事務局長談話

 
2016年05月19日
「ニッポン一億総活躍プラン(案)」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

  1. 5月18日、「一億総活躍国民会議」が開催され、「ニッポン一億総活躍プラン(案)」が公表された。最低賃金の引き上げ、非正規雇用者の待遇改善、奨学金制度の拡充、保育士や介護職員の処遇改善など、その内容には連合が提起してきた政策と重なる点も見られる。しかし、「アベノミクス」の限界が明らかになる中でも依然として「名目GDP600兆円」などの目標を掲げる一方で、恒久財源の裏付けについて説明できておらず、実現に向けた政府の姿勢には強い疑念を抱かざるを得ない。

  2. 雇用・労働分野では、同一労働同一賃金の実現に向けてガイドラインの作成と労働契約法など関連法を改正するとしている。雇用形態間の均等待遇原則の法制化は、連合が求めてきた政策であり、労働政策審議会において早急に議論をスタートすべきである。最低賃金については、年率3%程度を目途に全国加重平均1,000円をめざすとしているが、時給1,000円では年収200万円にも満たない。名目GDP成長率の変動に関わらず早急に「誰でも1,000円」を実現したうえで、生活できる水準まで大幅に引き上げる必要がある。同時に、政府は、良質な雇用を創出する中小企業に対する支援や公正な取引慣行実現に向けた環境整備に注力すべきである。「長時間労働の是正」では、特別条項付き36協定締結時の上限時間規制、インターバル規制の導入を行うべきである。

  3. 保育・介護分野では、人材確保対策として「安定財源を確保しつつ」それぞれ2%相当、月額平均1万円相当の賃金改善を行うことが盛り込まれた。しかし、いずれも全産業平均との間に月額10万円以上ある賃金格差を埋める対策としては不十分と言わざるを得ない。待機児童問題や介護離職解消の実現には、抜本的な処遇改善とそのための財源確保が不可欠である。奨学金制度の拡充については、無利子奨学金の対象枠の拡充は盛り込まれたものの、給付型奨学金の導入は先送りされており、早期に給付型奨学金を恒久的な制度として創設すべきである。「女性活躍」では、女性活躍推進法に基づく取り組みを推進するだけでなく、長時間労働など男性の働き方の見直しや、性別役割分担意識に基づく慣行の払拭による、男女がともに働きやすい環境整備を着実に実行すべきである。

  4. 連合は、めざすべき社会像として、「働くことを軸とする安心社会」を掲げ、その実現に向けた政策を求めてきている。それは、経済成長の成果を富める者から分配していくトリクルダウン型の政策ではなく、適正な所得再分配などによる格差の是正を重視する政策である。連合は、「クラシノソコアゲ応援団!」キャンペーンなどの世論喚起を通じて、プランに盛り込まれた課題を参議院選挙前のアドバルーンで終わらせることのないよう、連合本部・構成組織・地方連合会が一体となって、連合が求める政策の実現に全力で取り組みを進めていく。


以上