事務局長談話

 
2016年01月14日
衆議院選挙制度に関する調査会答申についての談話
日本労働組合総連合会 事務局長 逢見 直人

  1. 衆議院議長の諮問機関である「衆議院選挙制度に関する調査会」(以下、調査会)は、1月14日、衆議院議員定数削減の処理や「一票の較差」を是正する方途など衆議院選挙制度に関わる課題に対する方策をまとめ、衆議院議長に答申した。本調査会は、各党による協議で国会みずからが結論を出すことができなかったために設置されたものである。今回の答申内容は、衆議院選挙における「一票の較差」が違憲状態にあると判断してきた司法の要請にこたえる内容であり、評価できるものである。

  2. 今回、衆議院議員定数削減の処理については、小選挙区選挙の定数を6人、比例代表選挙の定数を4人削減すべきと答申された。平成12年の定数削減において比例代表選挙の定数が20人削減されたことで、過度に民意集約機能が高まっていたことに鑑みれば、今回の削減の処理はバランスが取れたものといえる。

  3. また、「一票の較差」を是正する方途として、小選挙区選挙の議席配分について「アダムズ方式」が採用された。政権交代が起こりうる現行の「小選挙区比例代表並立制」の維持を前提としつつ、投票価値の較差を2倍未満とするルールを確立するとともに、人口の少ない選挙区の有権者から選挙権を完全に剥奪する可能性の極めて低い方式である点を考慮すれば、「アダムズ方式」は望ましい方式であると考えられる。

  4. 連合は、すべての政党に対し、調査会設置の経緯を踏まえ、立法府の責任として答申内容に沿った速やかな法制化を求める。
    以上

    【参考】「アダムズ方式」…各都道府県の人口を一定の数値で除し、それぞれの商の整数に小数点以下を切り上げて得られた数の合計数が小選挙区選挙の定数と一致する方式。