事務局長談話

 
2018年07月17日
日EU経済連携協定(EPA)の署名に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸
 

  1. 自由貿易の推進にとって大きな意義
     日本と欧州連合(EU)は7月17日、東京で行われた日EU定期首脳協議において、日EU経済連携協定(EPA)に署名した。わが国経済を持続的・安定的な成長軌道に乗せ、雇用の創出・維持をはかる上で、主要な貿易相手国である日本とEUとの経済連携体制の構築は重要であると認識する。また、国際社会において保護主義が台頭する中で、世界のGDPの約3割を占める日本とEUが経済連携協定を結ぶことは自由貿易の推進にとって大きな意義を持つものと受け止める。
     

  2. 政府には国民への説明責任を果たすことが求められる
     政府は、本協定において、関税の撤廃に加え、原産地規則や地理的表示の保護など自由で公正なルールが数多く実現したことにより、わが国産品の輸出拡大や市場拡大の実現、海外展開の促進が見込まれるとしている。
     協定文の確定を受けて、政府は今後、国会における協定の承認を求める議案の早期成立をめざすとしている。政府には国会において、本協定の意義や効果、国民生活への影響や懸念される事項への対応について丁寧な説明を尽くすなど、説明責任を果たすことが求められる。

  3. 労働者の権利と労働者保護の確保を求める
     本協定において、「貿易と持続可能な開発」章が設けられ、ILOの中核的労働基準の尊重・履行などが盛り込まれたことは評価できる。一方で、欧州労働組合連合(ETUC)とともに要求してきた、効果的な労働監督に関する規定が組み込まれなかったことは残念である。連合は、本協定の取り扱いを引き続き注視するとともに、労働者の権利と労働者保護が確保されるよう、適切な対応を政府に求める。
     さらに、政府に対して、ILO中核的労働基準8条約のうち未批准の2条約(第105号:強制労働廃止、第111号:雇用及び職業についての差別待遇)の早期批准を強く求めていく。

  4. ETUCと引き続き連携
     連合はこの間、ETUCとの共同声明の発表や政府への要請行動を通じて、交渉における透明性の確保、労働者の権利保障、国内安全基準の確保などを求めてきた。この協定がわが国の持続的成長と雇用創出はもとより、日本・EUの双方における生活の質の向上とディーセント・ワークの実現に寄与するものとなるよう、連合は引き続きETUCと連携しながら、政府・政党への要請や政策協議などを通じて必要な対応を求めていく。
    以 上