事務局長談話

 
2018年02月22日
働き方改革関連法案をめぐる問題についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 働く者の強い反対の声を受け止めるべき
     開会中の第196通常国会に提出予定とされている「働き方改革関連法案」の取り扱いをめぐり、比較すべきではないデータを比べるなどの混乱が生じている。連合はこれまで、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金の法整備などは早期に実現すべきであるが、高度プロフェッショナル制度の創設および企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大は実施すべきではないとの考え方を一貫して主張してきた。この二点に働く者が強く反対している声を国会は受け止めるべきである。
     

  2. 労政審において労働側委員は一貫して裁量労働制の拡大に反対
     企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大について、2013年10月から2015年3月に行われた労働政策審議会労働条件分科会において、労働側委員は、みなし労働時間制では長時間労働に対する抑止力が作用せず、長時間労働となる労働者の範囲が拡大するなどの懸念を主張してきたが、取り入れられなかった。また、2015年4月に提出された労働基準改正法案の内容を時間外労働の上限規制などと一体化した法案要綱の諮問・答申が、2017年9月に労働条件分科会において行われた際も、同様の懸念を表明し、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大および高度プロフェッショナル制度の創設については、長時間労働を助長するおそれがなお払拭されておらず、実施すべきではないとの労働側委員としての意見を付した。
     

  3. 不適切な運用がなされていることに目を向けるべき
     企画業務型も専門業務型も、みなし労働時間制をとる裁量労働制については、出退勤の時刻を指定されるなど業務の進め方に裁量がない事例や長時間労働によるメンタルヘルスの問題も生じている。「業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定に関し使用者が具体的な指示をしない」という制度の本旨に沿った運用がなされていない事象が散見される中で、対象業務を拡大すべきではない。過重労働を招くような不適切な運用がなされていることに目を向け、早急にその対策が検討・実施されるべきである。
     

  4. 民進党、立憲民主党、希望の党の3党と引き続き連携
     連合は、2018春季生活闘争においても、誰もが健やかに働き続けられる職場・社会のために、すべての職場における長時間労働の是正に向けた取り組みを進めている。同時に、働き方改革関連法案については、連合フォーラムの場も活用しながら、民進党、立憲民主党、希望の党の3党と引き続き強力に連携し、真に「働く者のための働き方改革」が実現するよう全力で取り組む。

    以 上