1回までに制限する。
パートタイムおよび有期契約労働者の処遇について、合理的な理由がある場合を除き、差別的取り扱いを禁止する。
パートタイムとフルタイムを行き来できる権利なども保障する。
パートタイム労働に関するILO第175号条約の批准を求める。
検討すべき事項
労働協約の整備

連合の「均等処遇に関する基準案」を策定する。
賃金(配偶者手当など諸手当の在り方、時間当たり賃金換算)、一時金、退職金、時間外・休日労働、年次有給休暇などの休暇、昇進、教育訓練、安全衛生、福利厚生などの均等処遇の考え方
フルタイマー「パート労働者」の問題についてまとめる。
短時間社員制度の導入についてまとめる。
均等待遇・雇用の安定に向けた立法化

「パート・有期契約法骨子案」(連合第7回定期大会決定)の「類似の通常労働者との差別的取り扱いの判断基準」の指針事項(上記、連合「均等処遇に関する基準案」とも関連する)をまとめる。
有期契約労働者の雇用の安定に向けた具体的施策をまとめる。

(有期契約の範囲、フルタイムとパートタイムを自由に行き来できる仕組み)
公務の臨時、非常勤の在り方をまとめる。
二重就労労働者の法制適用について考え方をまとめる。
ILO175号条約の批准について

連合が批准を求める優先条約にする方向で検討する。
批准に向けた運動(地方議会決議、職場決議などの大衆的取り組み)

(2) 企業内最低賃金協定の締結を通じた最低賃金の引き上げと労働協約の拡張適用要件の見直し
考え方
 労働組合は、企業内のパートタイム労働者の賃金水準引き上げとともに、パートタイム労働者の賃金水準引き上げに向けて、最低賃金の引き上げに取り組む。あわせて、労働協約の拡張適用を活用して、同一事業場内に働く労働者の労働諸条件の向上および地域における労働諸条件の社会的相場形成をめざす。
現行の方針
労働組合は、すべての従業員が対象となる企業内最低賃金協定の締結に取り組む。その到達目標は、第一歩として、高卒初任給水準に置き、産別最低賃金の新設・金額改定につなげ、未組織労働者の賃金水準を底上げをはかる。
労働組合法第17条および第18条で定めている労働協約の拡張適用要件「4分の3以上」を「2分の1以上」に改正する。
検討事項
法定最低賃金制度のあり方(決定方法など)

(3) 社会保険・雇用保険制度の改革、税制・手当制度の見直し、社会的な「仕事と家庭の両立支援施策」の充実
考え方
 パートタイム労働者が社会保険、雇用保険に入らないことは、社会保険制度の空洞化や就労調整により時給が引きあがらない要因となる点からも問題であり、すべての労働者をカバーする制度に改善をはかる。また、育児・介護休業法の充実や低年齢児を中心とした保育所の定員増など、子どもを育てつつ、安心して働き続けられるための社会政策を拡充しなければならない。
現行の方針
1)社会保険適用の範囲を拡大する
基本的には、一定以上の労働時間・年収のある雇用労働者は、すべて社会保険に加入することとし、具体的には、労働日数・時間に関する適用基準を、通常の労働者の「4分の3以上」、当面「2分の1以上」に引き下げる。
健康保険・厚生年金における被扶養認定の収入要件を、現行の「130万円未満」を当面「65万円未満」とする。
2)税制、賃金の手当制度を広く見直す
配偶者控除は扶養控除に一本化する。配偶者も扶養親族の一人とする。
配偶者特別控除は、夫婦単位合算均等分割制度(二分二乗制度)を新設し、現行の配偶者特別控除を改革した「扶養親族特別控除」と選択できる制度とする(給与所得収入1,231万円以下のみに適用)。
配偶者特別控除は、配偶者に限定することなく扶養親族のうち一人について適用できるものとし、その名称を「扶養親族特別控除(仮称)」に改める。
賃金における配偶者手当の支給要件を見直す。
3)社会的な「仕事と家庭の両立支援策」を拡充する
育児・介護休業法の改正により、パートタイム労働者などの有期労働者に適用する。
看護休暇の請求権化をはかる。
低年齢児を中心とした保育所の定員増、多様な保育ニーズに対応する保育体制の整備、学童保育の質・量両面の拡充。
検討事項
社会保険の適用範囲と税制など現行の方針でよいかどうか。
雇用保険の適用拡大に向けた基準の見直し
二重就労労働者の法制適用

(4) あらゆる分野でのパートタイム労働者の組織化を進める
考え方
 就労形態の多様化が進む中でパートタイム労働者の組織化に足踏みすることは、パートタイマーの労働条件向上のみに関わらず、正規従業員の雇用・労働条件にも大きな影響を及ぼし、結果として労働組合としての役割を果たすことも困難になる。構成組織・企業別労働組合において、関連会社・グループ企業も含め、「パートタイム労働者の組織化」の取り組みは、不可欠な重要課題である。
現行の方針
「組合づくり・アクションプラン21」
1) 構成組織は、組合員の範囲にかかわる規約の見直し、労働協約の改訂に取り組み、企業間・関連会社・グループ企業でのパートタイム労働者の組織化の促進をはかる。
2) 既存組織への加入による組織化が困難な場合、パートタイムのみの組合結成や地域ユニオンへの加盟に取り組む。
3) パートタイム労働者の組織化を促進するため、賃金・労働条件・均等待遇などの改善に向けた広範なパートタイム労働者との語り合い、行動の場をつくる。
検討事項
組合加入の指針策定

実態と問題点の把握
具体的組織化の取り組み

組合員の範囲の見直しによる組織化、パートタイム労働者の組合加入・組合づくり(関連会社、グループ会社、地域ユニオン)
パートタイム労働者の権利義務と組合運営(組合費・被選挙権、会議や交渉への参加等)

(5) 女性の参画を促す労働組合活動スタイルに見直す
考え方
 これまで女性組合員数に比べて女性の役員数は少なく、このことが、労働組合活動の中で女性の要望・意見を全体のものとして取り上げる機会を少なくしていたおそれがある。労働組合の活性化は、女性の組合活動への参加・参画にかかっている。職場最先端から、パートタイマーを含めた女性の参加・参画を追求する。
現行の方針
第2次男女平等参画推進計画
連合本部・構成組織・単位組織は、参画目標である「女性労働組合員比率に応じて」女性を労働組合の諸機関に参画させる。
労働組合活動自体を、家庭と両立しうる活動スタイルに改める。

5.当面する具体的取り組み
(1) 均等待遇・雇用安定に向けた立法化と労働基準の遵守
 パートタイム労働者の均等待遇と雇用安定を実現するため、「パート・有期契約労働法」の早期制定をめざす。なお、パート法改正および労働基準法改正については、この考え方に基づいて対応する。
 具体的には、a)11月の「連合パート月間」を皮切りに、処遇改善・立法化闘争を連合全体で展開していくとともに、b)市民団体・政党・個人と幅広く連携した運動とするため、2002年秋を目途に「非典型労働者の権利拡充と雇用の安定をめざすフォーラム」(仮称)を中央・地方で結成する。なお、この時期は労働者派遣事業法見直し時期とも重なるため、このフォーラムでは、労働者派遣法改正も課題としていくことを検討する。
1)
審議会対応 労働政策審議会雇用均等分科会(パート法)
厚生労働省・パートタイム労働研究会
労働政策審議会労働条件分科会(有期労働)
2) 「非典型労働者の権利拡充と雇用の安定をめざすフォーラム」(仮称)結成
3) 国会対策:議員などに呼びかける緩やかな勉強会
また、パートタイム労働者について、労働基準を遵守させる取り組みを強める。

(2) 構成組織・地方連合会における取り組み
1)各運動方針におけるパートタイム労働方針の明記・具体化
 均等待遇・雇用安定を担保した公正処遇の社会的ルール確立には、法制化と同時に、構成組織や単組自らの取り組みが不可欠である。また、地方連合会による日常的な活動も、一層強化する必要がある。
 そのため、各構成組織・地方連合会は、2002年の運動方針において、パートタイム労働者の処遇改善・雇用安定や組織化などパートタイム労働者に関する方針を明記し、その具体化に努める。
2)労働協約の整備・点検
 各構成組織は、パートタイム労働者等の均衡待遇に関する労使交渉や、労働諸条件を規定する労働協約について、組織化を前提に、全従業員を対象としたものに拡大する取り組みを実施するよう、傘下組合に対して指導する。また、各構成組織・単組は、全従業員を対象とした企業内最賃に関する協定化に引き続き取り組む、
 仕事と家庭の両立支援策では、育児・介護休業法で規定された休業、短時間勤務制度、子ども・家族看護休暇制度、転勤等に関わる配慮等について、法律を上回る水準をめざした協約締結や適用対象を非典型雇用労働者に拡大する協約整備・点検活動を展開する。
3)パート労働者の組織化など労働組合の強化・拡大
 各構成組織は、パートタイマーなどの組織化の取り組みを強化するため、組織化目標を明確にし、組織率の向上に務める。
 職場におけるパートタイマーなど非典型雇用労働者の組織化が進んでいない組合は、職場ごとの実態把握を行うとともに、非典型雇用労働者との対話活動を進め、仕事や労働条件に関する相談活動や苦情の受けつけ等を通じて、必要な課題については労使交渉のなかで取り上げていくなど、組織化活動の環境整備に取り組む。
 また、地方連合会は、職場での労働組合加盟が難しい非典型雇用労働者の組織化に向けて、個人加盟の地域ユニオン活動をさらに強化する。
 すでに組織化の取り組みを行っているところでは、より広範な組織化を行うとともに、さまざまなレベルの活動や意思決定の場に、非典型雇用労働者がより多く参画できるよう、組合員としての権利・義務のバランスにも配慮しつつ、執行委員や大会代議員選出におけるポジティブ・アクション(積極的措置)などの仕組み作りを行う。
 なお、連合は、6月にパートタイム労働者等の組織化を中心としたシンポジウムを開催し、情報交換・意見交換を行う。

(3) 政策・制度要求(社会保障制度、税制、最賃など)の取り組み
 社会保険の適用拡大については、2004年の年金制度改正に向けて審議が行われる審議会(社会保障審議会・年金部会)において、社会保険適用拡大がされるよう求めていくとともに、組織内・企業内のパート・有期労働者の社会保険適用について点検・整備を行う。また、二重就労における社会保険適用のあり方について、検討を進める。
 税制については、政府・与党による税制抜本改革議論の動向を睨みつつ、「連合 税制改革基本大綱」の見直しを行い、連合要求の実現をめざす。
 パート労働者の賃金水準決定に大きく影響する法定最低賃金については、その水準の引き上げに務めるとともに、産業別最低賃金の新設等をはかる。
 また、労働組合法の改正等による労働協約の拡張適用要件の緩和、育児・介護休業を有期契約労働者に適用する。


以上

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