事務局長談話

 
2017年05月29日
「介護保険法等改正法案」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

  1. 5月26日、政府提出の「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議にて可決、成立した。新たな介護保険施設としての「介護医療院」や高齢者と障がい者のいずれにも対応できる「共生型サービス」の創設などは評価できる。一方、3割自己負担を導入し利用者にさらなる負担を求めることで、介護離職の増加が懸念されることから、今後、具体的な基準や要件の設定にあたり、丁寧な検討を求める。

  2. 連合が法案審議にあたり求めた事項のうち、3割自己負担の導入と共生型サービスの創設については、民進党の取り組みにより、2015年8月の2割自己負担導入による影響の実態調査や、共生型サービスの質・量の確保に留意した具体的水準の検討・決定などを求める附帯決議が参議院厚生労働委員会で行われた。政府はこれらを確実に履行し、審議会などで基準を検討すべきである。
     また、保険者への財政的インセンティブに関しては、国会審議を通じて、サービスを必要とする人の利用が阻害されないような評価指標を検討すべきことについて共通理解が得られた。
     しかし、介護納付金の総報酬割化については、負担が増加する保険者への財政支援は3年間のみの時限措置とされ、支援額については明確化されなかった。

  3. 急増する介護の需要に対応するための人材確保は喫緊の課題である。民進党は「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」など2法案を提出したが、衆議院厚生労働委員会で与党などにより否決された。しかし、安倍総理も国会審議の中で認めたとおり、介護人材の確保が今後一層難しくなることを考えれば、政府はさらなる処遇改善に引き続き取り組んでいく必要がある。
     
     

  4. 今後、2018年介護報酬改定に向けては、訪問介護で生活援助を中心にサービスを提供する場合の人員基準や、共生型サービスの具体的な指定要件など、利用者や家族の生活に大きな影響を及ぼしうる事項が検討されることになっている。連合は、誰もが住みなれた地域で安心して必要な介護サービスを利用でき、また介護離職のない社会の実現をめざし、引き続き審議会などでの意見反映や世論喚起に取り組む。

     以上