事務局長談話

 
2016年06月01日
第190通常国会閉会にあたっての談話
日本労働組合総連合会 事務局長 逢見 直人

  1. 今年1月4日に召集された第190通常国会が、150日間の会期を終えて閉会した。野党の求めにもかかわらず昨秋は臨時国会の召集が見送られた中で、今国会においては、今後のわが国社会のあり方を見据えた重要課題に関する真摯な政策議論が期待されていた。しかし、雇用の質の改善や社会保障の基盤整備などの政策は実現せず、また、現政権の経済政策が十分に検証されなかったことは、極めて残念である。

  2. 今国会において、「雇用保険法等の一部改正法案」「ヘイトスピーチに関する法案」「刑事訴訟法等の一部改正法案」「消費者契約法の一部改正法案」が成立したこと、そして熊本県を中心とする九州地震の被災者支援などを目的とする2016年度補正予算が短期間で成立に至ったことは評価できる。しかし、介護離職防止や待機児童解消の柱となる介護職員および保育士の処遇改善は具体的な対応や財源が示されなかった一方で、2015年度補正予算などにおいて、選挙をにらんだバラマキとも言える「年金生活者等支援臨時福祉給付金」が計上されたことは、国民生活の将来に責任を持った内容であるとは到底いえない。また、天下の愚策ともいえる消費税の軽減税率制度の導入が決められたことは極めて遺憾であり、消費税率引上げ延期を巡る政府・国会の動向を注視しつつ、引き続き断固撤回を求めていく。なお、「高度プロフェッショナル制度」などの労働時間規制緩和が盛り込まれている極めて問題の大きい労働基準法等改正案をはじめ、GPIF改革を含む公的年金制度等改革法案、外国人技能実習制度の適正化に向けた技能実習法案は継続審議となったが、引き続き政府・国会の動向を注視していく。

  3. 国会開会当初、重要課題の1つとされていた「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」承認案と関連法案については、委員会審議において与党議員による交渉過程の情報漏洩があったとして審議が紛糾したことなどから、今国会での承認・成立が見送られ、衆議院で継続審議となった。政府は、協定内容はもとよりその解釈などの詳細を明らかにするとともに、国民への丁寧な説明を尽くすなど、説明責任を果たすべきである。とりわけ、食料・農林水産分野、食の安全・安心など安心社会の基盤にかかわる重要事項について十分な対策を講じることが求められる。

  4. 国会が閉会し、第24回参議院議員選挙が迫ってきた。本選挙は、現政権の暴走に歯止めをかけ、立憲主義・民主主義を国民の手に取り戻す闘いである。連合は、働く者・生活者のための政治、そして現在と将来にわたって責任ある政治を実現していく足がかりを築くべく、686万組合員の総力を挙げて、すべての組織内比例候補者と推薦候補者の勝利をめざして闘い抜く。


以上