事務局長談話

 
2026年04月01日
2026年度税制改正関連法の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神保 政史

1.構造課題解消に向けた議論が深まらないまま成立に至ったことは残念
 3月31日、「所得税法等の一部を改正する法律」をはじめとする税制改正関連法が、参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。
 足元の物価高対応として個人所得税の課税最低限を178万円に引き上げる措置や、自動車取得時における負担軽減・簡素化などに資する環境性能割の廃止は評価できる。また、軽油の暫定税率廃止が年度内に実現したことで、国民生活の混乱は避けられた。しかし、窮屈な審議日程の影響もあり、所得格差の拡大や貧困の固定化といった日本の構造課題解消に向けた税制改革の議論はほとんど行われなかった。また、防衛力強化に係る防衛特別所得税は、その必要性や妥当性に関する十分な説明がないまま、課税ありきの答弁が続いた。こうした状況下で法が成立に至ったことは残念である。

2.中低所得者への恒久的な支援策として給付付き税額控除の早期導入を
 個人所得税の課税最低限が引き上げられ、基礎控除の引き上げ対象は中低所得者に拡大された。しかし、引き上げの上乗せ特例は2年間の時限措置であり、給与収入665万円相当で段差が設けられるなど課題も残った。恒久的で効果的な中低所得者に対する支援策である給付付き税額控除は、設計次第で速やかに導入可能との有識者の意見もふまえ、社会保障国民会議において早期導入に向けた検討を進めるべきである。なお、政府が給付付き税額控除導入までのつなぎとしてあげている食料品の消費税率ゼロには、「期間限定の消費減税は事業者の現場に混乱をもたらす」「消費税率ゼロは高所得者層へも支援が行われる『非効率な政策』である」などの指摘がある。そのため、導入までのつなぎとしては、真に支援を必要とする層への給付を検討すべきである。

3.税の公平性の確保、所得再分配機能強化に向けた改革が必要
 税負担の公平性の確保の観点から、極めて高い所得に対する負担の適正化措置が設けられたが、いわゆる「一億円の壁」解消にはほど遠い。また、実質的に親の資産運用に活用される「第二口座」化により所得格差の拡大を助長するおそれが指摘されるNISA制度のつみたて投資枠の対象年齢撤廃も行われ、さらに暗号資産取引から生じる所得は分離課税されることとなった。税の公平性を確保するとともに、所得再分配機能を強化するために、金融所得は将来的な総合課税化を展望しつつ、税率構造を段階化すべきである。

4.連合は「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組む
 連合は引き続き、政府・政党への要請、政府税制調査会での意見反映、連合出身議員政治懇談会、連合フォーラム議員との連携などを通じ、働く者・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制改正の実現に向けて取り組んでいく。

以 上