2015年02月02日
「労働政策審議会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会」報告書に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 本日、労働政策審議会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会(部会長:勝 悦子 明治大学副学長)は、いわゆる「スト規制法」の今後の方向性に関する報告書を取りまとめた。報告書では、電気事業及び石炭鉱業の労働者の労働基本権を制約しているスト規制法について、合理的根拠が示されないまま「現時点で存続することでやむを得ない」とされたが、こうした結論が示されたことは残念である。
- 同部会は、電力システム改革関連法案の国会審議において、同改革の法整備に併せてスト規制法の在り方を検討すべき旨の附帯決議がなされたことを受けて設置されたものである。
そもそもスト規制法は、1952年の電産スト及び炭労ストが国民生活や企業活動に大きな影響を与えた点に鑑み、翌1953年に3年間の時限立法として制定された法律であったが、その後恒久化されて今日に至っている。同法の解釈を示した厚生労働省通知の曖昧さと相俟って、結果として、60余年の長きにわたり多くの電気事業及び石炭鉱業の労働者の争議行為が実質的に否認されている状況にある。
- 連合は同部会においてスト規制法の廃止を強く求めてきたが、報告書では、解釈通知を今日的な観点から見直すべきとされたものの同法を廃止するとの結論には至らず、労働側として反対意見を付さざるを得なかった。しかし、憲法28条に定める生存権的基本権たる労働基本権は、全ての勤労者に等しく保障されるべきことは言うまでもない。また、電気事業には、争議行為の予告や内閣総理大臣による緊急調整等、労働関係調整法の公益事業規制が課せられており、屋上屋を重ねる形で労働基本権を制約すべき合理的根拠は存在しないことからすれば、スト規制法の廃止は当然の帰結であるべきだ。
- 「電力システムに関する改革方針」(2013年4月2日閣議決定)に基づき今後段階的に電力システム改革が進められる中、報告書では、スト規制法のあり方は同改革の進展状況を踏まえた上で再検討する旨が記された。連合は、引き続き、スト規制法を廃止し、電気事業及び石炭鉱業の労働者の憲法第28条が保障する労働基本権を回復することを強く求めていく。
以上