事務局長談話

 
2013年12月26日
「雇用保険部会報告」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生

  1. 12月26日、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(部会長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「雇用保険部会報告」(以下「報告」)を取りまとめた。雇用労働者のセーフティネットである雇用保険制度を充実・強化する内容となったことは概ね評価できるが、連合が今回の制度見直しの第一義に据えるべきと主張してきた離職求職者に対する基本手当(所定給付日数、給付率)の改善が盛り込まれなかったことは、極めて遺憾である。

  2. 「報告」では、再就職困難者等に対する個別延長給付をはじめ、失業等給付に係る暫定措置を引き続き延長するとともに、再就職手当受給者のうち再就職時賃金が離職時賃金より低下する者を対象に、差額分を追加的に給付する仕組みを設けるとしている。また、連合が主張した、賃金の不払い・遅配、過重労働等によるやむを得ない離職であるにもかかわらず、「自己都合離職」となる事例の是正については、特定受給資格者として整理すべく基準の見直しを行うべきとされた。これらは離職求職者の生活の安定や早期再就職に資するものであり、評価できる。

  3. さらに、現行の教育訓練給付を拡充し、非正規雇用労働者を中心に、中長期的なキャリア形成に資する訓練を受講する際の給付率(現行20%)を引き上げ、60%(年間上限48万円、給付期間は原則2年)とするとともに、若年離職者への生活支援として、離職前賃金に応じた一定額を訓練期間中に支給するとしている。訓練を受講する若年離職者の生活支援措置が盛り込まれたことは評価できるが、本給付が労使の保険料を財源とする以上、給付率の引き上げ対象となる訓練は失業予防や早期再就職を目的としたものに限定すべきである。現時点で対象訓練の具体的内容は示されておらず、労働政策審議会での検討を急ぐべきである。

  4. 雇用保険給付に係る国庫負担については、雇用政策に対する国の責任を示すものであり、求職者支援制度に係る国庫負担を含め、1日も早く法律の本則に戻すべきである。今回、育児休業給付の給付率(現行50%)を引き上げ、育児休業開始時から最初の6ヵ月間の給付率を67%とするとされたことは前向きに受けとめるが、給付率の引き上げ目的が、ひいては少子化対策や就業人口の維持という雇用保険制度を超えた政策効果にあることを踏まえれば、引き上げ分は労使の保険料ではなく全額国庫負担とするのが筋である。

  5. 今後、この「報告」にもとづき法律案要綱の審議が行われ、次期通常国会に雇用保険法改正法案が提出される予定である。連合は、政府・政党に対し、法案の早期成立を求めていく。また「報告」で「引き続き、今後の在り方について検討すべき」とされた基本手当の水準について、2000年および2003年の法改正により引き下げられた給付水準の改善を早期に実現するべく、今後も引き続き全力で取り組む。


以上