事務局長談話

 
2015年01月26日
職業能力開発分科会報告「労働者の職業能力の開発及び向上を促進する労働市場インフラの戦略的強化」に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  1月23日、労働政策審議会職業能力開発分科会(分科会長:小杉礼子・独立行政法人労働政策研究・研修機構特別フェロー)は、報告「労働者の職業能力の開発及び向上を促進する労働市場インフラの戦略的強化」(以下「報告」)をとりまとめ、厚生労働大臣に建議した。報告は、残された課題はあるものの、連合の主張を踏まえた職業能力開発施策を推進させるものとなっており評価できる。

  2.  現状の職業能力開発を巡る課題を踏まえ、報告は、具体的な対応策として、(1) ニート等の若者支援を行う地域若者サポートステーションの機能強化、(2)対人サービス分野を重点とする新たな職業能力検定の整備、(3)生涯を通じて職業能力証明ツールとして活用できる観点からのジョブ・カードの見直し、(4)キャリア・コンサルタント資格の位置づけの明確化、(5)都道府県労働局を地方における職業能力開発行政の拠点とすること、等を掲げている。

  3.  連合は、職業能力開発分科会の議論の中で、 (1)労働者の職業能力を統一してはかることのできる職業能力評価制度の構築、(2)安定した質の高い雇用へ向けた職業訓練の実施、(3)キャリア・コンサルタントの質と専門性の確保、(4)地方における職業能力開発行政拠点の体制整備、等を主張してきており、報告にはこうした連合の主張に沿った内容が盛り込まれた。職業能力開発において、労働者の能力を伸ばしすべての労働者の底上げを図ることは、日本の競争力の源泉となるものであり、労働者にとっても失業というリスクを回避し、処遇格差を改善する方策の一つとなる。
     なお、中高年労働者や障がい者に対する職業能力開発については今後の検討課題とされたが、厚生労働省は可及的速やかに課題解決に向けて検討を開始し、対応をはかるべきである。

  4.  職業能力開発施策を充実・強化させることはわが国にとって喫緊の課題である。今後は報告に基づき法律案要綱の審議がなされ、通常国会に職業能力開発促進法等改正法案が提出される予定である。連合は引き続き、雇用形態や企業規模、在職・離職の別にかかわらず、すべての労働者が自己の能力を最大限開発・発揮し、安定した質の高い雇用に就くことができるための職業能力開発施策の充実が図られるよう、全力で取り組んでいく。


以上