事務局長談話

 
2017年07月27日
労働基準法等改正法案の修正等に関する取り組みについて
日本労働組合総連合会
事務局長  逢見  直人

  1. 連合は、7月13日、政府に対して、労働基準法等改正法案に関する要請を行った。これは、継続審議法案が取り下げられ、「働き方改革実行計画」を踏まえた時間外労働の上限規制の法案と一本化され、この秋の臨時国会で審議入りが強行されることが懸念される中で、連合が政府に対して最低限の是正を求めたものである。

  2. 連合は、2015年の法案提出までの労働政策審議会において、企画業務型裁量労働の対象業務の拡大も、いわゆる「ホワイトカラー・イグゼンプション」である高度プロフェッショナル制度の創設についても、その必要性はなく長時間労働を助長しかねないため導入すべきではないとして反対してきた。現在も基本的な考え方は変わるものではない。しかし、対象労働者の生命・身体の安全確保などの懸念点を少しでも払拭し、労政審での法案要綱確認につなげるべく、政府への要請を行ったものである。

  3. 企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大では、「課題解決型提案営業」の内容が判然とせず、法人営業全体に広がりかねないことや、経験年数の浅い労働者も対象となることが特に懸念される。また、高度プロフェッショナル制度については、対象労働者の範囲はある程度絞られ手続きも厳格ではあるものの、制度の対象となる労働者の働きすぎを防ぐ健康・福祉確保措置が3つの中から1つ選択という不十分なものである。

  4. 連合は三者構成主義の観点から、本件修正のみの政労使合意を模索したが、この趣旨についての一致点は現時点で見いだせない。よって、政労使合意の締結は見送ることとする。法案の取り扱いについては、労働政策審議会の場で議論を行うこととし、その答申を経て、最終的には国会の審議に委ねられることになる。

  5. 連合は、両制度を導入すべきでないという反対の立場から、過労死・過労自殺ゼロはもとより、全ての働く者の命と健康を守り健やかに働き続けられる社会の実現に向けて、労働政策審議会での議論および民進党と連携した国会での取り組みを全力で行っていく。同時に、全国の職場・地域においては、36協定の適正化などを中心とした長時間労働是正の運動を構成組織・地方連合会と一体となって展開していく。
    以  上