事務局長談話

 
2013年05月16日
「育児休業3年」や「女性手帳配布」の提起についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  4月19日、安倍首相は、成長戦略の実現に向けた課題について経済界と意見交換し、この後、日本記者クラブにおいて講演と記者会見を行い、産業競争力会議での成長戦略の一環としての施策であることを明示している。
     この中で「女性の活躍促進」を目的として、「希望する場合には男女に『3年育児休業』を積極的に認め(中略)『3年間抱っこし放題での職場復帰』への支援」を行うよう企業の協力を要請し、新たな助成金を作るなど政府も応援していくとしており、2014年度の導入をめざすとしている。

  2.  現在、育児休業制度が導入されているにも関わらず、育児休業すら取得することなく6割の女性が第1子出産を機に離退職を余儀なくされている実態がある。また、育児休業の取得率は、女性が87.8%であるが、男性は2.6%と極めて低い。
     「育児休業3年」をスタンダードとして奨励するとなれば、女性の採用・登用への悪影響が予想されるとともに、キャリア形成期の女性を就業からさらに遠ざけてしまうなど、女性の活躍促進にとってはマイナス効果が大きいと言わざるをえない。男性をいっそう育児から遠ざけることにもなる。
     結果として、男女のワークライフバランスにも負の影響を及ぼすことが危惧される。実態を見ても、3歳まで育児休業がとれる企業で、実際に3歳まで取得するのは数%程度にとどまっている。

  3.  また、内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」は、若い女性に「女性手帳(生命と女性の手帳)」を配布する方向で、2014年度からの予算化・事業化をはかるとしている。少子化対策として晩婚化・晩産化に歯止めをかけるとしているが、少子化問題は社会の問題であり筋違いである。若年層における不安定雇用の増加、妊娠出産に関する保護制度や育児休業制度も取得できない職場環境、保育所不足、将来不安がある現状では、安心して出産・子育てすることが困難になっている。「妊娠出産を女性のみの責任とするのは問題」との世論の批判も噴出している。

  4.  今やるべきことは、妊娠・出産しても安心して就業継続できる環境を整備し、女性の力を社会に活かすことである。そのためには、[1]現行の育児休業制度を有期契約労働者も含め取得できるよう条件を整備し、[2]待機児童の解消と質の良い保育を保障し、[3]男女を問わず安定的な雇用を確保し、長時間労働を解消し、仕事と生活の両立が可能となる働き方へと転換することこそが実現されなければならない。
     また、育児休業制度を改革しようとするならば、公労使三者構成で議論する労働政策審議会の場に検討を委ねるべきである。
     連合は、女性の就業継続と男女の雇用平等の実現、男女の仕事と生活の両立支援策の拡充に向けた取り組みに全力を挙げていく。


以上