事務局長談話

 
2013年08月21日
厚生労働省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」報告書に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  8月20日、厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」(座長:鎌田 耕一 東洋大学法学部教授)が、労働者派遣制度の見直しに向けた検討結果について報告書をとりまとめた。報告書には、派遣労働者の雇用安定を積極的に図るとともにそのキャリアアップを推進するなど、派遣労働者保護を重視しようとする姿勢も示されているが、個々の提案内容には問題点が多いと言わざるを得ない。

  2.  報告書では、「常用代替の防止」のための規制である派遣期間の制限のあり方について、[1]「専門26業務」といった業務区分を廃止する、[2]期間制限の対象を派遣元との有期雇用である派遣労働者に限定し、派遣元との無期雇用である派遣労働者は制限の対象としない、[3]有期雇用派遣である場合も、個人ごとの上限を3年にするとともに、派遣先レベルでの3年超の受入れも「派遣先の労使のチェック」を条件に可能とする、といった大幅な規制緩和を提案している。「派遣先の労使のチェック」を除けば、これらは人材派遣業界の主張と同一の内容となっている。その一方で、派遣労働者の処遇改善については、EU派遣労働指令のような派遣先労働者との均等待遇を推進することは難しいと結論づけるなど、きわめて不十分な検討にとどまっている。

  3.  連合は、雇用の原則は「期間の定めのない直接雇用」であるべきであり、その上で、派遣労働については処遇改善をはじめとする「派遣労働者の保護」をこれまで以上に強化すべきと考える。したがって、今後も、我が国の労使関係の特長である長期雇用慣行に照らして、労働者派遣法の基礎とされている「常用代替の防止」は、すべての派遣労働に当てはまるものとして堅持すべきである。また、「派遣先の労使のチェック」をいかに具体化するかといった点については、労使の意見も踏まえつつ検討を行っていくべきである。更に、有期・無期の雇用形態に関係なく低処遇に留まっている派遣労働者の実態を踏まえ、「派遣労働者の保護」に向け、均等待遇の実現等にかかる検討を深めていくべきである。

  4.  今後、労働政策審議会で労働者派遣法の改正に向けた議論が開始され、年内に建議がとりまとめられる予定であるが、今回とりまとめられた報告書には課題が多いことから、労働政策審議会における議論のたたき台とすることには問題がある。連合は、2012年の労働者派遣法改正により進められた派遣労働者保護の流れをさらに強化し、「常用代替の防止」と「派遣労働者の保護」の双方の観点に立脚した見直しを行うよう強く求め、労働政策審議会での対応を進めていく。


以上