2025年05月30日
譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案等の成立に対する談話
1.破産財団への組入義務の実効性確保が必要
5月30日、参議院本会議で「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案」等が可決・成立した。本法は、動産や債権を担保として活用する譲渡担保権等に関するルール全般を明確化するものである。集合動産および集合債権譲渡担保権については、労働債権をはじめとした一般債権者を保護する仕組み(以下、破産財団への組入義務)などの規定が設けられた。担保制度において労働債権保護につながる新たな仕組みの創設は意義があり、政府および裁判所は、破産財団への組入義務の確実な履行など制度の実効性確保に向けた対策を講じる必要がある。
2.附帯決議を踏まえ労働債権の優先順位引き上げの検討に速やかに着手すべき
衆参両院の法務委員会における審議を通じ、連合フォーラム議員の尽力によって、(1)破産財団への組入義務の対象範囲のあり方や保全対策の強化に向けた検討、(2)債権者などによる担保請求への支援などの措置といった実効性の強化策に加え、(3)倒産時における労働債権の優先順位の引き上げに向けた検討を求める旨の附帯決議が付された。また、労働債権者を含め債権回収の状況に関する実態調査を行う旨の答弁も引き出された。こうした附帯決議などを踏まえ、倒産時に担保権者が優先的に債権回収することによって賃金や退職金などの労働債権の確保が困難となる問題の解決がはかられるよう、政府は、労働債権の優先順位の引き上げに向けた検討に速やかに着手すべきである。
3.倒産時における労働債権保護の強化に向けて組織内外での取り組みを進める
労働債権は、労働者やその家族の生活を支える極めて重要性が高いものであり、譲渡担保権に限らず、抵当権や質権等全体に優先させる先取特権の創設が急務である。連合は、附帯決議の確実な履行を求めるとともに、今回の法整備を含めた法制度の理解促進はもとより、組織化などによる集団的労使関係の構築・強化をはじめ、事前協議などにかかる労働協約の整備や日常的な組織点検の推進など、構成組織・地方連合会と一体となって取り組みを進めていく。
以 上