事務局長談話

 
2018年06月15日
「未来投資戦略2018」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

    働く者・生活者視点での施策を講じるべき
     6月15日、政府は「未来投資戦略2018」を閣議決定した。本戦略は、「Society5.0」を本格的に実現するため、新たな「フラッグシップ・プロジェクト」を推進するとともに、「経済構造革新への基盤づくり」として「データ駆動型社会の共通インフラの整備」と「大胆な規制・制度改革」を進めるとしている。持続可能でインクルーシブな経済社会システムを実現するという方向性は連合の政策と概ね合致しているが、生活の安心・安全に懸念を及ぼす施策や労働者保護を脅かす制度の検討が含まれており問題も多い。
     政府は、すべての国民が将来に希望と安心を持てるよう、経済・産業政策と雇用政策の一体的推進、労働者保護ルールや社会的セーフティネットの強化など、働く者・生活者の視点に立った施策を講じるべきである。

  1. 介護保険外サービスの押しつけにならないよう慎重な検討を
     「フラッグシップ・プロジェクト」では、「次世代ヘルスケア・システムの構築」において、ケアマネジャーが介護保険外サービスをケアプランに位置づけさせるためのインセンティブ等を検討するとしている。要介護者等の生活に支障を来さぬよう、また、要介護者等に同サービスを押しつけることにならないよう、十分慎重に検討すべきである。さらに、「行政」「インフラ」関連プロジェクトでは、「成果連動型民間委託契約方式の活用と普及を促進する」としているが、委託先で働く労働者の適正な労働条件と質の高い公共サービスの確保を大前提とすべきである。

  2. 誰もが安心して働くことができる環境整備こそ重要
     「データ駆動型社会の共通インフラの整備」では、「人材の最適活用に向けた労働市場改革」と銘打ち、解雇の金銭解決制度について専門的な検討を行うことが示されている。誰もが安心して働くことができる環境整備こそが重要である中、「カネさえ払えば首切り自由」の制度の検討を進めようとする政府の姿勢は、批判の誹りを免れない。また、「専門実践教育訓練給付」の対象講座の拡大をはかるとされているが、その財源は、雇用のセーフティネットである雇用保険であることから、今後は一般会計による安定的な財源の確保が不可欠である。
     女性活躍については、社会的に大きな問題となっているセクシュアル・ハラスメント対策の位置づけが弱く、記載されている内容も既存の施策の徹底に止まっており、取り組みを進める意欲が見られない。
     「大胆な規制・制度改革」として、国家戦略特区における「保育支援員」を活用した「地方裁量型認可化移行施設」(仮称)の創設等が記載されているが、保育の質の確保の観点から認められない。

    引き続き「働くことを軸とする安心社会の実現に全力で取り組む
     連合は引き続き、政府に対して、持続可能で包摂的な社会の実現に向けて、すべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」をはかる政策への転換を求めていくとともに、その先にある「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、全力で取り組んでいく。
    以 上