事務局長談話

 
2017年06月09日
労働政策審議会同一労働同一賃金部会報告に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長   逢見 直人
 

  1. 本日、労働政策審議会同一労働同一賃金部会(部会長:守島基博 学習院大学経済学部経営学科教授)は、「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)」をとりまとめた。報告は、「働き方改革実行計画」を受けて、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の3法改正の方向性を示したものである。非正規雇用労働者は、雇用労働者の約4割を占めるにもかかわらず、正規雇用労働者との間に賃金だけでなく、手当や休暇、福利厚生などさまざまな処遇格差が存在する。今こそ雇用形態に関わらない均等・均衡待遇の法制化を早期に実現すべきである。

  2. 報告は、[1]現行法で均衡待遇のみ対象としている有期契約労働者について均等待遇も規定すること、[2]事業主に非正規雇用労働者の待遇および正規雇用労働者との待遇差の説明義務を課すこと、 [3]均等・均衡待遇規定について行政ADRの対象とすることなどを掲げている。また、派遣労働者については、派遣先労働者との均等・均衡待遇を原則とした上で、派遣労働者の賃金は「同種業務に従事する一般労働者の賃金水準と同等以上」とすることなどの要件を満たす労使協定を派遣元が過半数労働組合等と締結している場合は、この例外とする旨の規定を設けることとした。

  3. 連合は、グレーゾーンも含め裁判所において最終的に判断がなされるべきことなど、不合理な待遇差に関する司法救済のための法的枠組みを求め、こうした考えは報告に概ね反映された。また、これまで幾度となく見送られてきた派遣労働者の均等・均衡待遇についても、ようやく具体的な法整備の道筋がつけられた。今後は、非正規雇用労働者の声を踏まえた労使協議を促す方策や、待遇差の説明義務の履行確保措置、法施行後に指針として定める「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」の内容などについて議論を尽くす必要がある。また、報告には派遣労働者の労使協定に関する手続き規制も盛り込まれたが、賃金水準の要件の実効性を担保し、真に派遣労働者の処遇改善につながるものとしていくことが必要である。

  4. 報告を踏まえ、労働政策審議会から厚生労働大臣へ建議が行われた後、3法改正の法律案要綱の審議が行われる見込みである。均等・均衡待遇の法制化は早期に実現すべきであるが、それだけで非正規雇用労働者の雇用の安定と公正な労働条件の確保が達成されるわけではない。「パートタイム労働者だから」「派遣社員だから」という理由での待遇差を解消するとともに、正規雇用への転換も進める必要がある。そして、すべての労働者が公正な処遇の下で、働きがいを感じて働き続けられる社会を構築しなければならない。連合は、構成組織・地方連合会一体となって、非正規雇用労働者の組合加入と労働条件改善に向けて、引き続き取り組みを進めていく。
     
    以 上