事務局長談話

 
2018年07月18日
参議院選挙制度改革に関する公職選挙法改正案の可決・成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
 

  1. 民主主義の根幹をなす選挙制度が歪められたことは遺憾
     7月18日の衆議院本会議で、参議院選挙制度改革に関する公職選挙法改正案が、自民党・公明党などの賛成多数により可決・成立した。国民の代表を選ぶ選挙制度は民主主義の根幹をなすルールであり、与野党で合意形成をはかることが基本であるにもかかわらず、一部の政党の思惑で制度が歪められたことは極めて遺憾である。
     

  2. 改正法案は党利党略にほかならない
     今回の法案は、「参議院改革協議会選挙制度に関する専門委員会」での度重なる協議を経てもなお各党の合意形成が見通せない中、自民党が唐突に出してきたものであり、選挙区における一票の較差是正のために埼玉県選挙区の定数を2増やすとともに、比例区において定数を4増やし、一部に拘束式の特定枠を設けるというものである。その理由は、自民党の法案提出者が「合区を踏まえて特定枠(拘束式)4増をお願いしたい」と答弁しているとおり、合区で立候補できない候補者に対する配慮と取れるが、実態は自民党現職議員の救済策にほかならず、まさに党利党略とのそしりを免れない。
     

  3. 抜本的な見直しにはほど遠く、今後のさまざまな混乱を危惧する
     そもそも、2015年7月の改正法附則第7条では、「平成31年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする」とされている。しかしながら、安倍首相自らも臨時的措置と公言するとおり、改正法案は抜本改革にはほど遠く、さらに、各党の調整を担うべき議長はその責任を放棄した。加えて、比例区でも「新たな一票の較差」を生じる可能性が指摘されるなど、今後のさまざまな混乱を強く危惧する。
     

  4. 国民の立場に立った選挙制度の実現を
     法は可決・成立したものの、投票率低下などの合区の課題が解消された訳ではなく、また前出の附則第7条の命題が立法府に突きつけられている状態は変わるものではない。加えて、選挙制度改革には、参議院のあり方、二院制の意義など、長年問われている課題についての論議も不可欠であり、国民の代表である国会議員には、そのような観点も含めて、真摯に協議を行い、合意を得るよう努力する責務がある。連合は、引き続き国民の立場に立った選挙制度の実現に向けて、与野党への働きかけを行っていく。
    以 上