事務局長談話

 
2017年09月14日
同一労働同一賃金の法整備及び雇用対策法改正に関する法案要綱に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長  逢見 直人

  1. 本日、労働政策審議会職業安定分科会(分科会長:阿部正浩 中央大学経済学部教授)は、厚生労働大臣より諮問がなされた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(以下、「法案要綱」)について、「おおむね妥当」とし、労働政策審議会会長へ報告を行った。法案要綱には、同一労働同一賃金に関する3法改正と雇用対策法改正が含まれている。連合が長らく求めてきた雇用形態に関わらない均等待遇原則の法制化などについて公労使の三者が合意し、法案化の最終局面に至った点は評価したい。

  2. 同一労働同一賃金の法整備に関しては、6月の労働政策審議会建議にもとづき、パート法、労働契約法、労働者派遣法の3法改正の具体化がはかられ、施行日は2019年4月1日(中小企業は1年の経過措置)とされた。均等・均衡待遇に関しては、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に一本化して、パート労働者・有期雇用労働者共通の規定を整備することとされた。期間の定めによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法20条の民事的効力を担保するなど、労働者が不合理な待遇差に関する司法救済を求めることができるようにしなければならない。また、労働者派遣法に関しては、派遣労働者と派遣先労働者との均等・均衡待遇規定を整備するとされた。派遣元で一定の要件を満たす労使協定を締結した場合における派遣先均等・均衡の例外規定も設けられたが、労使協定は適切な手続きかつ内容で締結されることが不可欠である。

  3. 雇用対策法に関しては、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に改め、職業生活の安定等のために、職業生活の充実、労働生産性の向上などを促進することが目的規定に盛り込まれた。労働生産性の向上は、付加価値の向上というアウトプットの増加により実現すべきであり、労働強化や人員削減にはつながらないことや、定量的な指標を意図したものではないことを基本方針などにおいて明確に示すべきである。また、国の講ずべき施策として、多様な就業形態の普及が新たに盛り込まれたが、雇用労働からの置き換えを安易に進めるべきでなく、最低報酬や労働災害補償、安全衛生などの観点からの法的保護も含めた環境整備を行うべきである。

  4. 今後は法案要綱の答申が行われた後、「働き方改革関連法案」として国会へ提出されることが見込まれる。連合は、法案提出後の国会審議において上記を中心とする点の確認などを通じ、真に働く者の立場に立った「働き方改革」の実現を求めていく。加えて、法案提出や施行を待つことなく、非正規雇用労働者の組合加入による総合的な労働条件改善に向けた取り組みを、地域・職場から進めていく。
     
    以 上