事務局長談話

 
2025年06月10日
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2025」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.男女平等参画社会の実現に向け、具体的な取り組みを求める
 政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」、「男女共同参画推進本部」(本部長:石破内閣総理大臣)は6月10日、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2025」(「女性版骨太の方針2025」、以下、方針)を公表した。方針は一つ目の柱に「女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくり」を掲げ、固定的性別役割分担意識払拭の重要性を記載したが、女性がいきいきと働き続けるには、「働き方・職場」だけでなく、家族間・社会における慣習や慣行の見直しを含め、実効性ある具体的な取り組みが必要である。

2.女性はもちろん、誰もが希望に応じて働ける環境づくりが不可欠
 方針は、全ての人が希望に応じて働くことができる環境づくりとして、職場等におけるハラスメント防止に加え、女性起業家に対するハラスメント対策を新たに盛り込んだ。また、女性デジタル人材の育成促進を掲げているが、女性デジタル人材の育成が、低賃金で都合よく働かされるといった不安定な雇用へとつながらないよう、具体的な取り組みが肝要である。加えて、女性の雇用労働者のうち非正規雇用が半数を占めることから、正規雇用への転換促進による雇用の安定、同一労働同一賃金の徹底による処遇改善など、所得向上・経済的自立に向けた取り組みの強化が求められる。

3.ただちに選択的夫婦別氏制度を実現すべき
 方針は、柱の一つとして「個人の尊厳が守られ、安心・安全が確保される社会の実現」を掲げ、今次国会において28年ぶりに選択的夫婦別氏制度に関する法案審議が行われているにもかかわらず、「夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方」は従来と変わらない記載のままであった。政府が進める旧姓の通称使用では、個人の尊厳・人権尊重という要請に応えられないうえ、国際社会では通用しないことが明らかである。制度実現を待ち続けてきた多くの方々の期待に応え、個人の尊厳が守られる社会を実現するため、選択的夫婦別氏制度をただちに導入すべきである。

4.連合は、男女平等参画社会の1日も早い実現に向けて取り組む
 政府の「第5次男女共同参画基本計画」は今年度末で計画期間の終わりを迎えるが、第5次計画で定めた目標に対する進捗は遅れている。世界の潮流が2030年までの完全なジェンダー平等の実現であることを踏まえれば、進捗の遅れにより未達となる目標については、その理由を検証したうえで、年末の閣議決定に向けて議論されている第6次計画の策定につなげ、取り組みを一段と加速させる必要がある。連合は引き続き、誰もが安心して働き続けられる男女平等参画社会の実現に向けて取り組んでいく。

以 上