2025年06月04日
公益通報者保護法の一部を改正する法律の成立に対する談話
1.公益通報者保護の強化と制度の実効性が一定程度前進するものと評価
6月4日、参議院本会議において「公益通報者保護法の一部を改正する法律」が賛成多数で可決・成立した。公益通報者保護法は、労働者などが公益のために通報を行ったことを理由として、解雇などの不利益な取り扱いを受けることのないよう制度的なルールを定めたものであり、制度の実効性を担保することが重要である。今回の改正では、連合が求めてきた「公益通報者を探索する行為の禁止の明文化」「不利益取扱い(解雇または懲戒)に対する刑事罰の導入」「公益通報者の立証責任の転換」などがはかられることとなり、公益通報者の保護強化と制度の実効性が一定程度前進するものと評価する。
2.公益通報者を探索する行為や不合理な配置転換にも罰則を科すべき
一方で、今回の改正だけでは決して十分とは言えない。消費者庁や日本弁護士連合会の調査結果によると、公益通報後に嫌がらせや配置転換を受けたとの回答が多くあり、探索行為や不合理な配置転換にも罰則を科すなど、不利益取り扱いの抑止・救済の範囲拡大が必要である。
3.公益通報者保護制度の一層の周知徹底と実態把握に取り組む
法案修正によって、次回の見直しは3年後に短縮されるとともに、附帯決議では、公益通報者保護制度検討会報告書で検討が必要とされた諸課題について、速やかに随時立法事実の収集に努め、必要に応じて具体的な検討を行うとされた。
連合は、政府に対し、改正法の周知徹底、企業や自治体での内部通報体制の実態把握と必要に応じた監督・指導の強化を求めるとともに、自らも、構成組織・地方連合会などと連携して、制度の周知と実態把握に取り組んでいく。
以 上