事務局長談話

 
2010年10月28日
労働保険特別会計に関する事業仕分け結果についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  10月27日、政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は、18ある特別会計を対象とした「事業仕分け第3弾」を開始した。初日の27日には、労働保険特別会計が取り上げられ、ジョブ・カード制度普及促進事業、キャリア形成促進助成金、(財)介護労働安定センター(交付金)など5事業が「廃止」とされた。また、制度のあり方について、「雇用調整助成金以外の必要性の低い雇用保険二事業は、特別会計の事業としては行わない」「労災保険の社会復帰促進等事業については原則廃止」とされた。雇用情勢が厳しい中で、労働保険特別会計について、十分な議論もなく、このような事業仕分け結果が出されたことはきわめて遺憾である。

  2.  今回、事業仕分けの対象となった雇用保険二事業は、事業主の雇用保険料のみを財源として、雇用調整助成金をはじめ事業主に対する各種助成制度など、雇用対策の柱として雇用安定事業と能力開発事業を行ってきた。また、労災保険による社会復帰促進等事業も労災給付と一体的な付加給付などを行ってきた。もちろん、助成金や交付金の中には、利用率が低いものや想定していた成果に結び付かないものもあり、時代や社会情勢の変化に応じて不断に見直しを行うことは必要である。しかし、義肢や車いすなど付加的な給付や未払賃金立替払事業などを含めた社会復帰促進等事業を「原則廃止」することは、労働者保護に逆行する内容である。一般会計による財源確保が担保されない中での、これらの事業の廃止は容認できない。

  3.  雇用・失業情勢は、完全失業率が5%台に高止まりし、有効求人倍率も低位で推移し、依然として厳しい状況が続いている。とりわけ、新規学卒者の就職問題など若者の雇用問題は重要な課題である。このような状況で、ジョブ・カード制度は、正社員への移行の促進など雇用対策の面から一定の役割を果たすことが期待されている。ジョブ・カード制度普及促進事業を廃止することは、「新成長戦略」において「2020年までに取得者300万人」の目標を掲げていることとも整合性がない。そもそも、雇用・労働の現場のニーズに即した労働政策を展開するためには、公労使三者構成の労働政策審議会などで労使の意見を十分に踏まえることが不可欠である。

  4.  現政権は、新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策として、「雇用」を機軸とした経済成長の実現を打ち出しており、雇用・労働政策を後退させるべきではない。経済の発展や社会の安定のために、雇用を国の基本政策の中心に据え、労働者保護の視点からの労働者派遣法改正法案の早期成立など、公正なワークルールの確立をはかることも必要である。連合は、すべての働く者が安心して働ける環境をつくるために、これらの課題に引き続き全力で取り組んでいく。


以上