事務局長談話

 
2025年06月13日
年金制度改正法の成立に対する談話

1.国民が安心できる年金制度の構築に向けた国会での議論は不十分
 「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が6月13日、参議院本会議で可決・成立した。国会で「重要広範議案」に指定されたにもかかわらず、法案提出が大幅に遅れ5月となった結果、審議時間が短くなり、国民が安心できる年金制度の構築に向けた議論は不十分であったと言わざるを得ない。
 

2.年金給付水準の底上げに向けて国民年金保険料の拠出期間延長を実施すべき
 衆議院では、2029年の次期財政検証で基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に、厚生年金と国民年金のマクロ経済スライドを同時に終了させて底上げする修正が行われた。給付水準の底上げは重要であるものの、従来の拠出ルールから大きな変更となる厚生年金積立金の活用を前提としており、底上げに伴い必要となる国庫負担財源確保の方策も明らかになっておらず、国民の理解は十分とは言えない。また、基礎年金の給付水準の底上げ策として連合が求めていた国民年金保険料の拠出期間延長については、検討規定が設けられたに過ぎず、次期年金制度改革において確実に実施すべきである。
 

3.附帯決議にもとづく検討の早期かつ着実な実施を
 被用者保険の適用拡大については、最終的な撤廃が10年後とされた企業規模要件など、施行時期の法案修正には至らなかったものの、連合フォーラム議員の追及により、早期の任意適用を進める方策の検討が附帯決議に盛り込まれた。同様に、第3号被保険者制度の廃止に向けては、法律の附則にもとづく検討を速やかに進めることが盛り込まれた。政府は、附帯決議にもとづく対応を早期かつ着実に実施すべきである。
 

4.公平性と信頼が確保された年金制度の構築に向けて全力で取り組む
 年金制度は、少なくとも5年ごとに財政検証を行うこととされ、それにもとづき制度見直しが行われている。しかし、基礎年金の給付水準の底上げ策の具体的手法など、残された課題の重要性に鑑みれば、年金制度改革の歩みを加速させなければならない。連合は、年金制度の課題に関する世論喚起とともに、就労を阻害せず働き方などに中立的で、公平性と信頼が確保された年金制度の構築に向けて、全力で取り組む。
 

以 上