事務局長談話

 
2013年11月27日
法曹養成制度改革推進会議「司法試験選択科目(労働法)廃止」の検討についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生

  1. 政府の「法曹養成制度改革推進会議」(以下、「推進会議」)の下に設置された「法曹養成制度改革顧問会議」(以下、「顧問会議」)において、2013年10月10日と11月12日の2回、「司法試験の論文式試験につき、選択科目を廃止する」との案が示された。この案が採用された場合、論文式試験の選択科目である労働法が司法試験の科目から除外されることとなる。このことは現下の社会情勢と社会的ニーズに合致しておらず、極めて問題である。

  2. この案は2013年7月16日、政府の「法曹養成制度関係閣僚会議」(推進会議の前身)が司法試験について「論文式試験の試験科目の削減につき、論文式試験の選択科目の廃止を含め、その在り方について(中略)検討し、2年以内に結論を得る」と決定したことを受けたものである。労働法が試験科目から除外されると、法曹志望者の間での労働法への関心の低下や、法曹資格者が専門的法分野としての性格を有する労働法を十分に習得しないまま、労働事件に関与するおそれがさらに高まることになる。

  3. 今日、労働事件の数は、2012年の労働関係民事訴訟が3,358件、労働審判は3,719件に達しており、連合「なんでも労働相談ダイヤル」に寄せられた労働相談も1万6,000件を超えている。また、いわゆる「ブラック企業」に見られる長時間労働や過労死、労働法違反が社会的問題となっている中、労働法に通じた法曹を養成していくことが、安定した労使関係の構築、労働問題に直面した個人の救済などの観点からも、喫緊の課題となっている。そもそも、司法制度改革において、労働事件は専門的知見が必要であることを踏まえて労働審判制度が誕生した経緯を再認識すべきである。

  4. 今後、推進会議は顧問会議の意見を受け、司法試験改革を含む法曹養成制度改革の具体的内容をとりまとめることとしている。国民の大多数が雇用されて働く労働者とその家族で構成される「雇用社会」日本で、法曹資格者が労働法に関して十分な知見を持つことは、安心・安全の国民生活に不可欠な社会的基盤として必須である。連合は、すべての働く者が安心して働いて暮らせる「働くことを軸とする安心社会」をつくるとの観点から、労働法を司法試験の科目として維持することを求め、働きかけを行っていく。


以上