事務局長談話

 
2017年06月05日
米国の国連気候変動枠組条約「パリ協定」離脱表明に関する談話
日本労働組合総連合会

事務局長 逢見 直人


  1. 6月1日、米国のトランプ大統領は、国連気候変動枠組条約のパリ協定から離脱し、「米国の労働者に有利」となる「新たな枠組み」をめざして再交渉する意向を表明した。世界第2位の温暖化効果ガス(GHG)排出国である米国の協定からの離脱は、世界共通の長期目標の達成を困難なものとし、とりわけ、国連の温暖化対策のための資金調達にも大きな影響を及ぼしかねない。
     パリ協定の国際合意に主導的役割を果たしてきた米国において、こうした方針が新大統領によって打ち出されたことは誠に残念であり、連合は、195カ国の締約国すべてが主体的な取り組みを推進する機運を阻害しかねないものとして、大いに憂慮する。

  2. パリ協定は、2020年以降の温暖化対策の新しい枠組みとして、2015年のCOP21(パリ)で採択され、日本を含む195カ国が署名して2016年に発効した。パリ協定は、すべての締約国の参加のもとで、世界の平均気温上昇を産業革命前との比較で「2℃未満」に抑えることを共通目標とすると同時に、今世紀後半にはGHGの排出を「実質ゼロ」にすることをめざすものである。オバマ政権下にあった米国は、GHG排出量を2025年までに2005年比で26~28%減少させることを約束しており、パリ協定では、この削減目標の下方修正はできない仕組みになっている。

  3. 米国のパリ協定からの離脱は、温暖化対策コストを負担する他国との交易条件に不公正なゆがみをもたらすことも懸念される。連合は、米国が温暖化対策の分野においても、自国利益優先の矮小な考えに陥ることなく、これまでどおり公平・公正な自由競争のもとで、世界全体の発展をめざす国家として、今後とも地球温暖化対策を主導していくことを期待する。

  4. 連合はこれまで、ITUC(国際労働組合総連合)を中心とした国際労働運動における連帯のもとで、「全ての締約国が参画する公平・公正で法的拘束力のある温暖化対策の枠組み」の採択を求めるとともに、温暖化対策による雇用への影響を最小化する「公正な移行」の実現に向けた取り組みを行ってきた。
     今後は、米国大統領の翻意を促すべく、日本国内における政労使の連携強化を求めるとともに、米国のAFL-CIOを含む各締約国の労働組合組織と強く連帯し、国際世論に訴えかけていく。
    以 上