事務局長談話

 
2017年03月31日
「雇用保険法等の一部改正法案」の成立に対する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人


  1. 3月31日、参議院本会議において「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が賛成多数で可決、成立した。法案は、雇用保険の国庫負担率を2020年度以降に本則へ確実に戻す点などで課題が残ったものの、倒産、解雇などによる離職者に対する給付の一部拡充、育児・介護休業法における保育所に入れない場合の育児休業期間の再延長、職業安定法における一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者の求人不受理の拡大、募集時に明示した労働条件からの変更内容の明示義務化など、雇用のセーフティネットを拡大する内容は概ね評価できる。

  2. 雇用保険制度については、雇止め離職者の給付日数の拡充を恒久化することや、自己都合離職者の給付制限期間(3ヶ月)の見直し検討を行うこと、教育訓練給付を真に訓練を必要とする非正規労働者に活用することなど、これまで連合が強く主張してきた内容が、国会での法案審議を経て附帯決議に盛り込まれた。
     職業安定法については、虚偽求人を出した求人者を罰則対象とするなど、不適切な求人情報が提供されることに対する一定の抑止効果が期待できる改正が行われた。国会では、労働条件の変更内容の明示は就労開始直前ではなくできる限り早い時期に行うべきことなど、求職者保護の観点での審議を踏まえた附帯決議がなされた。今後、求人トラブルの抜本解消に向け、不適正な事業者に対する指導監督の強化や、法施行後の実態把握などが適切に行われることが重要である。


  3. 育児・介護休業法については、待機児童の解消が進まない中での緊急的セーフティネットの一つとして、保育所に入れない場合における子が2歳になるまでの育児休業期間の再延長などが盛り込まれた。国会では、労働者が安心して子どもを預けられる保育環境の整備が大前提であるとした上で、男性の育児休業取得促進に向けた施策の検討や待機児童の解消に向けた保育士の処遇改善などが附帯決議された。

  4. 法案成立を受けて、今後、それぞれの法律の政省令および指針などの議論が行われることとなる。連合は、国会審議における確認答弁や附帯決議も踏まえ、より実効性ある内容となるよう、労働政策審議会での議論に臨んでいく。また、セーフティネットの拡充、待機児童の解消など、すべての労働者が安心して働くことができる社会の実現に向け、引き続き取り組んでいく。
    以 上