2015年12月24日
「新たな雇用対策の仕組み~ハローワークの地方移管~」の閣議決定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人
- 12月22日、政府は「平成27年の地方からの提案等に関する対応方針」(以下、方針)を閣議決定した。この中では、地方公共団体側から強い要請があった「ハローワークの地方移管」について「新たな雇用対策の仕組み」として取り上げられている。連合は、ハローワークの運営は国の指揮監督と責任において全国を通じて一体的になされるべきであると考えているが、今回の方針は、ハローワークの全国ネットワークを維持しつつ、ハローワークの利用者である求職者・求人者の利便性向上、地域のニーズに合った雇用対策に資する可能性もあるものと受け止める。
- 方針では、(1)地方公共団体が「地方版ハローワーク」を設置して公的な立場で無料職業紹介を実施できる、(2)地方公共団体が国との間で「雇用対策協定」を締結し、職業安定行政を中心とする雇用対策全般について連携して取り組むことや、雇用対策に関する要請など国に対して関与できる仕組みについて法律上の根拠を設ける、(3)国と地方公共団体が、国の無料職業紹介事業と地方公共団体による福祉と雇用の連携などの施策を同一施設内で一体的に実施する、などが取り上げられている。
- 連合は、ハローワークの地方移管に対して、(1)広域的な職業紹介を行う全国ネットワーク機能が維持できなくなる、(2)雇用情勢の急変に即応できる機動的な政策対応ができなくなる、(3)失業等給付の「濫給」(本来不要な給付)防止と雇用保険制度の健全性保持には、国が失業認定と職業紹介を一体的に行うことが必要である、(4)職業安定組織は国の指揮監督下にある職業安定機関の全国的体系で構成されるとしたILO第88号条約に違反する、などを理由に反対してきた。今回の方針の内容は、これまでの懸念点を踏まえたものと考えるが、引き続き国による雇用のセーフティネット機能が適切に発揮されることが重要である。
- 今後は、労働政策審議会での審議を経て、国と地方公共団体との連携による新たな雇用対策の仕組みが構築されることとなる。連合は、労働政策審議会での審議に際して意見反映に努めるとともに、今回の仕組みが真にハローワーク利用者の利便性向上につながり、また地方における職業安定行政の後退をもたらさないよう、引き続き注視していく。
以上