事務局長談話

 
2015年09月28日
第189通常国会閉会にあたっての談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1. 9月27日、第189通常国会が戦後最長となる95日間の延長を含む、245日間の会期を終えて閉会した。連合が求める良質な雇用の創出や社会的セーフティネットの強化などへの重点的な予算配分は行われず、国会での審議が不十分なまま数の力で重要な法案の採決が強行されたことは極めて遺憾である。

  2. 今国会において、「不正競争防止法改正法案」、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」、「マイナンバー等改正法案」が成立したことは一定の評価ができる。しかし、「医療保険制度改革関連法案」における、後期高齢者支援金の全面総報酬割によるいわゆる「国費の肩代わり」は、国保に対する国の財政責任を被用者保険の負担増に転嫁することであり、医療保険制度への信頼を損ね、将来に禍根を残したと言わざるを得ず遺憾である。

  3. また、二度にわたる廃案の末、三度目の国会提出となった「労働者派遣法改正法案」が、審議が進むほどに法案の問題点や矛盾が露呈し野党が激しく反対する中で成立したことは極めて問題である。今回の改正は、常態的な間接雇用を導入するという派遣法制定以来の大改正である。それにもかかわらず、政府・与党が施行日を9月30日とし、成立後わずか3週間弱で政省令等の検討を労政審に求め、周知期間がほとんどないことを承知で押し進めた異常な改正であった。野党の追及の結果行われた労働者保護の強化を求める修正と39項目もの附帯決議を踏まえ、政府に対して法施行後の検証とさらなる検討を確実に行うよう強く求める。

  4. 「安全保障関連法案」の審議において、与党は極めて異常かつ不誠実な形で委員会採決に踏み切り、さらに参議院本会議において強引に可決、成立させた。これまでの国会審議では国民の疑問や懸念が全く払拭されていない中、強行採決を行ったことは民主主義に対する暴挙であり、断じて容認できない。さらに、本法案に関わる一連の審議を通じて顕わとなった立憲主義を軽視した政府の基本姿勢は極めて問題である。

  5. この間、連合は、「STOP THE 格差社会! 暮らしの底上げ実現」キャンペーンや国会周辺での緊急行動などに取り組んできた。引き続き、政府・与党の民主主義に対する暴挙を世論に訴えるとともに、国民の声を反映できる政治を取り戻すため、682万組合員の総力を結集し、来夏の参議院議員選挙に勝利すべく、取り組みを徹底的に強化していく。


以上