事務局長談話

 
2025年06月06日
早期事業再生法の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.金融債務に限定した事業再生における労働組合等との協議などは意義あるもの
 6月6日、参議院本会議で「早期事業再生法」が可決・成立した。本法は、倒産前の状態にある事業者の早期の事業再生に向け、金融機関等の多数決による集会決議をもって金融債務の整理を可能とする制度を創設するものである。本制度の対象は金融債務に限定しているが、事業再生時に雇用や労働条件の変更が多く生じ得ることから、国会審議を通じて労働組合等への事前の情報提供や協議にかかるルールを省令等で規定するとなったことは労働者保護の観点から意義がある。

2.労働組合等の手続関与など附帯決議を踏まえた労働者保護をはかる対策を
 衆参両院の経済産業委員会における審議を通じ、「技術および人材の散逸の回避」を追記する法案修正がなされた上、(1)早期事業再生計画に労働組合等との協議状況を明記し、本制度による手続の監督などを行う指定確認調査機関の調査対象とすること、(2)指定確認調査機関や調査などの実務を担う確認調査員の指定要件などを厳格に定めること、(3)金融債務の整理を可能とする集会決議は事業者とその労働組合による労働協約等の変更等に法的な効力を及ぼさないことを明確化することなどを求める旨の附帯決議が付された。また、早期事業再生計画の変更が可能な時期までに労働組合等との協議を行うことを促す旨の答弁も引き出された。こうした附帯決議などを踏まえ、労働者保護の観点から本制度における労働組合等との協議などの実効性の確保に向けて省令等を確実に整備することが必要である。

3.事業再編全般における労働者保護ルールの法整備などに向けて全力で取り組む
 連合は、附帯決議にもとづく省令等の整備とともに、引き続き事業譲渡などの事業再編全般における労働者保護ルールの法整備などを求めていく。また、運動面でも取り組み内容の周知・啓発、譲渡先に労働組合がない場合などの組織化や組織拡大、事前協議ルールなどの労働協約での整備などを通じた組織点検の推進など、構成組織・地方連合会と一体となって全力で取り組みを進めていく。

以 上