事務局長談話

 
2017年06月06日
「働き方改革実行計画」を踏まえた労働条件分科会報告および安全衛生分科会報告に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長   逢見 直人

  1. 6月5日、労働政策審議会労働条件分科会(分科会長:荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、報告「時間外労働の上限規制等について」をとりまとめた。また6月6日、労働政策審議会安全衛生分科会(分科会長:土橋律東京大学大学院工学系研究科教授)は、報告「働き方改革実行計画を踏まえた今後の産業医・産業保健機能の強化について」をとりまとめた。両報告は、3月末の「働き方改革実行計画」を受けたものである。長時間労働の是正と労働者の健康確保対策強化が喫緊の課題であることに鑑みれば、確実かつ早期に、両報告の内容を反映した法改正を実現することが切望される。
     

  2. 労働条件分科会報告の主な内容は、[1]時間外労働の上限規制(上限規制の基本的枠組み、現行の適用除外等の取扱い、労基法に基づく新たな指針)、[2]勤務間インターバル、[3]労働時間の客観的把握など、長時間労働に対する健康確保措置などである。上限規制は、あくまでも「これ以上働かせてはならない」ものであることを踏まえ、指針に、特例による延長時間をできる限り短くし、休日労働も可能な限り抑制するよう努めなければならない旨が規定される。また、36協定の適正化に不可欠の過半数代表者の課題についても、方向性を示した意義は大きい。

  3. 安全衛生分科会報告の主な内容は、[1]長時間労働者等への就業上の措置に関する産業医の関与、[2]健康情報の取扱ルールの明確化・適正化、[3]産業医の独立性・中立性の強化などである。産業医による勧告のあり方、事業者が取得する健康情報の範囲、産業医の選任義務がない中小事業場での実効性担保など、今後引き続き検討すべき課題こそあるものの、労働者の健康確保対策を前進させるものと受け止める

  4. 今後、両報告にもとづいて労働基準法や労働安全衛生法などの改正に関する法律案要綱の審議が行われる見込みである。連合は、すべての労働者が、健康とワーク・ライフ・バランスを確保しながら、働き続けられるようにするとの法改正の趣旨を踏まえ、前向きなメッセージとともに各職場に定着させるべく、対応していく。そして、構成組織・地方連合会と一体となり、労働組合のない職場で働く人も含めたすべての働く者に対し、長時間労働の是正に向け、36協定や労働時間管理などの重要性を訴え、過労死等ゼロの実現に向けて運動を展開する。
     
    以 上