事務局長談話

 
2015年04月10日
2015年度政府予算成立についての談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1. 4月9日、2015年度政府予算が参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。連合は、デフレからの脱却と経済の好循環の実現のためには、「くらしの底上げ・底支え」、「格差の是正」、「貧困の解消」に資する政策の実行が必要との観点から、国会での真摯な審議のもとでの政府案の見直しを求めてきた。しかし、そのような観点からの修正がなされないまま、成立に至ったことは残念である。

  2. 本予算は、過去最大の一般歳出規模となるなか、膨らみ続ける公共事業費には切り込まず、その一方で、介護報酬の大幅な引き下げ改定や、生活保護制度における住宅扶助特別基準の見直しおよび冬期加算の引き下げ等、社会的に弱い立場の人々のくらしの底上げに逆行する予算削減が含まれている。また、本年4月1日に施行された子ども・子育て支援新制度においても、当初必要とされていた保育の量の拡充と保育サービスの質の向上のための財源は確保されておらず、社会保障関連予算はまったく不十分である。

  3. さらに、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえて新たに盛り込まれた関連事業に対する予算措置については、所管省庁間の重複や、既存事業の継続・焼き直しが多く見受けられる。地方の景気回復が不十分な中において、真の地域活性化に資するよう、今後、地方における推進組織や地方議会での十分かつ厳格な検証を求めていく。

  4. 連合は、くらしと雇用を優先した予算編成を求め、財政制度等審議会等での意見反映や政府・政党への要請行動を重ねてきた。引き続き、すべての働く者の底上げ・底支えと格差是正をはかる政策制度要求の実現、その先にある「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、全力で取り組んでいく。


以上