事務局長談話

 
2015年02月04日
外国人技能実習への介護職種の追加に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1. 2月4日、厚生労働省「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」は、技能実習制度に介護職種を追加することを適当であるとする「中間まとめ」を取りまとめた。賃金差別など問題の多い技能実習制度の「適正化」の検証も待たずに、介護職の特性や十分な日本語能力の担保、介護職員の処遇低下の懸念の解消に向けた十分な議論もなく、こうした結論が出されたことは、極めて遺憾であり到底容認できない。

  2. 「中間まとめ」では、介護職種の追加の実施時期は、新たな技能実習制度の施行と同時に行うこととしており、実施にあたっては、技能実習本体の「制度の適正化」に加え、介護固有の具体的要件として、(1)介護職に対するイメージ低下の防止、(2)日本人と同様の適切な処遇確保、(3)介護のサービスの質の担保、を掲げ、具体的には、実習指導者を介護福祉士等とすることや、日本語能力として入国時「N4」程度・2年目「N3」程度とすること等を要件化するとしている。

  3. 技能実習制度については、技能移転という国際貢献の本旨を逸脱した違法・不適正な受入れ事案が多発していること等を踏まえ、改革案が示された。しかし、その「適正化」の実効性が確認されない段階で、介護分野を追加する結論が示されたことは、介護業務の特性を無視し、安い労働力の確保のために職種を追加したとの疑念を払しょくできない。また、介護独自に課せられる要件自体にも、不明確な点や緩和された点が多い。特に、実習開始時の日本語要件として、小学校低学年程度と言われる「N4」レベルとされたことは、認知症ケアや記録の作成はもとより、日常的に起こる緊急時の対応さえも困難となり、介護現場に大きな支障が出ることが懸念される。

  4. 連合は、これらの課題について、問題点を主張してきたが、何ら解決策が示されないばかりか、日本語要件については「入国時N3以上」で議論が概ね固まっていたものが、取りまとめ段階で突如「N4」に引き下げられた経緯があり、内容のみならず議論の在り方自体にも問題があったと言わざるを得ない。

  5. 超高齢社会を迎え、介護職員の処遇改善と人材確保は、重要な課題である。連合は、技能実習の介護分野への職種追加に関して、懸念される課題について慎重かつ十分な検討を行うよう、構成組織・地方連合会と連携しつつ、国会、政府への働きかけを強めていく。


以 上