事務局長談話

 
2017年11月16日
労働契約法第18条「無期転換ルール」の適正運用に向けての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸

  1. 2013年4月より施行された労働契約法第18条「無期転換ルール」により、無期転換の申し込み権が発生するケースが2018年4月から本格的に生じることになる。同改正にあたり連合は、無期転換権の発生する期間(5年超)手前での雇止めや、クーリング期間の濫用的利用など、規制逃れが発生する懸念も否定できないことから、雇止めの抑制策の検討とともに、無期転換の状況など、法施行後の検証を適切に行い、必要に応じて制度を見直すことが重要であることを訴えてきた。
     

  2. 改正労働契約法は連合が求める「雇用の原則は期間の定めのない直接雇用であるべき」という考え方からすれば十分ではないものの、すべての労働者の保護に向けた一歩であると受け止め、対象となる有期契約労働者への周知や無期転換促進の取り組みに加え、「無期転換後の労働条件の対応」、「無期転換ルール回避目的の雇止めの防止」、「クーリング期間の悪用防止」、「雇止め法理の周知」、「無期転換ルールの対象となる有期契約労働者の労働組合加入促進」などに取り組んできた。また、無期転換ルールの適用が目前となる2018春季生活闘争では、無期転換あるいは正社員登用に向けた制度の構築と雇い止め防止に向けた労使協議を行うとともに当該労働者への周知を徹底することとしている。

     

  3. そのような中、一部企業の有期契約労働者の契約条件において、クーリング期間が6カ月に変更されていた。この変更が法律にもとづくルールであったとしても、こうした動きは、働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するという法律の趣旨並びに法改正を契機として、有期契約労働者の雇用の安定と処遇改善の取り組みを一層広げていこうとしている私たち連合の運動に照らせば、残念と言わざるを得ない。一方、かねてより連合の「なんでも労働相談ダイヤル」にも、無期転換権発生前の雇止めや就業規則変更などに関する相談が寄せられている。連合は今一度、各構成組織に、職場状況の把握や会社制度の内容確認を行うとともに、法律の趣旨にもとづき制度の適正運用がはかれるよう徹底を行う。加えて、政府に対しても、法律の趣旨にもとづき適正な運用が行われているか否かの実態把握と必要な対応を求めていく。
     

  4. 改正労働契約法には、施行8年後(2021年)の検討規定が設けられ、その結果にもとづいて必要な措置を講ずるものとするとされている。連合は、運用実態を把握した上で、無期転換ルール全般について労働者保護に資するよう必要な法改正を求めていく。また、この間、集中労働相談やセミナーの開催、有期契約労働者向け冊子の発行などの取り組みを重ねてきたが、引き続き、有期契約労働者の雇用の安定と処遇改善に向けて、組織化や均等待遇の取り組みを進めるとともに、「雇用の原則は期間の定めのない直接雇用であるべき」との立場で運動を進めていく。
    以上