事務局長談話

 
2018年03月29日
2018年度税制改正関連法案の成立についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 税制の抜本改革に向けた議論は深まらず
     3月28日、「所得税法等の一部を改正する等の法律案」をはじめとする税制改正関連法案が、参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。所得再分配機能の強化や社会保障制度の維持・強化に資する安定財源の確保など、税制の抜本改革が求められているにもかかわらず、行政と政治の混乱が続く中、十分に論議が深まらないまま成立に至ったことは遺憾である。

  2. 給与所得控除の見直しに際しては、課税の公平性確保が必要
     所得税・個人住民税について、給与所得控除の控除額・適用上限基準の引き下げと、基礎控除の控除額引き上げが行われる。しかし、これにより、依然として所得捕捉の格差が存在する中、結果的に事業所得の減税分の負担を一部の給与所得者などに安易に求めることとなり、税制に対する公平感・納得感を損なうものである。所得捕捉のさらなる適正化など、公平性確保に向けた一段の取り組みが必要である。
     

  3. 消費税の軽減税率導入は撤回し、真の低所得層対策を講じるべき
     今後、所得税等における人的控除の税額控除化、「給付付き税額控除」の導入、金融所得課税の強化などによる所得再分配機能の強化、自動車関係諸税の軽減・簡素化、税制全般における安定的な地方税体系の構築など、中長期を見据えた税制改革の議論が必要である。
     また、2019年10月には消費税率の引き上げが予定されているが、低所得者対策として逆進性の緩和につながらない軽減税率制度の実施は撤回し、低所得層を対象とする「消費税税額控除」を導入すべきである。

  4. 連合は引き続き「公平・連帯・納得」の税制改革を追求する
     連合は引き続き、くらしの底上げ・底支え、格差是正の観点から、税制の所得再分配機能の強化、社会保障の安定財源確保、不公平税制の是正をはじめ、働く者・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制改革に向けて取り組む。
     
    以 上