事務局長談話

 
2017年12月18日
2018年度診療報酬・介護報酬の改定率の決定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 2018年度の診療報酬と介護報酬の改定率について、12月18日、厚生労働・財務両大臣が合意した。診療報酬は本体と薬価・材料価格を合わせた診療報酬全体で1.19%の引き下げ、介護報酬は0.54%の引き上げとされた。これは、誰もが安心して利用できる提供体制と医療・介護保険制度の持続可能性を確保するという観点では概ね評価できる。

  2. 診療報酬の改定率は、薬価・材料価格が1.74%と大幅に引き下がる一方、本体が0.55%の引き上げとなる。本体報酬は、在宅、救急、周産期医療や、医療従事者の働き方改革に資する体制整備といった内容へ重点的に配分するとともに、多剤投薬や病院の偏在など非効率な医療提供体制の是正を進めるべきである。また、患者が利用する医薬品の安定供給やイノベーションが損なわれないよう、十分に対応していく必要がある。

  3. 介護では、生活援助中心型の訪問介護について、利用回数に実質的な上限を設けるとともに、短時間の研修による新たな担い手の従事を認めることや、通所介護の報酬に規模ごとにメリハリをつける見直しを行うこととされている。それらは利用者や家族に及ぶ影響が大きいため、政府の「介護離職ゼロ」の方針に違わぬ改定内容とする必要がある。また、すべての介護人材に対し経験に応じて確実に配分される処遇改善の仕組みを構築しなければならない。

  4. 連合は、診療報酬については、今後も医療費の増加が見込まれる一方で、労働者人口が減少していくという現下の情勢を踏まえ、診療報酬全体としてはマイナス改定とすべきであるとして、中医協支払側6団体で連携し、政府への要請などを実施してきた。介護報酬については、介護人材の安定的な確保による介護離職のない社会の実現を前提に、介護保険制度の持続可能性、国民負担の状況などを総合的に考慮した改定率にするよう、政府・各政党に求めてきた。

  5. 今後、中央社会保険医療協議会と社会保障審議会介護給付費分科会でそれぞれ配分の議論が行われることになる。連合は患者・利用者、被保険者、医療・介護従事者の立場から、引き続き公正かつ適切な報酬の配分を求める。