事務局長談話

 
2015年09月19日
安全保障関連法案の成立に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1. 2015年9月17日、与党は、参議院の「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」において安全保障関連法案を極めて異常かつ不誠実な形で押し通し、9月19日の本会議において強引に成立させた。国民の理解と合意形成を得る努力を怠り、審議不十分なまま強行採決を行ったことは民主主義に対する暴挙であり、断じて許されるものではない。

  2. 政府は、衆議院での強行採決後、「国民の理解が進んでいるとは言えない」「支持が得られるよう、今後の参議院における法案審議等において分かりやすく丁寧な説明を行う」と公言した。しかし、国民の疑問や懸念を問い質す野党の質問に対し、政府答弁は、不十分で不明確なものに終始した。直近のマスコミ世論調査によると、8割近くの国民が「議論が尽くされていない」と答えており、今国会で強引に成立させることに6割が反対している。加えて、国会周辺や各地で法案に反対する大衆行動が連日展開されてきた。国民の疑問や懸念が一向に払拭されないなかで審議を打ち切ることは、国民的合意を形成するという政治の役割を放棄するものと言わざるを得ない。

  3. 他国領域での自衛権の行使や他国の軍隊への後方支援の内容などに関して、政府の答弁は二転三転し、「法理上は可能だが現政権は行わない」と説明するなど、審議を通じ国民の疑念はむしろ深まっている。加えて、首相補佐官の「法的安定性は関係ない」という発言とその撤回、元最高裁長官を含む法曹界からの憲法違反の声を無視するなど、立憲主義を軽視した政府の基本姿勢は極めて問題である。

  4. 連合は、民主党と連携し、政府の民主主義に対する暴挙を世論に訴えるとともに、国民の声を反映できる政治を取り戻すため、来るべき国政選挙にむけて取り組みを徹底的に強化していく。


以上