事務局長談話

 
2014年06月20日
過労死等防止対策推進法の成立に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  各会派の総意として提出されていた「過労死等防止対策推進法」が6月20日の参議院本会議で可決、成立した。痛ましい過労死等を繰り返させないとの遺族らの強い思いが超党派の議員の心を動かし、健康で充実して働き続けられる社会の実現をめざす法律が制定された意義は非常に大きい。労働者の健康・安全が確保される労働時間制度の確立に向けた第一歩として、同法の成立を評価する。

  2.  同法には、過労死等の防止対策として、国等が調査研究等、啓発、相談体制の整備等を行うことが定められた。また、政府は調査研究の結果を踏まえ、必要な法制上又は財政上の措置を講ずることとされている。政府は、調査研究に直ちに着手し、過労死が生ずる背景を詳細に把握するとともに、過労死等防止対策推進協議会において家族等からその実情を丁寧に把握すべきである。そして、現在、労働政策審議会労働条件分科会で行われている労働時間制度の検討に随時生かしていくことを、強く求める。

  3.  政府では「日本再興戦略」の改訂にあたり、「労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した新たな労働時間制度」の創設という、本法に逆行する検討が行われている。長時間労働の解消のための実効ある仕組みの提起は一切見当たらず、労働者の健康確保のための実効性ある施策に関する検討は極めて不十分と言わざるを得ない。労働時間の上限規制を設けることなく成果で評価する制度が導入されれば、労働者は長時間働くことを余儀なくされ、過労死の増大等を招くことは明らかである。本法が求める「健康で充実して働き続けることのできる社会の実現」にかなうものとすべく、再考を求める。

  4.  同法は国、自治体、事業主及び国民の責務が規定されているが、労働条件の維持改善や労働者の権利の擁護を活動目的とする労働組合にとっても、重い意味を持つ法律である。連合は、過労死の撲滅に向け運動の強化に取り組むとともに、労働政策審議会において労働時間制度の改悪阻止に全力で取り組んでいく。


以上