事務局長談話

 
2025年06月04日
労働施策総合推進法等の一部を改正する法律の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.さらなる女性活躍推進、誰もが安心・安全に働ける社会実現の観点から評価
 本日、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、改正法)が、フリーランスへのカスタマー・ハラスメント(以下、カスハラ)対策の検討などを盛り込む修正のうえ、参議院本会議で賛成多数で可決・成立した。さらなる女性活躍の推進に向けた情報公表義務の拡大や、ハラスメント対策、治療と仕事の両立支援が強化されることは、人権が尊重され、誰もが安心・安全に働き、活躍できる社会を実現する観点から評価できる。

2.女性活躍推進には男女間格差の原因分析、是正に向けた取り組みが重要
 改正法は、101人以上企業に「男女間賃金差異」の公表義務を拡大するとともに、「女性管理職比率」の公表を新たに義務づけた。国会審議では「単に情報公表するだけでなく、男女間賃金差異の原因分析・改善策について『説明欄』の積極的な活用や、中小企業を中心とした支援を促進する」との大臣答弁が引き出された。加えて、すべての企業への男女間賃金差異の公表義務化や、男女間賃金差異が一定以上の企業への原因分析および是正計画の策定・公表義務化を含めた実効的な対策の検討が附帯決議に盛り込まれた。国際的に遅れている女性活躍の推進に向け、これらを踏まえた企業の積極的な取り組みと国の支援が重要である。

3.ハラスメントのない社会の実現に向け、業所管省庁の連携による対策が不可欠
 改正法は、職場におけるハラスメントを行ってはならないことを明確にしたうえで、社会における規範意識醸成に取り組むことを国の責務としたほか、カスハラ対策、求職者へのセクシュアル・ハラスメント対策を事業主に義務づけた。国会審議では「他の事業主に協力を求めた事業主が不利益を受けることがないよう、相談体制の整備や助言・指導により支援する」との大臣答弁が引き出された。加えて、規範意識醸成のため、「広報、啓発、その他の措置を講ずる際には、『労働者』以外の者へのハラスメントも含め、厚生労働省と業所管省庁が連携すること」が附帯決議に盛り込まれた。今後は、「労働者」以外の者へのハラスメントも含め、関係省庁が連携して対策を検討することや、求職者へのあらゆるハラスメント防止に取り組むことが不可欠である。

4.誰もが安心・安全に活躍できる職場・社会の実現に取り組む
 今後、労働政策審議会において、具体的な省令・指針の検討が行われる。連合は、附帯決議と引き出された答弁をもとに意見反映に努め、引き続き誰もが持てる能力を発揮し、安心・安全に活躍できる職場・社会の実現に取り組むとともに、ILO第190号条約批准に向けて取り組んでいく。

以 上