事務局長談話

 
2015年09月29日
国連「2030アジェンダ」採択に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1. 国連は25日、ニューヨークで開催された「国連ポスト2015採択サミット」において、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択した。2001年に策定され、世界の貧困削減に大きく寄与してきたと評価される国連「ミレニアム開発目標(MDGs)」を引き継ぐものであり、2030年までに貧困を撲滅し持続可能な環境や社会を実現するとする野心的な目標が全加盟国のコンセンサスで採択されたことを歓迎する。

  2. MDGsが2015年までに達成すべき目標として掲げた8つの分野のうち、「極度の貧困と飢餓の撲滅」や「初等教育の就学率」については大幅な改善が報告されたが、その他の分野では達成が困難であり、加えてこの間、格差や気候変動、紛争など新たな課題にも直面することとなった。国際社会では2012~13年頃から「ポスト2015」に向けた議論が活発化し、国際労働組合総連合(ITUC)や国際労働機関(ILO)をはじめとする労働関係諸機関も積極的に参画してきた。

  3. 「2030アジェンダ」の17の目標の一つとして、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことが盛り込まれたことは評価できる。日本国内および世界各国で「ディーセント・ワーク」を実現するために、労働組合の役割発揮がこれまで以上に求められる。

  4. 日本政府は策定プロセスに積極的に参画し、また採択に当たって安倍首相が最大限の努力を表明した。「2030アジェンダ」は、MDGsと異なり、先進国も含めすべての国が対象となっており、また、あらゆるステークホルダーの役割発揮を求めている。日本政府は、国連が先進諸国に対して求めている政府開発援助(ODA)の対国民総所得(GNI)比0.7%という目標の達成や市民社会との連携等に向けた具体的な方策を早急に明らかにすべきである。

  5. 連合は2004年、労働組合と非政府組織(NGO)が地球規模課題の解決に向けて協働で取り組む場として「NGO-労働組合国際協働フォーラム」および「児童労働ネットワーク」の創設に関わり、以降積極的に参画してきた。今後ともこの2つのプラットフォームを活用し、「2030アジェンダ」達成に向けてさらに取り組みを強めていく。


以上