事務局長談話

 
2017年01月19日
「日米地位協定の軍属に関する補足協定」発効に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

1.1月16日、日米両政府は「日米地位協定の軍属に関する補足協定」に署名し、1月18日に発効した。この協定は、昨年5月に沖縄で発生した米軍属による女性殺害・遺体遺棄事件を受け、再発防止策として日米間で協議検討されてきたもので、定義が曖昧であった米軍属の範囲を、「米政府予算で雇用される文民」など8種類に分類して明確化した。しかし、この協定によって実際に米軍属の範囲がどの程度絞り込まれるかは不明であり、犯罪抑止のための施策としては不十分であるといわざるを得ない。

2.日米地位協定によれば、現行犯逮捕の場合を除いて、基地の外における公務外の犯罪被疑者である米軍人・軍属を米側が先に拘束した場合、日本側は起訴するまでその身柄を確保することができない。今回の協定によって、軍属の範囲が一定狭められたとしても、米軍人・軍属の特権が存在する限り日本側の捜査が制約されることに変わりはない。

3.これまで米軍は、殺人・暴行事件が起こるたびに綱紀粛正と再発防止を約束してきたが、凶悪犯罪が繰り返される状況は今日まで続いている。加えて、昨年12月に輸送機オスプレイの墜落事故が発生したが、詳細な原因について十分な説明もないまま、事故発生からわずか6日後に飛行が再開されるなど、米軍基地周辺住民の安全に対する不安は一向に解消されない。地域住民の安心と安全を取り戻すためには、一刻も早い「在日米軍基地の整理・縮小」と「日米地位協定の抜本的な見直し」が不可欠である。

4.連合は「在日米軍基地の整理・縮小」および「日米地位協定の抜本的な見直し」の実現に向けた運動を展開してきた。米軍基地についての問題は、すべての国民共通の課題であるとの認識を広く共有することが重要である。連合は、4月のシンポジウム、6月の沖縄での平和行動などを通じて、この問題に関する組織内外への発信を強化しながら、引き続き粘り強く取り組んでいく。
 
以 上